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「新聞報道から」その66―日系人若者調査 読売新聞「思潮」―

日系人 日本的価値観濃く

 日本財団は、世界各地の若い世代の日系人を対象に、初の大規模意識調査を行った。このほど結果が集計され、日系人としての意識や、日本的な価値観が引き継がれていることが分かった。

初の大規模調査 

 調査は全米日系人博物館と協力して行われ、南北アメリカ、欧州などに住む、18〜35歳の日系人約3800人がオンラインで回答。その後、ブラジルや米国など11か国の一部回答者には、座談会を開いて聞き取りした。同財団によると、この規模で行われた日系人調査は初めて。今後の日系人支援の参考とするために行ったという。

「頑張る」「尊敬」影響受ける

 結果によると、回答者の74%が日系人としてのアイデンティティーを強く感じていた。また、それを形成する上で、もっとも影響を与えた日本的な価値観を選んでもらったところ、82%が「頑張る」を選び、78%が「尊敬」、69%が「感謝」を選んだ。日本とのつながりについては、79%が感じていた。さらに90%は、国を超えた日系人のつながりを求めていることが分かった。

 同財団は、上の世代からの影響のほかに、少数派だとの自意識があるからこそ、自らの出自を見つめ直すのではないかと分析。同財団の笹川陽平会長は「調査結果を活用し、日系人とより確固とした関係を構築していきたい」と話した。

 日系人の定義は、国際結婚による渡航も含め、永住目的で海外で暮らす日本人とその子孫とした。世界に約380万人いると推計されており、地域によっては6世〜8世まで世代交代が進んでいるという。

 ◇
 今回の調査を専門家はどう見るのか。

 早稲田大人間総合研究センター招聘(しょうへい)研究員の小嶋茂氏(移民史)は、「調査対象がどこまで日系人の総体を代表するかは別として、各国の若手日系人をつなげて日系コミュニティーが活性化する効果や、日系人意識を目覚めさせる効果が期待できる」と評価する。日系人意識に自覚的な若手の増加を望み、それは日本人にも重要だと指摘する。「日系人が伝えてきた価値観には、日本人が忘れているものも多い。日本人は彼らから学び、自らのありようを再考できる」

 他方、ハワイ移民に詳しい国立歴史民俗博物館准教授(現代史・社会学)の原山浩介氏は、質問の選択肢にある「日本的な価値観」に肯定的なものばかりが並ぶなど、調査には問題もあると指摘。ただ、世界各地の日系人を結びつける糸口として、意義は大きいとする。

 さらに、ハワイでボンダンス(盆踊り)が現地文化として根付いているように、日系文化の継承者は日系人だけではないと説く。「逆に日系人も、多様な文化の担い手になっている。調査がそうした多様さを探り、共有していく第一歩になるといい」と話している。

(小林佑基)

※2020年9月28日付「読売新聞」です。

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