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パスポート取り上げ禁止の法整備を 外国人当事者らが立民議員に訴え

日本で企業からのパスポート取り上げを経験した外国人当事者や支援団体、弁護士が16日、「外国人の受入れと多文化共生社会のあり方を考える議員連盟」の事務局長などを務める石橋通宏参議院議員(立憲民主党)を訪れ、パスポート取り上げを規制する法律の制定を求めた。

BLOGOS編集部

今年1月、勤務していた行政書士事務所が、退職後もパスポートの返却を拒んでいるとして横浜地裁に提訴した30代のフィリピン人女性は、石橋議員に「パスポートを取り上げられて困っている外国人は日本にたくさんいる。その多くが支援を受けられていない」と訴えた。

転職できず経済的困窮に陥る外国人も

パスポート取り上げの経験を石橋議員に話すフィリピン人女性

女性は昨年5月、入社の際に「在留資格の変更のために必要」と説明を受けて勤務先にパスポートを預けた。同年7月、退職する旨の文章を勤務先に提出するも、パスポートの返却を拒否されたため、今年1月、横浜地裁に提訴。8月の時点でパスポートは返還されたが、現在、生活保障や慰謝料をめぐって裁判は続いている。

【提訴までの経緯を読む】パスポート返還拒否でフィリピン人女性が雇用先を提訴

石橋議員に面会した女性は「日本では退職後もパスポートが企業から返却されないというケースがあることに非常に驚いています。パスポートがなければ外国人は転職できず、退職後には経済的に困窮する」と日本における外国人労働者の苦境を伝えた。

中国人女性は「卒業証書を返してもらえないと国に帰っても就職できずにとても困ります」と語った

20代の中国人女性は、ビザ変更のために大学の卒業証明書や日本語能力認定書を派遣会社に預けた際、「3年間働けば、証明書を返還する」などと伝えられたという経験を話し、「中国では卒業証明書の再発行が困難なため、退職して母国に帰っても再就職することが難しく、経済的な困窮に陥る」と訴えた。

パスポート取り上げを禁止しない日本 欧米から指摘の声

当事者らの話を聞く石橋議員

このように、外国人労働者が企業側からパスポートなどを取り上げられてしまう背景として「日本の法整備の明らかな不備」を弁護士は指摘する。

外国人労働者問題に詳しい指宿昭一弁護士によると現在の日本の法律では、技能実習生を除いて、外国人労働者のパスポートなどを企業が取り上げる行為を禁止する法律はない。厚生労働省の指針において「事業主は、外国人労働者の旅券等を保管しないようにすること」という呼びかけがあるものの法的効力はなく、帰国や転職などを防ぐためにパスポートを企業側が管理するケースが横行しているのが現実だ。

指宿弁護士は「強制労働を禁じている日本でパスポートの取り上げが行われている現状を知った欧米からは驚きの声が上がっている。外国人労働者保護の観点で日本は非常に遅れている」と警鐘を鳴らす。

外国人労働者の支援活動を行っているNPO法人POSSEの岩橋誠さんは「パスポートを奪って働かせることは強制労働にあたる。これを機に議会のなかでも問題意識を持って、外国人労働者を保護する法律を立法してほしい」と訴えた。

当事者らの声を受けて石橋議員は「パスポートの取り上げは長年の問題。厚労省や政府がどのように把握しているのか確認をしつつ、今後どのような措置を取ることができるか検討していきたい」とコメント。立法に関しては「与党の協力を得ないと議員立法は進まない。自民党などの賛同を得られるのかも含めて、具体的に議論をしていきたい」と述べた。

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