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中曽根元総理葬儀に参列

 昨年11月に101歳で亡くなられた中曽根康弘元総理の内閣・自民党合同葬が高輪のグランドプリンスホテルで営まれた。当初は武道館だったがコロナ禍で場所も変更、三密を避けるため5千人も入る会場には政界関係者や近親者らわずか644人であった。辻代議士が居ないので電話すると「われわれ陣笠は断られました、8回生以上しか参列できなかったのです。」と残念がっていた。

 私のようなOBはわずか数人、全員マスクだから顔もわからないが、隣の石破議員はじめ、多くの後輩たちから盛んに声を掛けられ嬉しかった。

 菅葬儀委員長は追悼の辞で「中曽根先生は次世代の我が国の姿を見据え、必要な改革を実行され、国際社会の平和と繁栄に貢献された。改革の精神を受け継ぎ、国政に全力を傾けることをお誓いする。」と述べた。総理に就任して初めての「生の声」を聞くような感じであった。  

 その後、天皇皇后両陛下、上皇ご夫妻の使者が拝礼し、秋篠宮ご夫妻をはじめ皇室の方々が供花された。友人代表は渡辺恒雄読売新聞主筆だが欠席、代理の方が代読されたが、確か94歳のはず、大丈夫かなと健康が心配になった。

 1時間半に及ぶ式典で、私は在りし日の中曽根先生のことを偲んでいた。

 98歳の時お尋ねし、ご一緒に写真を撮ったが「深谷君の手は温かい、若いっていいね。」と言われて戸惑ったものだ。

 私の政治家としての半生は先生と共にあった。出会いは無名の私が区議の頃からだから60年に及ぶ。随分良くして下さったが、どちらかと言うと私は反抗児であった。衆議院初出馬の時は反発して無所属で当選したし、先生が総理の時に主張した「売上税」で反対運動を起こし、腹心の反乱と大騒ぎになったが、これをつぶしたこともある。

 しかし、先生は決して怒ったこともなく、一緒にヨーロッパに行こうと誘い、サッチャー首相、コール首相など錚錚たる世界の要人たちに会わせてくれたりもした。

 本を読め、芸術論や文化論が出来なければ世界の政治家と太刀打ちできないと常に言われた。渡辺氏の弔辞に「カント哲学の信奉者」であることが紹介されていたが、中曽根先生はまさに哲人であった。

 そんな先生の葬儀の費用についてテレビなどで批判の声もあった。中には兵庫県の知事が最高級車を使うことへの批判と同一視し、税金の無駄遣いではないかと論じたものもいた。まるで次元が違うことをわざと混同させて政治批判につなげる、最近の一部マスコミの常とう手段である。

 また各府省が弔旗を揚げることや黙とうをすることを閣議了承し、同様の方法で哀悼の意を関係機関に協力を要請したが、特に文科省が全国の国立大などに同様の要請したことから、「思想統制につながる」との声も上がった。40年前からやっていることだが、それでは40年間も思想統制してきたとでも言うのであろうか、全く論理的ではない。

 昭和天皇の大喪の礼の時も文科省から弔意伝達があった。ところが学生50人ぐらいの反対で、東大は約30分掲揚しただけで終わり、一橋大は唯一掲揚できなかった。馬鹿げた話ではないか。

 天皇は日本国の象徴であり、国民統合の象徴でもあるので、国民的敬弔の対象として公的性格を持つ。儀式運営のために公金が支出されても問題はない。これが内閣法制局長官の判断で、今も変わりはない。

 大喪の礼と同一視は出来ないが、国民的敬弔の対象として公的性格を持つという点は元総理の葬儀でも同様である。

 戦後の総理として生前に大勲位を受賞した人は吉田茂、佐藤栄作と中曽根先生の3人しかいない。私は吉田、佐藤両先生と同じように「国葬」として全額国から出してもおかしくないと思っている。

 「暮れてなお、命の限り蝉しぐれ」

 これは先生の句だが、いくつになっても国の為に正論を訴え続けた愛国心に満ちた中曽根先生の教えでもある。

 千葉県の友人はじめ多くの人から私と同様の考えを伝える声が続いた。「心から先生のご功績をたたえ、その死を悼み、静かにお送りしたい。」これは決して私一人の思いではないのである。

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