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- 2012年10月29日 08:00
「脳動脈瘤だったらカテーテルで治るんですよね」と言う方が多いですが。
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今回は脳動脈瘤治療の話です。
不幸にも脳ドックなどで偶然、脳動脈瘤が見つかった患者さんが脳外科外来には来ます。
そんな患者さんの中には、
「動脈瘤って手術しなくても最近は治るんですよね」
とおっしゃる方がいます。
こういった患者さんが言いたいのはつまり、
カテーテルを用いた血管内治療の事だと思います。
脳動脈瘤に体する血管内治療については、
以前にも何度か記事を書きました。
以前の記事では主に欧米で得られたデータなどをまとめて、
血管内治療と手術治療の比較をしました。
今回はこれらのデータではなくて、
一般的な話を書きます。
まず、
冒頭の様な「手術をしなくて治る」という認識は、
実は大きく間違っています。
これはメディアによって、
「体に優しい」「傷がつかない」「低侵襲」
というカテーテル治療のイメージが必要以上に喧伝されすぎた結果かもしれません。
はっきりと言って、
一般の患者さんは皆カテーテル治療に対してあまりに楽観的な印象を持っています。
確かに、
足や腕にカテーテル挿入のための小さな傷がつくだけで、
体の表面に傷はほとんどつきません。
これは手術でメスが入ることに比べての最も大きな利点です。
ただ、
実際に脳動脈瘤の治療に関するリスクという点では、
決して開頭手術と比べて明らかに優れるという事はありません。
この”リスク”というのは、
重い合併症を残したり、命を落とすリスクということです。
そういう意味では、
カテーテルを用いた動脈瘤の治療というのは、
頭を切り開く手術と比較しても同じくらいのリスクがあるという認識の方が正しいのです。
決して、
気楽な治療ではありません。
あとは、
向き不向きの問題があります。
カテーテル治療の最大のメリットは、
手術での到達が難しい、つまり、
直接動脈瘤を見るのが難しいような場所の動脈瘤に到達しやすい事です。
これは脳の奥深く、外から到達するのが難しい場所の動脈瘤です。
こういった場所の動脈瘤については、
当然カテーテルの方が有利という事になります。
カテーテル治療が最も力を発揮するケースだと思います。
しかし、
一方で動脈瘤の形と大きさの問題があります。
形や大きさという点では、
手術の方に分があります。
カテーテルによって内側からコイルを押し出してくるくる巻くという方法では、
原理的に応用性に限界があります。
いろいろな素材を駆使する事でこれらを解決しようとするものの、
それでも実際の治療の現場では、運次第な面があります。
しっかりと術野が見えた時の手術の応用性には適いません。
動脈瘤の形や大きさが原因で手術が難しいのであれば、
それがカテーテル治療で簡単ということはまずありません。
なんでもかんでも、
どんな動脈瘤でもカテーテル治療が適している、というわけではないのです。
更には、
根治性の問題があります。
根治性という点でも、
今の所は手術に分があります。
カテーテル治療では再び動脈瘤が再発する可能性が手術に比べて高いのです。
結局のところ動脈瘤の閉塞という事に関しては、
血管の中にコイルという異物を詰めるカテーテル治療の場合、
異物による血栓化という現象に対する期待が非常に大きいです。
これは、
コイルによって血流が低下し血が固まって動脈瘤の中が血栓化することで、
閉塞するという現象です。
十分なコイルが入ることによって、
血流が低下すれば血が固まるだろう、ということなのですが、
実際にはこの血栓化の予測は難しいのです。
うまく血栓化せずに動脈瘤が十分に詰まらないこともあれば、
また、下手に血栓化して必要な動脈が閉塞して脳梗塞になる事もあります。
こういった意味でも、
カテーテル治療は確実性で劣る面があります。
変な話ですが、
頑張って1本10万以上するプラチナ製コイルを何本も何本も詰めても、
結局動脈瘤が大きくなって破裂してしまう、というような事だってあるのです。
手術でばちっとクリップで閉じても再発することは稀にありますが、
