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サイバー捜査の向上急げ

ネット社会に潜む危険性直視して

PC遠隔操作

ネット社会の危うさと脆さが透けて見える。対策を急がねばならない。

遠隔操作されたパソコン(PC)からの殺人予告で、無実の人たちが起訴されるという新手のサイバー犯罪が起こった。

誤認逮捕された4人は全員釈放され、警察も謝罪した。だが、これで一件落着とは到底いかない。何しろ事件は、インターネットを利用する誰もが「犯人」になる可能性があることを見せつけた。便利さこの上ないネット社会の裏側を垣間見た思いがする。

事件は、多くの教訓を残した。

まず第一に、警察の捜査の在り方だ。4人のうち2人が捜査の途中から容疑を認める供述をしたのはなぜか。誘導尋問や自白強要があったのではないのか。神奈川県警に誤認逮捕された大学生が、あれほど具体的に「犯罪の動機」を供述したのも不思議だ。捜査員による何らかの関与があったのではないのか。

警察は真犯人の検挙を急ぐのは当然として、国民の多くが抱いているこれらの疑問に真摯に耳を傾け、誤認逮捕に至った全容の解明にも全力を挙げてもらいたい。

サイバー犯罪に対する捜査能力の向上も欠かせない。

これまで捜査機関は、IPアドレスと呼ばれるパソコンの識別番号を「動かぬ証拠」として採用し、そこから容疑者を特定してきた。

しかし、新種のウイルスが次々と登場する中、IPアドレス頼みの捜査の限界は多くの専門家が指摘してきたところだ。今回の事件も、警察はIPアドレスを根拠に、一方的に「犯人」を決め付けた節がある。

官公庁へのサイバー攻撃なども含め、手口が巧妙化する一方にあるサイバー犯罪の向こうを行く捜査態勢の拡充が待たれる。

それにも増して重要なのは、全国に9600万人を数える私たち一般のパソコン利用者の、ネット社会に向き合う姿勢だろう。

職場であれ学校であれ家庭であれ、インターネットなしの社会生活はもはや成り立たない。だが、匿名性を特徴とするネット社会には、「顔が見えない」ことを悪用した無責任な言動や名誉毀損、流言飛語など反社会的な情報が氾濫していることを忘れてはならない。

愉快犯の跋扈を許さないためにも、不審なメールのファイルは開かない、ウイルス対策ソフトの更新を忘れないなど、ネット時代を賢く生きるための知識と技術を身に付けていく努力が肝要だ。

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