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「コレクターならプライドを持ってやってください!」電動自転車のバッテリー76個を盗んだ収集男に裁判官が怒りの一言

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裁判傍聴芸人の阿曽山大噴火です。今回、傍聴したのは、電動アシスト自転車のバッテリーを盗んで逮捕された岡田一寛被告人の初公判。9月1日に東京簡裁で行われました。罪名は窃盗です。

起訴は2件。1つは今年3月15日の昼過ぎ、世田谷区のドラッグストアの駐輪場に停めてあった電動アシスト自転車から時価3万円相当のバッテリーを盗みました。報道されていたのはこの事件です。実際は、もう1つ起訴されていて、世田谷区のスーパーの駐輪場に停めてあった電動アシスト自転車から、こちらも時価3万円相当のバッテリーを盗んでいます。

何のためにバッテリーなんか盗むのやら…と首を捻ってしまう事件。ヤフオク!やメルカリなど、物を売買するサービスで電動アシスト自転車のバッテリーを検索すると、いくつか出品されていました。もちろん不要となった中古品を出品しているのであれば何の問題もありませんが盗品は犯罪です。もう少し調べたところ、バッテリーの盗難が問題となっていた時期がありました。要するに駐輪している電動アシスト自転車からバッテリーを盗んで転売する悪いヤツがいるのです。バッテリーには鍵が掛かっているので、簡単に盗むことはできませんが。

被告人は罪を認めています。検察官の冒頭陳述によると、被告人は高校を卒業後、海外を2年間放浪。帰国後、専門学校に通い、卒業後、フローリングの会社に就職。現在も会社員で、生活は一人暮らしです。経歴はここまでとなります。

子供の頃からあった収集癖


検察官「被告人は幼少期から興味がある物に対して収集癖がありました」

被告人は2年前から電動アシスト自転車を利用し、バッテリーに興味を持ち出したのが約1年前。興味がある物を収集する癖があったそうです。電動アシスト自転車のバッテリーを集めたいが値段は高い。それなら「取り外して盗もう」となったようです。被告人は駐輪中の電動アシスト自転車を見つけると、マイナスドライバーで鍵を外してバッテリーを盗んでいたとのこと。被告人は一軒家で一人暮らしをしていますが、取り外した棒状のバッテリーは自宅に持ち帰り、陳列していたようです。

被告人の自宅で発見されたバッテリーはなんと76個。

偶然なのか検察官が意図したのかは不明ですが、被害者は2人とも女性で、今回の犯行に激怒しています。バッテリーがないと自転車を漕ぐのが大変ですからね。

1人目の被害者は「バッテリーはメルカリで3万円を払って買い直しました」と話し、2人目の被害者も「通勤で使用していたため大変でした」と証言。2人とも示談を拒否しています。

法廷には77歳になる被告人のお父さんが情状証人として実家から来ていました。まずは弁護人からの質問です。

弁護人「被告人は今実家に戻って暮らしていますけど、本人から動機は聞きましたか?」
父親「はい、コレクションだと聞いています」
弁護人「それを聞いてどうですか?」
父親「昔から物を集める癖がありましたが、盗んでというのはおかしいんじゃないかと」

電動アシスト自転車のバッテリーを集めること自体は疑問に思っていません。今後、被告人は実家を離れるそうですが、被告人の弟と妹がいて全員に合鍵を渡すようにしたと。定期的に家を訪れて「変な物を集めていないか?」とチェックできる環境を整えるそうです。

コインや切手と同じ感覚でバッテリーを集めていた


被告人質問です。

検察官「どうしてこんなことをやったんですか?」
被告人「収集癖があり、コレクションを集めるためです」
検察官「購入は考えませんでしたか?」
被告人「高価な物なので」
検察官「盗んでいる時は悪いことをしていると思いませんでしたか?」
被告人「被害者のことを考えられませんでした」

収集となると集中してしまい、被害者のことが考えられなくなるようです。

検察官「ちなみに盗んだバッテリーはどうしていたんですか?」
被告人「大事に磨いて保存していました」

コレクターなので大切に扱っていたようです。泥が付いていたらピカピカに磨いて綺麗にしていたのだろうなと。そんなこと言われても被害者にとってはどうでもいい話でしょう。とにかく転売目的なんてとんでもないですよという主張です。

検察官の質問です。

検察官「被害者は2人とも示談を拒否しています」
被告人「それくらい悪いことをしたと思っております」
検察官「今回の被害者は2人とも女性です。気持ち悪いと思われていることも理解していますか?」
被告人「それもわかります」
検察官「40歳を超えて、被害者が気持ち悪いと感じることがわからなかったのですか?」
被告人「集めることに熱中して自分を抑えられませんでした」
検察官「実名報道もされましたが、会社の方はどうなりましたか?」
被告人「自分から辞めようと思っています。社長にも伝えています」
検察官「今回の件、社長は何と言っていますか?」
被告人「『会社を辞めても仕事を依頼するよ』と言ってくれました」

被告人はフローリングを貼る特殊な技術を身につけていて、会社としては必要不可欠な職人だったようです。社長も被告人の腕は評価しているということですね。事件の中身だけを聞くと、変な物を盗んでまで収集をしているダメなヤツとの印象ですが、物凄く仕事が出来て頼りにされている人物だったことがわかります。

検察官「バッテリーを集めるきっかけは?」
被告人「興味を持つと集めてしまうところがありまして」
検察官「一般的には電動アシスト自転車のバッテリーはコレクションの対象にならないと思いますが…」
被告人「たくさん欲しいと思ってしまいました」
検察官「コインや切手みたいな感覚で集めていたんですか?」
被告人「そうです」
検察官「目標は何個だったんですか?」
被告人「ありません。ただ外出して見かけると欲しくなることがありました」
検察官「でも、あのバッテリーって場所を取りますよね。あなたの場合は結構あったわけですが…」
被告人「広いところに1人で住んでいたのでまだ置けました」

まだ部屋に余裕があったため、逮捕されなければまだ盗んでいたかもしれません。

検察官「あなたも電動アシスト自転車に乗っていて、バッテリーが盗まれたり壊されたりしたらどうですか?」
被告人「とても重くて乗れたものではありません」
検察官「被害者の気持ちがわかったじゃないですか。集めるのはいいけど買えばいいわけですよ。ネットオークションなら安く買えますよね? これは盗んだことが問題です」
被告人「わかります」
検察官「一軒家に一人で住んでいますが、同居人はいませんか?」
被告人「友達とかはいますけど」
検察官「友達は今回の事件のことで何か言っていましたか?」
被告人「報道で知ったみたいで、『なんでこんなことやったんだ』と連絡がたくさんきました」

友達もしっかりいます。社会の中できちんと生活をしている人だということがわかります。検察官は最後にカッコいい感じで締めようとしていました。

検察官「欲望って怖いんじゃないですか? 欲望がいい方向に向かえばいいけど、盗むのは悪い方向ですよね。終わります」

最後はポエム風で終わりました。

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