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アングル:手堅いペンス氏、勢い見せたハリス氏 持ち味発揮


[ワシントン 8日 ロイター] - 7日に米ユタ州ソルトレークシティーで開かれた大統領選の副大統領候補討論会は、共和党のペンス副大統領と民主党のハリス上院議員が互いに持ち味を発揮した。

トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染し、民主党候補のバイデン前副大統領に支持率を一段と引き離された状況でペンス氏に委ねられたのは、動揺した陣営の態勢立て直しだ。トランプ氏がバイデン氏との討論会で相手の話を激しくさえぎるなどして混乱を招いたのと対照的に、ペンス氏は説得力のある感情を抑えた発言に終始し、伝統的な共和党員や一部の無党派層に対し、政権をあと4年間、共和党に託そうと考えるべき理由を納得させるような態度を示した。

ただ残念ながら、ペンス氏はトランプ氏ではない。つまりテレビのスクリーンやメディアの報道を独占しているのはトランプ氏であり、他の陣営のメンバーはたとえ副大統領といえども影が薄くなってしまう。また今回のペンス氏の奮闘でも、トランプ氏再選にとって最も大きな問題となっている女性票を取り戻せた気配はない。

<ペンス氏 そつのない対応>

今年の副大統領候補の対決は、過去に比べて断然重みがあった。なぜならコロナに感染したトランプ氏は74歳、バイデン氏は77歳といずれも高齢。当選しても健康面から任期を全うできるか不安を抱えているからだ。ペンス氏、ハリス氏はともに万が一の事態が起きればすぐに大統領の職務を務める存在というわけだ。

90分の討論会を通して、ペンス氏は減税、軍事力強化、司法の保守化、中国への強硬姿勢といったトランプ陣営が掲げる優先課題をよどみなく説明し、用意していた発言以外は、自らに不利になるような質問への直接の返答は避ける慎重さものぞかせた。バイデン氏との討論会で不規則発言やどぎついパフォーマンスを連発し、世論のひんしゅくを買って支持率のさらなる低下を招いたトランプ氏との違いは際立っている。

それでもペンス氏はトランプ氏と同様に、オバマケアを廃止した後で持病を抱える人たちの医療保険をどうするのか十分な計画を明らかにできなかった。この問題は有権者にとって最大の関心事の1つだ。

<ハリス氏 大舞台に臆さず>

一方ハリス氏は、これまでの政治人生で最大の舞台が訪れたにもかかわらず平然としていただけでなく、時には力強ささえ感じさせた。討論会の序盤、ペンス氏がトランプ政権のパンデミック対応の弁護を強いられる場面では、ハリス氏はすかさず、トランプ氏が米国民に対してうそをつき、そうしたうそを国民の間に広げたのは大統領にふさわしくない失態だと批判した。

2016年の大統領選でヒラリー・クリントン氏の陣営に参加した民主党ストラテジスト、ジョエル・ペイン氏は、ハリス氏がコロナ問題で強く求められていた得点を稼いだと指摘。だがペンス氏の方も共和党員に対し、投票日までつなぎとめる材料を与えたとみる。

ハリス氏には、民主党支持の若者や左派層に熱気を喚起するという使命もあった。彼らの間で、バイデン氏は時代遅れの政治家とみなされかねない面があるからだ。

ペイン氏は「ハリス氏の役割は陣営の活性化、ペンス氏は支持基盤固めだった。恐らく2人ともそれぞれの分野で成果を出しただろう」と述べた。

16年に共和党の大統領候補指名を狙ったジェブ・ブッシュ氏の陣営で働いた共和党ストラテジスト、マット・ゴーマン氏によると、ハリス氏とバイデン氏が連邦最高裁の保守派とリベラル派のバランスを取るための判事定数増員を支持するかとの質問に対し、ハリス氏が回答を拒否したのは(リベラル派の支持を得る上で)ハリス氏の失敗だった。

とはいえ、最大限のてこ入れを図り、特に女性を中心に無党派層の支持を回復しなければならないのはトランプ-ペンス陣営の方だ。

ハリス氏の発言中にペンス氏が常に割り込んで入り、ハリス氏と司会者双方から最後まで聞いてほしいと要請されていたことは、ペンス氏にマイナス材料になったかもしれない。直後のCNNによる調査では、女性視聴者は圧倒的に論戦の勝者をハリス氏と判定した。この点では、ペンス氏は見た目以上にトランプ氏に近かったと言える。

(James Oliphant記者)

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