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イタリアで個人を対象にした国債が人気に

 イタリア政府は18日の国債入札で、過去最大規模となる180億ユーロ(1兆8600億円)相当を発行した。1回の発行額としては欧州で過去最大となり、米国債に次ぐ規模となるそうである。

 このイタリア国債は、ユーロ圏ではなくイタリアのインフレ率に連動した期間4年の債券である。年間利回りは国内インフレ率(たばこを除くイタリアの消費者物価指数)プラス2.55ポイントとされている。そして投資家は満期まで保有していれば、特別「忠誠プレミアム」を得られるそうである。

 1.9兆円規模と行っても、日本では一回あたりの発行額としては普通というか少ないぐらい(2年債2.7兆円、5年債2.5兆円、10年債2.3兆円等々)なので、どうもこの巨額の発行額に慣れてしまっていてか、今回の凄さにピンとこなかった。しかし、このイタリアの国債入札はいろいろな意味で興味深いものとなっていた。たとえば、発行額が過去最大であることに加え、これが個人投資家への直接発行であり、その意味でも欧州でも過去最大となっていたことである。

 この国債は基本的に小規模投資家を対象にしたものであり、イタリアの国内個人投資家向けのものであった。ただし、ウォールストリートジャーナル(WSJ)によると、イタリア財務省国債管理局の関係者の話として、購入のほとんどは機関投資家によるものだったとの指摘もあったようだ。ただし、個人投資家の需要についても「相当なものだった」としており、国内からかなりの需要があったことは間違いない。ちなみに日本での個人向け国債(復興国債)は個人以外は購入できないが、このイタリアの国内個人投資家を対象にした国債は機関投資家も購入できるようである。

 興味深い点のもうひとつは、今回の入札に個人投資家がインターネットで直接国債をイタリアの財務省から購入できる仕組みが初めて使われたことにある。このシステムは財務省とイタリア証券取引所が構築したものだとか。イタリア証取は欧州最大の債券の電子取引所を運営しているそうである(WSJ)。

 つまり、米国のトレジャリー・ダイレクトのイタリア版である。米国の個人向け国債である貯蓄国債も財務省から直接購入ができる仕組み(トレジャリー・ダイレクト)が設けられている。米国民であれば(入力の際に社会保障番号が必要)財務省からネットを通じて個人向けの米国債を購入できる。

 日本で個人向け国債が発行される際にも、日本版のトレジャリー・ダイレクト構想も出たようだが、日本ではインターネットを使った財務省からの直販システムについては決済のために使われる日銀との問題や、トレジャリー・ダイレクトで使われている社会保障制度の番号を利用した本人確認のためのシステムが必要になるため、実現性はいまのところ薄いようである。

 イタリア銀行(中央銀行)によると、小規模投資家(個人投資家)が持つ資産は同国政府債務の4倍以上に当たる8兆ユーロ強に上るとか(WSJ)。この資金が動き出したとも言えそうで、それだけイタリアに対する国内からの信認が戻ってきた現れとも言える。欧州の債務危機がこれで収まってきたと言うわけではないものの、そのひとつの兆候とも言えるものではなかろうか。

 ちなみに日本の個人向け国債については、直近10月発行分の販売額は3034億円に止まるなど低迷しているが、これは決して日本国債への個人投資家の信認が薄れているためとかではない。あくまで金利の低さが要因である。金利だけでなく安全性等も意識すれば、もう少し日本でも個人向け国債の需要が伸びてもおかしくはないと思うのだが。

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