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料金値下げ実現"ゴリ押し"でドコモ完全子会社化 菅首相「公約」の恐怖と地銀の運命

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NTTドコモ(以下ドコモ)のドコモ口座問題に絡んで、その官僚体質の払拭が立て直しのカギであると前回書いた途端、なんとNTTによるドコモの完全子会社化が発表され大きな話題になっています。

前回の続き的に官僚体質払拭の観点から申し上げれば、本件はこの上なくマイナスな話であることに相違ないことは、はじめに記しておきます。

それはさておき、今回の完全子会社化は菅内閣の目玉施策である携帯電話料金引き下げを受け入れるためのものではないのか、という話がもっぱらではありますが、果たしてどうなのでしょう。今ある情報をもとに、ことの真意を探ってみたいと思います。

ドコモが料金値下げに消極的であった背景に6G主導権争い

Getty Images

庶民レベルはともかく日本国にとって携帯電話料金の引き下げは、菅首相の人気固め戦略の中心にあるという至って個人的なことを除けば、さほど大きな問題ではないでしょう。

むしろ業界が抱える問題で現在もっとも重要な案件は、世界競争における5G対応の遅れとその先にある6Gでの主導権争いをいかに優位に進めるかです。

現状5G関連の特許に関して、中国のファーウェイやZTE、韓国のサムスンやLGが軒並み10%以上のシェアを獲得しているのに対して、ドコモのシェアはわずか3%台。

我が国の携帯電話業界を液晶テレビの二の舞にしないということ以上に、情報通信網という現代の最重要インフラの主導権を他国企業に奪われないためにも本件は非常に重要性の高い問題なのです。

遅れ気味な5G対応で世界にキャッチアップしつつ、その先の6Gで先頭集団に躍り出るためには、現時点で膨大な研究開発費及び設備投資が必要になるわけです。

首相が言うように日本の携帯電話会社の利益率が高いということは厳然たる事実ではあるものの、何より一民間企業の利益をとやかく言うのはお門違いであり、ましてや次世代通信確立に向け我が国が優位に立つための必要な先行投資を理解しないとすれば、首相としての資質さえ問われかねないと思うわけなのです。

官房長官時代ならまだしも、首相になってまでその使い途のある利益の吐き出しを迫る菅首相からの携帯電話料金値下げ圧力には、ただただ閉口するばかりです。

昨年の新料金体系で携帯料金が最大4割安くなるとしたドコモは、菅新首相の就任によりさらなる値下げ圧力があろうと、5G、6G投資がある以上、さらなる値下げには消極的であったというのは当然の流れでしょう。

NTTの完全子会社化「最終トリガー」を引いた菅首相の発言

AP

他方ドコモの親会社であるNTTは、同社の筆頭株主で約33%の出資比率を持つ国から、「携帯電話料金をさらに値下げせよ」と命令されたならばそれに従わざるを得ない、というのが実情ではあります。

となれば、大株主の親玉である新首相の命を受けたNTTは子会社であるドコモに、株主要請として携帯料金もう一段の値下げを指示。ドコモ単体では値下げをした上で5G、6G対応を確実におこなうのは不可能であり、NTTによる完全子会社化によって対応せざるを得なくなったというのが、ことの次第であると思われます。

最新の報道によれば、ドコモの業績不振を理由にNTTは今春から水面下でドコモ完全子会社化に向けて動き始めていたと言いますが、そもそもドコモの業績不振の根源は菅首相の値下げ圧力による新料金プラン導入に端を発したものであり、今回の首相就任会見における「携帯電話の料金値下げ」断行公約発言が、形式上ドコモ完全子会社化に向けた最終トリガーを引いた形になったわけなのです。

政府が大手民間企業の主要戦略に影響を与える強引なやり口

今回の報道を聞いて何より疑問に感じたのは、そもそも通信事業におけるNTTの市場独占力の抑止かつ電気通信事業者の公正な競争促進の観点から、ドコモは政府措置として1992年にNTTと分離されたはずではなかったのか、という点です。

年月を経て市場が落ち着いた?いやいや市場は大手三社の拮抗状態に楽天モバイルという新規事業者が参入したばかりで、ここでドコモが巨大資本を背景に力を増すことは他の3社にとっては大きな脅威になるのではないか、と思うわけです。

事実KDDIやソフトバンクは、今回の完全子会社化報道を受け即時に、この観点から懸念コメントを公表しているのです。

菅新首相にとって携帯電話料金値下げは、ここ2年ほど官房長官として首相の座を狙いつつ小泉純一郎氏の郵政民営化問題と同じように、自身のイメージ戦略の核に据えてきた感が強くあります。

そして首相の座に座った今、必ずや実現しなくてはならない「公約」となり個人的最優先課題になったことは間違いありません。

なれば政府として、元々同根組織である業界トップ企業NTTを動かし過去の政府措置撤回を許してでも、まずはこの料金値下げという課題を実現して自身の人気を確固たるものにしたいという思いが、周囲を動かす原動力となり今回の驚きの一件につながったとすれば非常に危険なにおいを感じるわけなのです。

政府資本が約33%入っているとはいえ、NTTは民間企業に相違ありません。大手民間企業の主要戦略に影響を及ぼすような強引なやり口で自身の「公約」を押し通すというのは、「民」のことは「民」に委ねるという今の時代の基本的な考え方にさえ反するという印象が強く、「民」としてビジネスに携わる我々にとっては、一種の恐怖心さえ抱かせるものであるからです。

菅新首相はどちらかというと一般的にはおとなしい印象が強いように思いますが、私にはとても怖い人であると今回の一件で強く印象付けられました。

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