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昔の子分を怒りの提訴 小沢一郎が“証明”する「人間の本質は決して変わらない」ということ - 「週刊文春」編集部

 ローカルニュースで終わるはずが全国に広がったのは、主役の知名度ゆえか。10月11日の立憲民主党岩手県連の結成大会で“事件”は起きた。小沢一郎衆院議員(78)が代表に就任した県連が、立憲所属で岩手1区選出の階猛(しなたけし)衆院議員の出席を拒否。階氏は県連側に「私は、党員で党支部長。出席できないのか」と詰め寄ったが受け入れられなかった。

【画像】2006年の民主党代表選


1969年の初当選以来、連続17回当選 ©文藝春秋

 県連が階氏の出席を拒んだ直接の理由はカネの問題だ。階氏が旧国民民主党県連の代表代行を務めていた際、県連の資金3000万円を自身が主宰する政治塾に移し、返金していないとして立憲県連は10月9日に階氏を提訴した。

 階氏は「違法性はない。譲歩すべきところは譲歩して和解したい」と語ったが、小沢氏は大会後、「県連に迎え入れる段階ではない」と切り捨てた。

 背景にあるのは小沢氏の怒りだ。階氏は2007年、岩手1区の衆院議員だった達増拓也氏の知事選出馬に伴う補選で初当選。典型的な小沢チルドレンだったが12年に関係が悪化。野田政権で消費増税に反対して民主党を集団離党した小沢氏に従わず、階氏は残留。

 日本未来の党を実質的に率いていた小沢氏は、達増知事の妻を階氏への“刺客”に擁して徹底攻撃。階氏が勝利したが禍根が残った。

「小沢氏は先日もツイッターで菅政権の学術会議問題を〈批判者を徹底的に潰す極めて陰惨な政治手法〉と批判したが、階氏への対応も同じです。そもそも、安倍、菅両政権のような“一強”の土壌を作ったのは小沢氏です」(政治部デスク)

「人間の本質は決して変わらない」

 小沢氏は衆院への小選挙区導入や官邸の権限強化など、首相の力を強めスピーディーな改革を可能にする制度設計の急先鋒だった。

「一方で、小沢氏は情報公開には極めて後ろ向き。昔、『記者会見はサービスだ』と言い放った意識のままです。09年の政権交代の前も、『もし小沢首相になれば官邸から記者は排除され、首相の一挙手一投足を追う首相動静も成り立たなくなる』と言われていた」(同前)

 06年の民主党代表選で、伊映画「山猫」の名台詞「変わらずに生き残るためには変わらなければいけない」を引き、自身の変身をアピールしたこともある小沢氏。

 10年以上たち、かつて政敵だった立憲の枝野幸男代表や安住淳国会対策委員長らと良好な関係を作り、野党合流の舞台裏で活発に動いた。だが、ある立憲幹部はこう声を潜める。

「小沢さんは一生涯をかけてノーベル賞級の“証明”をしようとしている。それは“人間の本質は決して変わらない”ということだ」

 まさにその真理を小沢氏が体現した、岩手県の余りにお粗末なお家騒動だった。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年10月29日号)

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