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日本学術会議メンバー9割超は首相任命ではない

日本学術会議の建物 出典:Rs1421

古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)

【まとめ】

・学術会議には政府の管轄外で、同会議会長により任命される、2000人の「連携会員」がいる。

・この連携会員は会員と同じ活動に関わり、再選も許可される。

・こうした事実を鑑みると、政府の任命の是非を論じることは無意味。

いま国政の場で論議の的となる日本学術会議に関して、重大な事実が一つ、無視されているようだ。首相の任命する210人の会員で運営されるかのように報じられるこの組織には実際には首相に任命はされない2000人もの「連携会員」と呼ばれる別個の会員たちがいて、首相任命の会員たちと一体になって活動している事実である。

日本学術会議自体は組織の要員は2200人だと宣言している。みな同じ国家公務員として扱われる。だがそのうちの約2000人は日本学術会議の会長によって任命される。

だからこの組織自体は現実には政府機関ではなくなっているのだとさえいえる。なぜなら連携会員も会員も同会議では一体となり、同じ活動を推進しており、同会議全体としてはその全メンバーの9割が政府のまったく管轄外で選ばれているからだ。

いま国会やメディアをにぎわす日本学術会議の会員任命の是非論義はこの重大な事実に触れていないのである。

今回の論議は菅義偉首相が政府機関の日本学術会議に対して一部の新会員候補の任命を認めなかったことが契機となった。同会議は科学に関して首相の諮問に答えて、答申や勧告することを最大任務とする国家機関とされる。だからそのメンバーは首相が任命する権利が法律で明記されている。ということは一定候補の任命をしない権利も当然、認められこととなる。いま野党や一部メディアはその権利までは批判しないが、今回の6人の会員候補を任命しなかった理由の開示を要求している。

▲写真 菅総理 出典:首相官邸Facebook

だが国家が国家機関の公務員の非任命の理由を明かすとなると、当然、任命の理由も開示すべきだという考え方も出てくる。だから現実には政府が任命を考えた人事案件のすへてについてその結果にいたる理由を説明することなど、国家機関として非現実的であり、物理的にも不可能に近いだろう。民間の企業の場合でも、社員の採用の是非や昇進の理由を個別に開示することは、非現実的である。

日本学術会議の場合は国家が設置して、管理する政府機関としては、すでに奇妙な現状となっているのだ。同会議の実際のメンバーの9割以上が首相の任命ではないからだ。この連携会員というのは実際には会員と同じ活動にかかわるメンバーなのである。

同会議自体の「会員と連携会員の位置付け」という公式説明でも、両者の活動の差異はほとんどない。連携会員も会員と同じように同会議の設けた30以上の各委員会や分科会に加わり、「連携し一体となって」活動することが明記されているのだ。

同会議の活動方針宣言でも「210人の会員と約2000人の連携会員によって職務が担われている」と記して、会議のメンバーは合計2210人であることを明確にしている。そして連携会員は一般の会員を推薦する権利も与えられて、一般会員が6年任期で再選が認められないのに、連携会員は再選も許されるという優遇ぶりなのだ。

また連携会員も一般会員と同じく国家公務員として扱われ、非常勤ではあるが、日当や経費は同様に支給されている。そして最重要な点として、この連携会員は政府とはまったく無関係に日本学術会議の会長の権限だけで任命されるのだ。だから同会議のメンバーの9割以上が組織自体の任命権者の首相の権限外にあるわけである。いかにもおかしな国家機関だといえよう。

やはりこんな決定的な欠陥を示す日本学術会議はいっそ民営化してしまうか、政府機関としてならば根本的な見直しを断行するべきであろう。

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