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春画の魅力は「当時の庶民の声が聞こえる」と1万点所有の研究家

 1989年に来日して、東京で貿易関係の会社を経営するオフェル・シャガンさんは、世界的な春画コレクターでもある。

「31年前に初めて日本に来たとき、この国の文化をもっと知ろうと、美術品に興味を持ったんです。焼き物や漆器、刀剣、浮世絵などを収集しました。

 そんなとき、ある画廊で春画を見せられ、ひと目で気に入ってしまいました。その後、世界中の本を読んで、春画について勉強して、ありとあらゆる春画を買い集めました。誰が描いたかわからない作品でも、春画には一枚一枚に、歴史的・文化的なメッセージがこめられているんですよ」

 そんな頃、イギリスの大学教授が知人を通じて、「月岡雪鼎の研究をしてるが春画を持っていないか」と問い合わせが。

「私は、60点以上あるよと答えました。そうしたら教授は、『月岡雪鼎はもっと作品数が少ない、そんなにあるなんてありえない』と言うんです。見に来てくださいと伝えると、彼は来ました。

 1時間で帰る予定が、夜中の2時まで私の部屋にいました(笑)。60点全部、彼の知らない月岡雪鼎だったんです。そのころで、1500点以上のコレクションがありましたからね」

 現在シャガンさんは、1万点以上の春画をコレクションしている。彼をこれほど夢中にさせる、春画の魅力とは何か。

「春画は、『時代の風俗』を教えてくれます。時代ごとの笑いもあるし、ヤキモチを強調している、とか。その時代に生きた庶民の、さまざまな声が描かれているんです。江戸幕府だったり、明治政府のお上の命令を風刺として伝えている春画も、数多くあります」

 コロナで買いつけにも、変化があったという。

「この間、春画の出品が増えたし、安くなりました。皆さん、コロナで家にいて時間があるから、昔の春画が家や蔵の整理をして出てくるんですよ。おじいちゃんが隠してたのが出てきた、とか。

 業者さんは買うお金がないから、コレクターの私に連絡が来るんです。コレクターでも仕事がなくなって、コレクションを売る人もいますね。最近は、毎日のように買ってますよ」

 シャガンさんは、海外からも積極的に春画を買いつけている。明治以降、世界中に散逸してしまった春画を、日本に買い戻しているのだという。

「春画は、日本の文化ですからね。私が買うことによって、日本に取り戻せる。私が死んだら、美術館に寄贈するつもりです」

おふぇる・しゃがん
イスラエル生まれ。経営者、古美術研究家、アンティークアートのディーラー。『japanese erotic art』(Thames & Hudson)、『わらう春画』(朝日新聞出版)、『ニッポン春画百科』上巻・下巻(平凡社)など著書多数。HPはhttps://shungacollection.com

(週刊FLASH 2020年10月13日号)

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