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「テレワーク移住はウソ」都心タワマンがむしろ絶好調であるワケ

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いま不動産市場はどうなっているか。一部には「都心部から人が逃げ出し、郊外への移住が加速する」という論調が見られたが、それは事実ではない。不動産コンサルタントの長嶋修氏は「都心の住宅市場は絶好調で、懸念されていた“オフィス離れ”も起きていない」という。なぜなのか——。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AlxeyPnferov

中古市場のマンション価格はむしろ上昇基調に

2020年、日本や世界を新型コロナウイルスが席巻し、不動産市場は大きな打撃を受けた。とりわけフランス・パリは2度目のロックダウンに入り、アメリカ・ニューヨークは中心部から郊外に脱出する動きが加速している。日本でも4月から5月における緊急事態宣言では不動産取引が半減した。こうした中、多数のメディアや識者からは「不動産市場が崩壊する」「都心部・都市部から人が逃げ出し、郊外や地方への移住が加速する」といった論調が見られた。

筆者のもとには連日「新型コロナウイルスの影響をどう見ているか?」といった質問が寄せられる。意外に思われるかもしれないが、緊急事態宣言が明けてからの住宅市場は絶好調といっていい。

もちろん緊急事態宣言期間中の4月や5月は取引が40~50%減といった地域が続出したものの、その期間中にとりたてて価格が落ちているわけではない。千葉や埼玉で落ちたように見えたのもその内訳をよく見ると高額物件の取引が減少したという特殊要因のようだ。

6~9月になると滞留していた需要どころか、それ以上の勢いが出てきた。都心・都市郊外・新築・中古・マンション・一戸建てのいずれも非常に好調だし、新規売り出しが減ったこともあり、とりわけ中古市場では在庫が大きく減少していることもあり、取引量はコロナ前と同等かややマイナスのレベルだが、価格は上昇基調にある。

新築マンションは、2019年後半から売れ行きは悪化しており、そこにコロナ禍がやってきたため、緊急事態宣言中はモデルルームを閉鎖し取引には急ブレーキがかかった。

月々5万円台の支払いで買える一戸建てが人気

とはいえ、大手寡占が進んでいる市場では、リーマン・ショックの時のような投げ売りは起きていない。またかねて新規売り出しを減らしてきたため、在庫はずいぶんと減り、在庫が少ない中でのやり取りなので、コロナ前から販売不調だった現場では日ごとに値引き販売が行われているようだが、価格が大きく下がる状況にない。

昨今特徴的なのは、新築、中古とも一戸建ての売れ行きがいいことだ。イメージでいうと3000万~4000万円台で、低金利下において100%の住宅ローンを組んで購入者の半分以上が変動金利を選択するといったもの。金利は0.38%(ジャパンネット銀行・10月)程度ゆえ、期間35年、3000万円台なら月々の支払いは8万円程度。ここで住宅ローン控除が利用できればローン残高の1%が戻ってくるため、毎月に換算すれば約2万5000円のマイナスとなり、事実上、月々5万~6万円台の支払いで買える。

在宅勤務が増えたいま、2~3DKでチープな賃貸住宅から出て、家賃並み、あるいはそれ以下で持ち家を選択するといったものだ。

私たちの周りを見渡しても、コロナを機に都市郊外や地方居住を行動に移した人がどれほどいただろうか。

在宅勤務(リモートワーク)といっても、その生産性について多くの企業が検証中である上、オフィスにおいても一定のソーシャルディスタンスを確保しようとすると必要面積はそう小さくならない。通勤がゼロになるケースは非常にまれで、わざわざ密な電車やバスといった公共交通機関を使う気にはならず、むしろできることならもっと会社に近づきたいはずだ。

75m2以上だった3LDKは、今は60m2台前半に

確かにコロナ期間中の、各種メディアによるアンケートをとった結果を見れば、都市郊外や地方移住を考えていたことがうかがえる結果も出ている。また不動産検索サイトの運営者に聞けば、自粛期間中は検索の範囲が都市郊外や地方へと広がったものの、自粛明けには元に戻っている模様だ。他先進国のようにコロナの影響がもっと長引けば、あるいはロックダウンといった深刻な事態になれば、大都市から都市郊外や地方への人口移動は起きたかもしれないが、わが国では自粛期間が約1カ月で済み、感染者数も死者数も圧倒的に少なかったことから、この程度で収まったともいえる。

在宅勤務が増えることで、自宅にスペースが必要になる。そうすると従前は65m2でよかったものが、75m2必要になる。居住面積を広げるためには、駅から遠くするか、中心部から遠くするか。その選択肢に変わりはない。新築マンションでは最近、在宅勤務用のブースをオプションで提供する動きが出ているが、専有面積が増えているわけではないので、収納を減らした形をとっている。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Geber86

2013年のアベノミクス以降、3LDKは75m2以上が当たり前だったものが、今は60m2台前半になっている。とはいえこれを機に供給側も専有面積を広げるわけにはいかない。そこで中古物件に目が向けられている。

中古住宅の成約件数は、8月までは前年同月より増えた。9月は首都圏は7%マイナス、都心3区は23%のマイナスになったものの、それは取引が萎んだというより、在庫がものすごい勢いで減った要因の方が大きい。その証拠に、価格は上がっている。



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