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美容室での雑談が苦手、どうすれば…「“話しかけないでオーラ”はNG」現役美容師の回答 - 操作イトウ

 皆さんは、美容室に対してどのような印象を抱いていますか? 口下手なのに美容師さんとおしゃべりしなければならないところが苦手だ、と感じる人も少なくないようです。

 10年以上美容師でいる僕もまた、美容師になる前は美容師さんとの会話が少し苦手でした。テンションの高い空気感、中身の無いやりとり、盛り上がってないのに頑張ってトークを繋ごうとする感じ、少し気まずい雰囲気。なんでそんなに話したがるんだろう、と当時は思っていました。

 そんな僕が美容師になってみると、耳が痛いことだらけでした。あの頃苦手だったやりとりを、美容師としてやってしまう場面もありました。

 では、なぜ美容師は積極的に雑談をしているのか。雑談の苦手なお客様は美容師にどう向き合えばいいのか? そんなアドバイスと共に、美容師側の心の声を聞いてもらえると嬉しいです。


写真はイメージです ©iStock.com

美容師がなぜ喋りたがるのか

 美容師の側では、よりよいヘアスタイルを作るために、お客様のシチュエーションに配慮したい、という思考が働いています。例えばお堅いお仕事なのか、カジュアルなファッションでも許されるライフスタイルなのか。TPOに合わせて、ヘアスタイルの幅は大きく変わります。

 ですが、初対面でいきなり「職種」や「プライベート」などの話をするのも不躾なので、他愛もない雑談から情報を引き出そうとしています。そうすることでお客様のオーダー以上に、髪のプロとしてもっといいヘアスタイルの提案を出来るかもしれない、そう考えています。

 お客様を知り、その方の好き嫌いが見えてくると、ヘアスタイルの選択肢を広げたり、狭めたりすることが出来ます。そのためお客様の趣味、嗜好、ファッションの傾向、ライフスタイルなどを探りたいのです。

 また美容師にとっての商品は、カットしたヘアスタイルだけではありません。お客様が滞在した時間もまた商品であり、その間体験したことや得た知識もまた商品だといえます。例えば「旅行先の美味しいお店」や「スポーツの最新情報」など、お客様が得する情報を教えてあげられたらいいし、「同郷の話」や「共通の趣味」などによって、お客様との共通点を見出したいと思っています。

 そして今回得た話のネタの続きを次回もしたい、お客様に次回も来て欲しい、という希望を持って努力しているのです。

雑談が苦手な人にすすめたい、美容師とうまく付き合う方法

 立ち回りが器用な美容師さんの中には、会話が苦手な空気を察してトークを抑えてくれる方も多くいます。なので、雑談が苦手なお客様は、初回に根掘り葉掘り聞いてこなかった美容師さんを、次回も指名するのが効果的です。その美容師さんはあなたのことを既に理解しているので、トークの分量を抑えてくれるでしょう。

「私なんかが指名するのはおこがましい」と感じる方もいるかと思いますが、美容師にとって「指名」は仕事をする上での一つの評価軸なので、指名されて嬉しくない美容師はいません。前回の対応が良かった場合は、進んで指名することをオススメします。

 また美容師さんに共通の趣味があると、会話は楽になります。「空虚」な雑談ではなく、「中身」のある会話ができれば、雑談も苦にならないかもしれません。

 まだ学生の頃の口下手な僕にも一人、対応が心地良くて指名していた美容師さんがいました。その美容師さんと仲良くなれたきっかけは、音楽の趣味が近いことでした。そもそも話が通じる人が少ないため、お互いにマニアックな内容を交わす、貴重な情報交換の相手になっていました。

 プライベートな事を話すのに抵抗がある場合は、例えば髪の話をしてみてはどうでしょうか。美容師さんは、ファッションに対しての知識が豊富にあります。ヘアスタイルのアドバイスもたくさんできるため、自分が得する情報を得られるかもしれません。

