少なくともそれから4、5年が経ち、圭が皇室の女性と婚約すると知って、週刊誌にタレ込むというのは“底意”が見え見えではないのか。
私は当時、この男性のやり方を「品性が下劣ではないか」と、プレジデントオンラインの記事「だれが眞子さまと圭さんの破談を望むのか」(2018年2月28日)で批判した。だが、この情報を後追いして、小室家のプライバシーを毎週のように暴きたてたのが文春と新潮であった。
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報道の在り方はきっちりと「検証」されるべきだ
小室家側にまったく非がなかったとはいわない。だが、読んだ人間が、あたかも結婚すると男性を騙してカネを巻き上げた“結婚詐欺”と勘違いするような、週刊誌やワイドショーの報道の在り方は、この問題が完全に決着したら、きっちりと「検証」されるべきだと考える。
昼夜を分かたず小室圭と母親を追いかけまわし、張り込みまでするに至っては、尋常ではない。
しかし、メディアが煽り、小室の母親を稀代の悪女に仕立てるような報道に、不思議なことに、「いい加減にしろ」「男性側の情報だけでバッシングするのはおかしい」という当たり前の声が、大きくはならなかった。
母親が家に閉じこもり、圭は弁護士資格を取得するためにニューヨークの大学に留学してしまうと、メディアの刃は秋篠宮家に向かった。
秋篠宮紀子さんは、職員たちに厳しい「ご難場」だ。学習院に行かせないからこんなことになる。秋篠宮と皇太子(当時)の確執などなど。
挙句に、ICUを卒業するにあたって、次女の佳子さんが出した、「姉の一個人としての希望がかなう形になってほしい」という文書に対して、週刊新潮によると、「秋篠宮の御教育が間違っていませんか」「国民のことをまるで考えていない思慮の浅い言葉でした。悠仁様は、大丈夫なのか」というコメントがSNS上に並んだという。
数々の批判にも心折れず、初心を貫いた
この国の民の中には、メディアによって植え付けられた小室家像を無邪気に信じて、誹謗中傷まがいの匿名コメントを無責任に吐き出し、当事者たちの心情を斟酌(しんしゃく)しない者もいる。
かつて、子どもを授からない雅子妃(当時)を情け容赦なくバッシングした宮内庁の一部の人間や、その尻馬にのって囃し立てたメディアのことを思い出してほしい。
天皇以外の皇族は、やや制限はあるにしても、日本国憲法で保障されている基本的人権を有しているのだ。そのことを今一度思い起こすべきである。
私は、同じ文章の中で佳子さんが、「以前から私が感じていたことですが、メディア等の情報を受け止める際に、情報の信頼性や情報発信の意図などをよく考えることが大切だと思っています。今回の件を通して、情報があふれる社会においてしっかりと考えることの大切さを改めて感じています」と、皇族としては珍しく痛烈なメディア批判をしているのを高く評価する。
これは、眞子さんの結婚問題や秋篠宮家に対するバッシング報道に対しての、見事なカウンターパンチであるとともに、メディアからの情報を疑うことなく信じてしまう国民に対して、強く反省を促すもので、皇室史に特筆されるべき貴重な発言だと思う。
口さがない国民からの批判や、結婚問題をきっかけに拗れ始めた両親との関係、外へ出れば無遠慮な世間の視線は、どんなに気丈な女性でも気後れしたり、心が折れそうになったりするものだが、眞子さんは初心を貫き、小室圭との結婚の意志を変えることがなかった。
愛とはかくも女性を強くするものだということを、身をもって教えてくれたのではないかと、私は思っている。
金銭問題は母親と元婚約者が話し合えばよい
愛は不毛などと腑抜けたことをぬかして、本当の愛のすばらしさも知らない昨今の若者たちに、眞子さんはこういいたいのではないか。
「宇宙をただ一人の者に縮め、ただ一人の者を神にまで広げること、それが恋愛である」(ヴィクトル・ユゴー)
小室圭について考えてみよう。彼が決断力と行動力のある若者であることは、大方異論のないところではないか。
金銭トラブルについては、評価が立場によって別れるだろうが、昨年1月に弁護士を通じて文書を出し、金銭問題に関しては「解決済みの事柄と理解」と回答している。
彼の中には、この問題に対するブレがない。私は、この問題は圭の母親と元婚約者との間のことで、両者が話し合えば済むことだと考える。
付け加えれば、元婚約者も、週刊女性で報じられた後、この問題が予想外の大きな問題に広がったため、さまざまな批判や中傷を受けたことは、想像に難くない。
精神的にも肉体的にも弱っているようで、週刊文春で皇室ジャーナリストが、「最近はX氏(元婚約者=筆者注)自身が高齢ということもあり、借金返済を求める意欲を失いつつあるようです」と報じている。
両者が歩み寄って、和解する日が近いことを願っている。
惜しみない拍手と祝福を送ってあげてほしい
小室圭の近況は、来年の司法試験に向けて勉学に励む傍ら、毎日、スカイプで眞子さんとテレビ電話で話し合っているという。
報じられているところによると、成績は優秀で、司法試験に受かるのはほぼ間違いないようだ。だが、資格を取得したからといって、弁護士になるのか、資格を生かして他の仕事に就くのかは、まだ決まっていないそうである。
どちらにしても、日本で暮らす気持ちはないようで、眞子さんとニューヨークで新婚生活を始めるというのが、大方の見方のようである。
英語も堪能な眞子さんにとっても、世間の目を気にしなくていいニューヨークは望むところだろう。
「私たちは結婚します」という眞子さんの宣言が出たら、彼女の一途な思いと、2年以上にわたって耐え忍んで貫き通した愛に、惜しみない拍手と祝福を送ってあげてほしいものだ。
「眞子&圭の結婚問題」は紆余曲折あったが何とかハッピーエンドを迎えそうだ。だが、もし何か起これば、ここでレポートさせていただく。(文中一部敬称略)
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元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4198630283/presidentjp-22" target="_blank">編集者の教室』(徳間書店)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)、近著に『野垂れ死に ある講談社・雑誌編集者の回想』(現代書館)などがある。
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(ジャーナリスト 元木 昌彦)