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菅首相、理由を説明してください

菅首相は昨日、内閣記者会のインタビューに応じ、日本学術会議が推薦した会員候補者のうち安保法制に反対していた6名の学者の任命を首相が拒絶したいわゆる日本学術会議問題について、以下のように答えた

「日本学術会議は政府の機関であり、年間約10億円の予算を使って活動している。任命される会員は公務員の立場になる。」

「推薦された方をそのまま任命してきた前例を踏襲してよいのか考えてきた。日本学術会議については、省庁再編の際にそもそも必要性を含めて、そのあり方について相当の議論が行われ、結果として総合的・俯瞰的な活動を求めることになった。まさに総合的・俯瞰的活動を確保する観点から、今回の任命についても判断させていただいた。こうしたことを今後も丁寧に説明をしていきたい。」

6人を除外した理由に関しては、「個別の人事に関することはコメントを控えたい」として、学問の自由を侵害するという研究者の指摘については、「学問の自由とは全く関係ない。どう考えてもそうではないだろうか。」と述べ、法解釈を変更したかについては、「過去の国会答弁は承知している」と述べたのみで説明は避けた。

しかしながら、過去の政権が行った国会答弁とは違うことをやっており法解釈の変更であるにもかかわらずそれについて説明を行わず、さらに、菅首相が官房長官を務めた安倍前政権の方針に反対した学者のみを拒絶した理由の説明を拒んでいるのは、応答責任の欠如としか言いようがない。自分たちの方針に反対した学者を排除しているのに、「学問の自由とは全く関係ない」など言って納得するのは政権べったりの右寄りの人達しかいないだろう。

「どう考えてもそうではないだろうか」と言われても、そう考えない人の方が多いのにどう考えたらそうなるのか?、馬鹿かと言いたい。説明を拒んだり論理的とは言い難い発言をするのは、今回の人事がもたらす影響について菅首相が事前に良く考えていなかったからだろう。こうして見てみると、菅首相は周到に準備して今回の行動をとったようには思えない。

菅首相は答えに窮したら今後も「個別の事案にはコメントを控える、総合的に判断した、今後も丁寧に説明したい」を繰り返すのだろうか?どっかで聞いたことがある答弁である。そういえば、民主党菅(かん)政権の時に法相に就任した柳田稔氏が、法務大臣は「個別の事案についてはお答えを差し控る」、「法と証拠に基づいて適切にやっている」の二言だけを覚えておけばよいと発言したのを自民党が追求し、柳田氏が「今後は真摯な答弁を心掛けたい」と弁明したものの、ねじれ国会の中、早々に退任に追い込まれたことがあった。 自民党は民主党政権の閣僚の姿勢を徹底的に非難したが、全く同じことをやっているのである。

菅首相はまるでロシアのプーチン大統領のような表情をしてインタヴューに答えていたが、日本をロシアのように独裁者のいうことが何でもまかり通る国にしてはいけない。日本学術会議のあり方は多いに議論すべきだと思うが、それは今回の問題とは別問題だ。前例を破って、政権が自身に批判的だった学者を排除して理由についての説明を拒んでいるだけの話である。政府が金を出している国立大学等の研究機関およびそれらに所属している研究者に対して、政府への批判を行うなというのは全体主義に他ならない。

ネトウヨからすれば、保守を掲げる愛国的な安倍政権が導入した安保法制に反対した連中は「サヨク」だ→サヨクは「反日」だ→日本を貶める連中のために公金が使われるのは許せないとなるのだろう。

しかし、立憲主義的改憲左翼の私からすれば、まともに憲法9条を読めば日本が直接的に攻撃を受けているわけではないのに同盟国を助けるために地球の反対側まで自衛隊の派遣することを容認する安保法制を作ったことは明らかに違憲行為であり、そのような違憲行為によって日本の立憲主義を蹂躙した安倍前首相とその政権の官房長官だった菅現首相こそ、民主主義国家としての日本への評価を貶めたとしか言いようがない。

菅首相は、応答責任の欠如、立憲主義の軽視という安倍前政権の非民主主義的体質を全く見直すことなく、自分の政権でそれを継承している。野党は次期臨時国会で学術会議問題を徹底的に追及すべきだ。

自民党の国会議員から「首相や大臣が委員会に出席して答弁を求められることが多すぎるので、外遊する時間が少なく、そのことが日本の国際的影響力を低下させている」との指摘が度々上がっている。私もそう思う。しかし、政権が疑惑に対して説明を拒み続けるから野党が(予算)委員会の開催を要求するわけであり、なんで野党にまた口実を与えるのか不思議でたまらない。今回の学術会議問題は政権にとって決してプラスになるものではなく、菅首相のオウンゴールでしかないだろう。

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