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博士が求められるのに

今日(10/19)の日経9面に、日本での博士離れが取り上げられていた。米独中で博士号の取得者が増えているのに、日本では減っている。これでは技術開発に遅れをとる。

日本で博士の人気が低いのは、就職に不利だからである。博士号を評価し、採用してくれる組織が少ない。国立大学での研究職は、大学全体への予算が減少しているから、新規のポストがない。あったとしても期間限定(任期付き)だから魅力に乏しい。教育の負担が伴う教員にでもという選択肢も同じである。要するに上が(年寄り)が塞いでいる。

民間の研究機関や企業も同様である。企業がこの20年間やってきたことは、費用削減だった。だから、いつ収益に結びつくのか判然としない研究開発部門は真っ先に切られがちである。

では、普通の会社員として採用してもらえばということも考えられる。と、日本企業の大きな弱点がある。年功序列、終身雇用という建前が邪魔をしてきた。博士号を取得するのには年数がかかる。学位を取得すれば30歳近くになから、年功序列の制度に乗らない。

というか、そういうことを想定して人事制度を作ってきた企業が少ない。もっと言えば、博士という能力を評価できてこなかった。だから能力に見合った処遇ができない。

日経の「私の履歴書」を読んでよく思うのは、学生時代に勉強しなかったことを(それでも出世したのだと言わんばかりに)自慢気に書く経営者が何人もいることだ。経営者に、「大学院卒を採用しないのと」と質問すれば、必ずといっていいほど、「役に立たない」との答えが返ってくる。学卒で十分との答えである。その程度の企業なのだろうが。

日本の社会は悪循環である。大学院に進み、さらに博士という学位を取得しても、就職が限定される。とすれば、すばしっこい学生は大学院に進まない。大学院に進み、さらに博士を取得しようとするのは、企業からすると「変わり者」になる。極論すれば「博士を取得するしか選択肢がなかったのでは」となる。だから、企業は博士号の取得者を採用したがらないし、採用基準から外してしまう。と、学生はますます博士を敬遠する。

昔、女子が大学に進むと結構適齢期を逃してしまうと言われたものだ。だから、大学へ進学した女子は「変わり者」、「男性として対処できない」とみなされた。それと同様のことが、今でさえ日本社会で大手を振っている。

一言で表現すれば、経営者に見る目がなく、さらに能力がない。だから日本の大企業が世界基準からすると落ちこぼれてしまった。そういうことだろうか。

学生としてどうすればいいのか。そんな日本企業、日本社会ばかりを意識して行動しても仕方ない。グローバルに活躍するつもりで、博士を目指してもらいたいものだ。もっとも、日本の大学で博士を目指していいものかどうか、その大学院で5年間を過ごす値打ちがあるのかどうか、この点も思案のしどころだか。

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