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【読書感想】コンビニの闇

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コンビニの闇 (ワニブックスPLUS新書)
作者:木村 義和
発売日: 2020/10/08
メディア: 新書




Kindle版もあります。


コンビニの闇 (ワニブックスPLUS新書)
作者:木村 義和
発売日: 2020/10/08
メディア: Kindle版

毎年まるで風物詩のように問題となる季節商品の大量廃棄
終わりの見えない加盟店オーナーの労働
利益が上げると同一チェーンが歩ける距離に出店――

利用する私たちにとっては近くにあると、とてもありがたい存在のコンビニですが、便利さの一方でお店を経営するオーナーたちの中には、親会社からの理不尽な要求に苦しんでいる人が多くいることも事実です。
そんなコンビニ経営の実態を、コンビニの労働問題のパイオニアが徹底調査し、その暗部を炙り出す一冊です。

 僕がコンビニを利用するようになったのは、今から30年くらい前のことでした。
 通っていた大学に、当時はまだ珍しかった24時間営業のセブンイレブンができて、そこでおにぎりやお菓子を買ったり、友人との飲み会の途中で、夜中にお酒やおつまみを買い出しに行ったりしたのを覚えています。

 これは便利なものができたなあ、これまでは、夜中にお腹がすいたら、家にあるものでなんとかするしかなかったものなあ、と思っていたものです。

 そのコンビニの経営者が、近くにも新しい店を出し、自宅の駐車場に停まっている車がどんどん高価になっていっている、と、みんなで噂していました。

 30年前は、コンビニにとっては手探りでありつつも、まだニーズに比べて店の数も少なく、稼げるところが多かったのではないかと思うのです。

 ところが、昨今のコンビニの経営側の事情として聞こえてくるのは、本部の搾取やオーナーの過重労働などの景気の悪い話ばかりです。

 この新書は、そんな「コンビニオーナーの苦境と、それがなぜ起こっているのか?」をわかりやすく解説したものなのです。
 
 著者は、平成27年3月に行われた「ファミリーマート事件」でファミリーマート加盟店ユニオンが東京都労働委員会に提出した証拠を紹介しています。

 この証拠が提出された事件では、ファミリーマート加盟店ユニオンとの団体交渉を拒否した本部の行為が不当労働行為になるかどうかが争われたが、その際、ファミリーマート加盟店ユニオンは、加盟店オーナーやその親族、従業員の労働時間をまとめていた。この資料によると、加盟店オーナーの1週間あたりの労働時間は少ない者で40時間、多い者は128時間である。平均すると約68.3時間である。

 労働基準法32条は1週間の労働時間を40時間と定めている。週に5日出社するとして、1日あたりの労働時間は8時間である。資料上ではこれが守られているファミリーマート加盟店オーナーが15名中たった2名である。

 また、過労死ラインは月80時間の残業である。月に20日出社するとして、1日あたりの残業時間は4時間。要するに週の労働時間が60時間以上となると過労死ラインを超えていることになる。ところが、資料によれば15名中8名の加盟店オーナーが過労死ラインを超える労働をしていることになる。この調査からは各店舗の親族労働者の数までは示されていないが、多くの店舗においてファミリーマート加盟店オーナーの親族も長時間労働をしていることはおわかりいただけるだろう。

 それでは、なぜこのような過重労働が行われているのだろうか。それは、コンビニフランチャイズ契約において、人件費は加盟店負担だからである。したがって、人件費を削れば、コンビニ加盟店オーナーは収入を増やすことができるためである。

 こんな長時間労働をやっているのか……
 ただ、これを読んだだけだと、「とはいえ、『もっと稼ぎたい』から、アルバイトを入れずに自分たちが働いているんじゃない?」と思われるかもしれません。
 仕事はきつくても、その分、稼いでいるのだろう、と。

 著者は2020年9月に公表された公正取引委員会による実態調査報告書を紹介しています。

 2020年実態報告書は、コンビニ加盟店収入の中央値が発表されているが、その額は586万円である。5会計年度前と比べると、192万円も収入が減っている。

 そして、加盟店オーナーの資産額については、債務超過状態が17.3%、500万円未満が43.5%である。これらは、コンビニ加盟店が置かれている状況が年々厳しくなっていることを物語っている。実際、2010年と比べると2019年のコンビニ加盟店の倒産等は3.5倍に増えているようである。

 しかも、2020年実態調査報告書によると、コンビニ加盟店オーナーの1週間あたりの平均店頭業務は6.3日、毎月の平均休暇は約1.8日である。さらに62.6%の加盟店オーナーは週7日働き、年間の休暇10日以下のコンビニ加盟店オーナーは63.2%であるという実態も明らかになった。

 コンビニ加盟店オーナーはほとんど休みが取れないまま働いているにもかかわらず、収入は減る一方で、たいした貯蓄ができないどころか、債務超過に陥っている人すらいるのである。

 これはあまりにもひどい……
 仕事はきついけれど、その分短期間で大きく稼げる、というのであれば、それなりの合理性はあると思うのです。

 ところが、コンビニオーナーたちは、もともとフランチャイズ間での過剰な競争もあり、売れる店の近くには、本部の「ドミナント戦略(近い場所に集中的に出店することによって仕入れや経営指導の効率を上げる)」で同じフランチャイズが出店してくるのです。

 最低賃金の上昇も、オーナーにとっては収入源につながっています。
 こんなに働いているのに、貯金どころか、借金が増えていく……
 なんなんだこれは。

 日本のコンビニチェーンは、ロイヤルティ(本部の取り分)が他のチェーン店に比べて、ものすごく高いのです。

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