確率で言えばカテーテル治療によるコイル塞栓の方が再発リスクは高いです。
こういう点を考えても、
何が何でもカテーテル治療というのは ?? と思います。
不幸にも脳ドックなどで偶然、脳動脈瘤が見つかった患者さんが脳外科外来には来ます。
そんな患者さんの中には、
「動脈瘤って手術しなくても最近は治るんですよね」
とおっしゃる方がいます。
こういった患者さんが言いたいのはつまり、
カテーテルを用いた血管内治療の事だと思います。
脳動脈瘤に体する血管内治療については、
以前にも何度か記事を書きました。
以前の記事では主に欧米で得られたデータなどをまとめて、
血管内治療と手術治療の比較をしました。
今回はこれらのデータではなくて、
一般的な話を書きます。
まず、
冒頭の様な「手術をしなくて治る」という認識は、
実は大きく間違っています。
これはメディアによって、
「体に優しい」「傷がつかない」「低侵襲」
というカテーテル治療のイメージが必要以上に喧伝されすぎた結果かもしれません。
はっきりと言って、
一般の患者さんは皆カテーテル治療に対してあまりに楽観的な印象を持っています。
確かに、
足や腕にカテーテル挿入のための小さな傷がつくだけで、
体の表面に傷はほとんどつきません。
これは手術でメスが入ることに比べての最も大きな利点です。
ただ、
実際に脳動脈瘤の治療に関するリスクという点では、
決して開頭手術と比べて明らかに優れるという事はありません。
この”リスク”というのは、
重い合併症を残したり、命を落とすリスクということです。
そういう意味では、
カテーテルを用いた動脈瘤の治療というのは、
頭を切り開く手術と比較しても同じくらいのリスクがあるという認識の方が正しいのです。
決して、
気楽な治療ではありません。
あとは、
向き不向きの問題があります。
カテーテル治療の最大のメリットは、
手術での到達が難しい、つまり、
直接動脈瘤を見るのが難しいような場所の動脈瘤に到達しやすい事です。
これは脳の奥深く、外から到達するのが難しい場所の動脈瘤です。
こういった場所の動脈瘤については、
当然カテーテルの方が有利という事になります。
カテーテル治療が最も力を発揮するケースだと思います。
しかし、
一方で動脈瘤の形と大きさの問題があります。
形や大きさという点では、
手術の方に分があります。
カテーテルによって内側からコイルを押し出してくるくる巻くという方法では、
原理的に応用性に限界があります。
いろいろな素材を駆使する事でこれらを解決しようとするものの、
それでも実際の治療の現場では、運次第な面があります。
しっかりと術野が見えた時の手術の応用性には適いません。
動脈瘤の形や大きさが原因で手術が難しいのであれば、
それがカテーテル治療で簡単ということはまずありません。
なんでもかんでも、
どんな動脈瘤でもカテーテル治療が適している、というわけではないのです。
更には、
根治性の問題があります。
根治性という点でも、
今の所は手術に分があります。
カテーテル治療では再び動脈瘤が再発する可能性が手術に比べて高いのです。
結局のところ動脈瘤の閉塞という事に関しては、
血管の中にコイルという異物を詰めるカテーテル治療の場合、
異物による血栓化という現象に対する期待が非常に大きいです。
これは、
コイルによって血流が低下し血が固まって動脈瘤の中が血栓化することで、
閉塞するという現象です。
十分なコイルが入ることによって、
血流が低下すれば血が固まるだろう、ということなのですが、
実際にはこの血栓化の予測は難しいのです。
うまく血栓化せずに動脈瘤が十分に詰まらないこともあれば、
また、下手に血栓化して必要な動脈が閉塞して脳梗塞になる事もあります。
こういった意味でも、
カテーテル治療は確実性で劣る面があります。
変な話ですが、
頑張って1本10万以上するプラチナ製コイルを何本も何本も詰めても、
結局動脈瘤が大きくなって破裂してしまう、というような事だってあるのです。
手術でばちっとクリップで閉じても再発することは稀にありますが、
確率で言えばカテーテル治療によるコイル塞栓の方が再発リスクは高いです。
こういう点を考えても、
何が何でもカテーテル治療というのは ?? と思います。



