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金を回せば経済はよくなるというサギ

「金が回らないのが問題です。金がもっと回れば経済がよくなるのです。そのために日銀がお金を刷ればいい。そのためにもっと財政出動をすればいい」という主張がある。これは本当なのだろうか?なんとなく金が回れば経済がよくなると思っている人は多い。

けれどもものすごくシンプルに考えればよくわかるが(よくある例だが)、たとえば隣同士に住むAさんとBさんがいるとしよう。AさんはBさんに10万円を払って家の庭に深さ10メートルの穴を掘ってくれとお願いする。そして、Bさんも同様に家の庭に深さ10メートルの穴を10万円払ってほってくれとお願いする。これを行えばGDPは当然ながらアップする。しかし、これで誰かが幸せになるだろうか?ただAさんとBさんがお金を交換しただけだ。

ここで仮にCというスコップを作っている人がいてその人からAさんとBさんがともに1万円でスコップを購入したとしよう。その場合はCさんはたしかに2万円でスコップを売ることで儲かるだろう。が、AさんとBさんの取り分は支払った10万円から9万円に減る。そして1万円の損失を被る。この場合はCさんは幸せになったかもしれないがAさんとBさんは不幸になっている。

いや、もっと言えば上記のいずれのパターンでもAさんもBさんももっと意味のある仕事をする労働時間、あるいは余暇の時間を犠牲にしている。とすると社会的には実は損失が発生している。GDPは増えたが人々の幸福度は低下したはずだ。

いやいや、それはその話には政府がないからだ。あまりに話を単純化しすぎている。という人もいるかもしれない。では、Aさん、Bさんの両方から政府が10万円を取り上げ、Aさんには穴を掘らせる作業をBさんには穴を埋めさせる作業を行わせてみたらどうか?結果は同じになることは言うまでもない。あるいはこのときに政府職員なる人物が登場して徴収した20万円のうち給与として2万円をとりあげるかもしれない。とすると、儲かるのは政府職員だけで、AさんもBさんも何もえるものはないどころか損失を被るわけだ。

もちろん、反論としては政府職員が消費をすればいいじゃなという人もいるかもしれない。しかし、このような無駄な作業がなければAさんもBさんも余暇の時間を利用して手持ちの10万円で大いに消費したかもしれない。政府が作り出した余計な仕事のせいでAさんもBさんも消費する時間を奪われるだけでなく手持ちのお金が減ってしまうことで消費意欲も失う可能性もある。

あるいはAさんが現在の人。Bさんが3代後の人と考えてもいいだろう。Bさんから政府がお金を取り上げる(国債を発行する)ことで同じような穴掘りをすることも同様の結果を招く。Aさんは政府から手に入れたお金を将来借金を返済するであろう子孫のBさんのために残しておく可能性もあるだろう。

このようにシンプルに考えるとお金を回せば経済がよくなるというのは全くのウソであることが分かる。なのに、乗数効果がどうの、バランスシートがどうのと屁理屈を持ち出して政府が財政出動をすればいいとか中央銀行が金をすれば経済がよくなるという人が後を断たない。そしてそれをすっかり信じ込んでしまう人が多いのは一体どういうことなのだろうか。物事はもっとシンプルに考えられるべきだろう。同時にGDP信仰はさっさとやめるべきだ。GDPが有効な経済指標であるのは事実としてもGDPの増加が必ずしも人々を幸せにしないことは認識されるべきだろう。

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