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景気改善かなり緩やかでも、金融システムに相応の頑健性=日銀


[東京 22日 ロイター] - 日銀は22日、半期に1度公表する「金融システムリポート」で、景気改善がかなり緩やかなものにとどまる場合でも、金融システムは「相応の頑健性を備えている」と指摘した。

ただ、景気が長期にわたって停滞し金融市場が大きく調整すれば、金融機関の経営体力の低下で金融仲介機能の発揮が阻害され、実体経済にさらなる下押し圧力がかかるリスクがあるとした。企業の財務データを大規模に分析し、政府・日銀の資金繰り支援策が中小企業の財務を支え、金融機関の信用コスト抑制につながるものであることも示した。

日銀は「新型コロナウイルス感染症が引き続き国内外の経済・金融面に大きな影響を及ぼしているが、日本の金融システムは全体として安定性を維持している」と総括。金融市場が動揺する中での発表となった前回4月の「強いストレスを受けている」との表現は削除した。

<コロナ対応の効果を検証>

日銀は今回、上場企業2400社、中小企業73万社を対象に財務状況を分析し、政府・日銀の企業金融支援策がなければ4分の3の中小企業が経常赤字に陥っていたとの試算を示した。企業全体で経常利益の減少額は年間40兆円強に上り、政府系・民間金融機関による実質無利子融資の総枠はその2倍超の規模と説明している。

資金繰り支援策は金融機関の信用コスト率の抑制にもつながるとした。市場予想並みの景気回復を前提に、支援策がなければ国内基準行の信用コスト率は20年度に2.1%に急上昇するが、支援策の効果で0.4%にとどまるとの試算を示した。

<ストレステスト、戦後最悪の激震を出発点に>

日銀はこれまで、テールイベントとして内外の金融経済環境がリーマン・ショック時並みに悪化するストレスを想定して金融機関のストレステストを実施してきた。しかし、コロナの感染拡大で戦後最悪の激震が実体経済に及んだため、4―6月期の実質国内総生産(GDP)の大幅な落ち込みを出発点としていくつかの景気回復パターンを前提にストレステストを行った。

4―6月期をボトムに市場平均並みに緩やかに景気が回復するベースライン・シナリオでは、国際基準行、国内基準行とも20年度から22年度まで3年間の累計で当期純利益は黒字を維持したものの、ベースライン・シナリオ対比で景気回復ペースが鈍るダウンサイド・シナリオでは国際・国内基準行とも赤字に転落するとした。

貸出残高については、ベースライン・シナリオではいずれの業態でも伸びを続けるものの、実体経済の伸びが停滞する「厳しい実体経済ダウンサイド・シナリオ」になると内外の景気悪化で資金需要は低迷し、金融機関は自己資本比率の悪化で貸し出し余力が低下することから、22年度に国内貸出が前年比マイナスになるという。

自己資本比率も、ベースライン・シナリオではいずれの業態も最低所要ラインを上回っているが、厳しい実体経済ダウンサイド・シナリオでは国際基準行で7.6%(19年度末は12.2%)、国内基準行は7.1%(同9.9%)まで低下。国内基準行は最低所要の4%まで余裕があるものの、「8%程度をめどに貸出が減るスピードが速くなるというのがデータ上から観察されている」(日銀)という。

毎回のリポートで示される金融活動指標(ヒートマップ)では、14指標のうち「家計向け貸出の対GDP比率」など6指標で「過熱」を示す赤色となり、前回の2指標から増えた。ただ、そのうち5指標は感染拡大で急速に減少した名目GDPを分母としており、また、金融機関の資金繰り支援が積極化した影響も大きかった。

<株主還元、自己資本双方に目配りを>

日銀はリポートで金融機関の当面の課題として、リスクテイクを積極化する分野での管理強化や適切な引き当ての実施に加え、資本政策のあり方にも言及した。日銀幹部は、コロナの不確実性を踏まえ「株主還元や自己資本の充実双方に目配りしながら、金融機関において適切に資本政策を実施していくことが重要ではないか」と話している。

*内容を追加します。

(和田崇彦 編集:田中志保)

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