記事

「所得再分配」という邪教 - CBJ

人々に金を与えれば可処分所得が増える。すると人々は活発に消費をするようになる。そこに売買が生まれる。売った側にも収入が生まれ、可処分所得がどんどん増える。 すると社会の消費活動が活発になる。これが連鎖活動のようにどんんどん広がっていく。設備投資が増え、経済全体が活気づき、いつの日か好景気がやってくる。これが「所得再分配」という邪教の論理である。ネットで「所得再分配需要投資」とでも入れればこの邪教を流布するサイトが沢山出てくる。

この邪教は社会に深く根を下ろしている。これが広く流布されているのは日本だけではない。アジア諸国、ヨーロッパ諸国、アメリカ大陸…世界いたるところでこの邪教が信じられている。この邪教の最大の問題点は間違っていることであり、人々の心を惑わす邪悪さを持っていることである。この 邪教は実際の事例によっても間違っていることが証明されているが、これが大学や大学院では「経済学」として崇められ、研究され、教えられている。世界の経済の専門家とされる人間の多くはこの邪教にお墨付きを与えるための研究にせっせと励む人間達である。

この邪教の論理の間違いの出発点は、経済の原動力を「人が金を使うこと」としていることである。経済を発展させるにはとにかく「人に金を使わせ」ればよいと。この論理を分かりやすく極端な形にするとこうなる。『群衆が棍棒を手に取り、家々のガラス窓を割って歩けばよい。車を破壊して歩けばよい。 家々に放火して歩けばよい。家や車を破壊された人々は家を補修したり立て直してたりするだろう。車を破壊された人は車を補修したり買い替えたりするだろう。人々は否応なく消費する。消費が生まれれば「経済が発展する」… はずではないか?』『経済発展は暴動から始まる』ということである。

実際の世の中はこのように動く。経済発展は暴動=破壊からではなく、創造と蓄積から始まるのである。あるAという人物は真面目に働き、倹約につとめ、つつましく暮らし、将来の蓄えとするためにせっせと銀行に預金する。銀行はその金を使って金を儲けるために金を貸したい。あるBという人物が創意工夫によって人々に優れた商品を提供し、客を喜ばせている。彼はその商売を大きくしたい。そのためには設備投資が必要で、そのためには元手がいる。Bは金を借りたい。銀行は金を貸したい。そこで両者の利害は一致する。

Bは金を借りて設備投資し、事業の規模を拡大する。土地を買い、工場を建て、設備を購入し、人を雇い、資材を購入し、材料を購入する。この過程でそれぞれの事業者が利益を得る。それら事業者の社員が収入を得る。彼らの家族が生きる糧を得る。必要なものを買い、残りは将来のために蓄える。事業が成功すればBは利益を得る。利子を得た銀行は更に金を貸し付けようとBに対して良い条件を提示する。Bは更に金を借りて事業を拡大する。更に多くの人が雇用される。

世の中には成功するBもいれば失敗するBもいる。失敗したBは成功したBの下でAとなって働くも良いし、成功するBを目指して再チャレンジするもよい。資本主義の社会において富は成功するBに集まる仕組みになっている。Bとはいわば、勤勉・創意工夫・能力・才能・運といったプロセスによって資源を富へと変換しようとする者である。最も優れたBは最も多くの富を創出することが出来、最も多くの富(収入・便利さ・楽しさ・安全・安心)を社会に分配することになる。

だから、「HowanEconomyGrowsandWhyItCrashes」の著者PeterSchiff氏が述べるように、「経済発展は消費によってではなく、貯蓄&投資によって促進される」のである。貯蓄がなければ投資は生まれない。人々(上の例で言えば多くのA達)に金をばら撒くだけならそこには消費しか生まれない。「あぶく銭は身につかず」である。飲み屋で散在したりパチンコで大枚はたいたり超豪華海外旅行に出かけたり…

国家政府による所得再分配は破壊活動である。それは人々から貯蓄する動機を奪うと同時に投資家達の投資の動機を奪い、富の創出を阻み、真に効率的な富の社会への分配を可能にする活動を壊死させるからである。人々の生活を支え、豊かにし、便利にし、楽しくし、それを次世代の生活にも引き継いでいくのは経済発展である。 その経済発展を促進するのは創造と蓄積である。だから経済発展を阻害する活動を正当化しようとする「所得再分配」理論は邪教なのである。

追記

経済学という学問 は本来不要である。一般社会で生きるに際して学問的経済学(数学やチャートを使ったりする難しそうなやつ)のケの字も知る必要はない。必要なのは上記 に記したような常識だけである。なぜならば本質的に経済とは人と人との売り買いであり、学問として一般化させ昇華させる必要のない活動だからである。 しかるにマルクス経済学から始まって上記のような邪教を広める輩がいるからには、それに対抗するためには同じ言語を駆使しなければならない。邪教とそれを広めようとする勢力、それを薄めて浸透させようとする勢力、それを無力化せんとする勢力、それと戦おうとする勢力、これら勢力の争い今日の経済学の姿で ある。

あわせて読みたい

「経済学」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    「有事の宰相」としてはふさわしくない菅首相

    舛添要一

    05月16日 08:27

  2. 2

    100円が2070万円に…GⅠ史上最高配当が飛び出した2015年ヴィクトリアマイルの大波乱

    村林建志郎

    05月16日 07:59

  3. 3

    ヒートアップする言論、スルーする回答

    ヒロ

    05月16日 10:41

  4. 4

    「緊急事態でも通勤ラッシュは三密状態」日本人が自粛をしなくなった本当の理由

    PRESIDENT Online

    05月15日 11:42

  5. 5

    結局、政府がやってるのは楽で目立つところだけ。やるべきことはみんな置き去り

    青山まさゆき

    05月16日 08:18

  6. 6

    できない言い訳ばかりの政府、恐怖煽るマスコミ…情けない日本のコロナ対応に怒り

    青山まさゆき

    05月15日 09:28

  7. 7

    河野太郎氏 自動車の住所変更オンライン手続きに特例創設

    河野太郎

    05月16日 09:22

  8. 8

    「日本式の漫画は韓国・中国に惨敗」『ドラゴン桜』のカリスマ編集者が挑む"ある試み"

    PRESIDENT Online

    05月16日 15:26

  9. 9

    検査拡大に橋下氏「無症状者への闇雲な検査をしても感染抑止の効果は出ない」

    橋下徹

    05月15日 10:01

  10. 10

    国会終盤戦は荒れ模様。一部野党の審議拒否連発で、非生産的な国会運営が続く…

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    05月15日 08:35

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。