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【ディスカウンティング】、コロナ禍で値引きが効かない!ネットスーパーよりの価値観?

■コロナ禍では以前ほど価格による訴求の効力が効かなくなっている。むしろチェーンストアはシームレスでストレスフリーなオムニチャネル化を推進することで集客を増やし売上を伸ばしているのだ。

ウォルマートCEOのダグ・マクミラン氏は「我々のデータが示しているのはリアル店舗とアプリもしくはウェッブサイトの両方を介して買い物するお客様は、リアル店舗のみで買い物するお客様に比べて2倍も支出します。さらに両方を併用するお客様はリアル店舗でもより多くお買い物をしているのです」と語った。

ウォルマートの以前の調査によるとウォルマートの店舗のみで買い物する場合、年間平均購入額は1,400ドルであり、ウォルマート・コムのみでは数百ドル。両方で買い物すると年間平均購入額は2,500ドルにも達するというのだ。

アプリによるリフィルオーダーなど早くからオムニチャネル化に着手したウォルグリーンの調査でも、実店舗とパソコン経由でオンラインストアで買い物をする顧客は、実店舗のみ買い物をする顧客に比べると3.5倍の支出。実店舗とオンラインストア、モバイル(アプリ)を使うオムニチャネル・ショッパーは実店舗のみの顧客に比べて6倍の支出となる。

 価格訴求からオムニチャネルなど利便性訴求の流れで特筆すべき動きはウォルマートだ。

ウォルマートは昨年5月、ストアアプリにあった「セービング・キャッチャー(Savings Catcher)」機能を停止した。

セービング・キャッチャーとはウォルマート価格より下回った競合店のセール価格に合わせ、差額分を次回の買い物時にディスカウントするウォルマート・アプリ機能だ。セービング・キャッチャーは、価格競争のなかで生み出された画期的なディスカウント機能だった。

セービング・キャッチャーの使い方はウォルマート独自のモバイル決済システム「ウォルマートペイ(Walmart Pay)」で決済するとeレシートでの表示となるため、あとはセービング・キャッチャーのボタンをタップしてレシートを提示するだけ。

セービング・キャッチャーで比較される競合店は、買い物したウォルマートの近隣にあるクローガーやターゲット、ウォルグリーンなど大手チェーンストアが中心だ。

競合店のチラシにあるセール商品と比較して差額分をユーザーのeレシートに自動的に反映させる。このセービング・キャッチャーで得た差額分はウォルマートで買い物すると自動的に差し引かれるか、eギフトカードに貯めてまとめて利用することも可能だ。

 セービングキャッチャーは競争の激しい食品スーパー激戦区で威力を発揮した。独立記念日や感謝祭日、ニューイヤーなど祝日前にスーパーは販促を強化する。セールが増える時期にウォルマートでナショナルブランド(NB)の商品を購入してセービング・キャッチャーを行えば、必ずと言っていいほど競合スーパーで安くなった価格と比べられ、差額分を得られたのだ。

 セービング・キャッチャーは節約好きの主婦らに支持されていた。しかし、ウォルマートは昨年3月、利用者からのレシートで競合店が価格を下回る機会が少なくなり、ウォルマートの「EDLP(エブリデー・ロープライス)」を成し遂げたことでセービング・キャッチャーの終了宣言をした。

 ウォルマートの第2四半期(5月〜7月期)決算によるとウォルマートUSの既存店・売上高前年同期比(ガソリン販売は除外)は9.5%増となった。

これにより2014年8月〜10月期から6年となる24四半期連続で前年を上回っている。価格訴求よりも利便性を訴求することがこれまで以上に求められている。

ところでウォルマート・カナダでは長い間続けられていたプライスマッチング方針を撤回するのだ。競合他社の広告にある価格に合わせる「広告価格マッチ保証」はコロナ禍で、以前ほどの効力がなくなっているのだ。
 
トップ画像:セービング・キャッチャー画面。競合店のボンズと比べてトロピカーナのオレンジジュースは58セント高かったのでバック。パスタは39セント、パンケーキミックスは1セントのバックだ。逆に競合のアルバートソンズよりベーコンが1.59ドル、クラムチャウダー缶が22セント安く購入できていた。セービング・キャッチャーはスーパーやドラッグストアなど競合店が価格を下回っていれば、差額分を次回の買い物で値引きする画期的なアプリ機能だった。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。コロナで価格競争が無くなったとは言えませんが、以前ほどの価格訴求力はなくなったと思います。原因はコロナ禍で店に行く回数を減らし、買いだめが増えたこと、またネットスーパーの利用が急増したことです。買い物の仕方が大きく変化したから消費者の価値観も変わざるえないということです。価格よりは利便性にウエイトが置かれています。エントリー記事にあるようにウォルマートなど大手チェーンでは、ネットとリアルを併用して買い物するオムニチャネル・シャッパーを集客しているのです。価格でお店をスイッチするお客は基本的に浮気性です。一方、オムニチャネル・ショッパーはロイヤリティが高い上に支払い単価も高くなります。結果、一人のお客が一生のうち、そのお店で使う総額「ライフタイムバリュー(生涯価値)」が桁違いになるのです。価格訴求で浮気性を集客するより、シームレスでストレスフリーなオムニチャネルで集客するほうが結果的に売上が大幅に伸びるのです。

 1店舗で買い物したほうがお得になるネットスーパーでは、店をはしごするバーゲンハンティングができないこともありますね。

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