記事

海自護衛艦「しらゆき」でも隊員虐待――札幌地裁が国に賠償命令

 護衛艦しらゆき(山本勝也艦長=事件当時)艦内で先輩隊員から暴行を受け心的外傷後ストレス障がい(PTSD)を負ったとして元海上自衛官Aさんが国を相手に起こしていた国家賠償請求訴訟で、札幌地裁(石橋俊一裁判長)は九月二一日、一五〇万円の支払いを国に命ずる判決を下した。

 しらゆきは海上自衛隊横須賀総監部(吉川榮治総監=事件当時)の所属で、事件は二〇〇五年夏から秋にかけて起きた。横須賀ではおりしも護衛艦たちかぜ(落修司艦長+当時)の新隊員虐待・自殺事件が問題になっていた。たちかぜで虐待の調査や対策がなされている一方で、別の艦では虐待が進行していたわけだ。

 判決によれば、原告のAさんは〇五年に一般隊員の枠で海上自衛隊に入隊、2等海士としてしらゆきの砲雷科・射管(射撃管制装置)部署に配属された。以後、艦内で生活しながら仕事を覚えていたところ、先輩士長や3曹から次の暴行や暴言を受けたという。

 ▼見張りを交代する際、規定時間より早くこなかったのがよくないとして、安全靴で両すねを三回蹴られアザができた▼同僚と一緒に記録していた作業日誌について、同僚のつけ忘れを理由に腹や足を拳骨で殴られた▼舷門(停泊中の艦の出入り口)当直の際、マイクを使った号令の口調が「人を見下したようだ」として足を蹴り、胸を拳で殴り、ヘルメットで頭を叩かれた▼当直の引き継ぎを誤り寝ていると、後部甲板に連れていかれ、足払いをかけられ、座り込んだところを平手で顔を殴られ、腕や足や頭を蹴られた▼海に流した段ボール紙を双眼鏡で追尾する訓練中、見失ったと報告すると、後頭部を殴られ双眼鏡に目を打ちつけた▼「役立たず、すぐに辞めてしまえ」との暴言を浴びせられた。

 訴訟の中で自衛隊側は暴力を否定。だが、元同僚の目撃証言などもあり札幌地裁は国の主張を退けた。一方で暴力とPTSDとの因果関係は否定しており、原告側(代理人・市川守弘弁護士)はこれを不服として控訴を検討中だ。

(三宅勝久・ジャーナリスト、10月5日号)

あわせて読みたい

「自衛隊」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    元オウム死刑囚の帰依心消えた夜

    篠田博之

  2. 2

    中露側との連携に舵切った文政権

    赤池 まさあき

  3. 3

    石破氏「日韓の歴史を学ぶべき」

    石破茂

  4. 4

    日米を敵に回し北朝鮮選んだ韓国

    AbemaTIMES

  5. 5

    「GSOMIA報道は感情的」に反論

    小林よしのり

  6. 6

    韓国暴走か 日本は立場表明せよ

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  7. 7

    GSOMIA破棄 米では日本批判なし

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

  8. 8

    ユニクロと無印良品の決定的違い

    PRESIDENT Online

  9. 9

    GSOMIA破棄 画策したのは中国か

    文春オンライン

  10. 10

    民主主義を取り戻せ 若者の挑戦

    たかまつなな

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。