美容師のキラキラ感と人間性とのギャップ

 見た目に華やかな美容師さん達は、学校のクラスでイケてるグループだった様なイメージを抱きがちですが、皆がそんな経歴ではありません。性格的に大人しかったり、自己主張するのが苦手なタイプの人も多くいます。

 美容師にとって社交性は持っているに越したことはありませんが、初対面でのコミュニケーションが苦手な人もいます。苦手な人は、仕事を始めてから実際にお客様と相対して、訓練を繰り返すように次第に社交性を身につけていきます。

 僕自身も、それまで痛々しいほどの根暗人間であったため、美容師の仕事は意識改革の連続でした。

美容師によくある、「よくない雑談」の例

 美容師は総じて、お客様を「楽しませたい」というサービス精神に溢れています。ですが、それが雑談に対して苦手意識のあるお客様にとって、裏目に出ているように感じます。

 よくあるのは、喜んでもらおうとして自分の自慢話や武勇伝ばかりになってしまう美容師です。自分の「鉄板エピソード」を畳み掛けるように話すうちに、承認欲求が強くなって、美容師自身が気持ち良くなってしまう。ですが、あまり話が過ぎると、聞いているお客様は疲労感を感じてしまいます。これは優しくリアクションをしてくれる、聞いてくれるお客様であるほど起こりやすいです。

 また、行き過ぎたノリだけのやりとりになってしまうこともままあります。

 ごく一部に限りますが、「お客様を楽しませる」というコンセプトで、美容師がお笑い芸人ばりに体を張って盛り上げようとする店も存在しています。ハロウィンでもないのに面白可笑しいコスプレをしたり、一発芸で盛り上げたり。お客様が楽しく過ごせればよいですが、そのつもりでいないお客様は不快に感じるかもしれません。

「話しかけないでオーラ」よりも、口頭でこう伝えて

 来店する際に「話しかけないでオーラ」をまとっている方も少なからずいらっしゃいますが、「話しかけないでオーラ」を出されると、必要なやりとりも恐る恐る話しかけることにつながってしまいます。これは、気まずい時間になりがちなだけでなく、良いヘアスタイルを作れなくなってしまいます。

 また雑誌や持参した本、スマホに熱中しすぎて、首を下に向けていると顔がよく見えなかったり、お客様の言葉があまりに少ないと、ヘアスタイルの途中経過の細かい確認が取りにくくなったりもします。

 必要なやりとりに支障が出るので、オーラをビンビンに発するのは控えた方がいいでしょう。むしろ、はじめに口頭で「美容室は苦手でして」と言っていただくか、「本を読んでいてもいいですか?」とやんわり伝えていただくと、美容師のほうも納得して対応できるのではないでしょうか。

美容師は「頻繁に会っている人」になりがち

 お客様が美容室を訪れるのは大体1~3ヶ月に一度、毎回1~2時間ほど滞在することになります。これだけの時間は、例えば仲の良い友達にもなかなか用意できないことが多く、必然的に美容師は「頻繁に会っている人」になります。

 なので、心地良い関係性の美容師さんに出会うのはとても大事なことです。僕はブログ上でも、「ステキな美容師さんに出会ってほしい」をメインテーマにお話をしています。

 美容師はお客様からお金を戴く立場です。お客様にとって心地よい関係性や距離感、ライフスタイルを演出できるように努めています。

 それ故、長いお付き合いになるお客様からは、楽しいこと、辛いことを打ち明けて頂く存在になることも多く、大先輩の美容師には、20年来のお付き合いになるお客様も沢山いらっしゃいます。

 例えば、初めて主婦のお客様が来て以来、その旦那様も来るようになり、お子様もお母様も、果ては孫の代まで一人の美容師がお世話になる、といったことがあります。次第に家族ぐるみのお付き合いになり、その家族のライフスタイルの一端を担うことになる。その家族の20年の軌跡を一緒に追って行くことができる、それは美容師冥利に尽きることです。

 美容師も人なので得意なこと、苦手なことを併せ持っています。定期的に顔を合わせる人として、技術だけの評価ではない、居心地の良い美容師さんに出会って関係性を築いていければイイですね。

(操作イトウ)

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