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【読書感想】ぼくをつくった50のゲームたち

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ぼくをつくった50のゲームたち
作者:明, 川島
発売日: 2020/09/16
メディア: 単行本

内容(「BOOK」データベースより)
生まれて初めて買ってもらったファミコンの『エキサイトバイク』で学んだ「自由というのは不自由なんじゃないか。その不自由の中で見つけた光こそが自由なんだ」という真理。そこから、川島少年のゲーム人生がはじまった―。初の自伝的エッセイ。

 麒麟の川島さん、好きなんですよね。
 関西テレビの『競馬BEAT』という番組で、川島さんが司会をされているのですが、予想も上手だし、何より、この人は「ビジネス競馬ファン」じゃなくて、本当に競馬が好きなんだな、というのが伝わってきます。

 2020年の日本ダービーで、1着コントレイル、2着サリオスという堅い決着を川島さんが的中し、視聴者プレゼント馬券を5万円買って4000円プラスになったとき、川島さんは、「いやあ、こんな素晴らしいレースを観られて、しかも、少しですけど、お小遣いをもらえるなんて、本当にありがたい!」と、ものすごく嬉しそうにしていたのです。

 自分の馬券が外れたときも、当たっても外れても楽しそうな(そして、当たっているとやっぱりうれしそうな)川島さんをみていると、まあ、川島さんだって外れることもあるしな、と、少し救われるような気分になれます。

 この本、子どもの頃から筋金入りのインドア系でゲーマーだった川島さんが、記憶に残っている50のテレビゲームについて語ったものです。

 芸能人のこういう本って、適当にインタビューして、はい完成、みたいなものもあるのですが、この本、遊んできたテレビゲームの話なのに、川島さんの半生記になっているんですよ。

 1979年生まれの川島さんは、僕より10歳近く若いのですが、遊んできたゲームはけっこう共通しているのです。というか「ファミコン以降」のゲーマーは、みんな似ているのかもしれませんが。

 そもそもファミコンを手に入れたのはぼくが小1で兄貴が小5のときでした。買ってもらえるソフトは年に1本というのが親との約束です。1年間ずっとそれで遊ぶわけで、ノリや流行に流されるわけにはいきません。ぼくは『マリオブラザーズ』か『ドンキーコング』を提案しましたが、結局兄貴の独裁ではじめてのカセットは『エキサイトバイク』と決断されました。

 このゲームで重要となるのが「Bボタンの使いどころ」。Aボタンは普通のアクセルでBボタンはターボ。Bは走りがすごく加速するんですけど、使いすぎるとオーバーヒートして止まる。いいタイムを出すには、ある程度Bを使ったらAに戻してっていうのを繰り返すわけです。

 しかし兄貴からとんでもない忠告が。
「お前気をつけろよ。Bボタン使いすぎてオーバーヒートしたら、テレビ爆発するぞ」

 この雑すぎる嘘を信じてしまったのがまだ純粋無垢だった6歳のぼく。それからというもの、その恐ろしすぎる「爆破機能」に怯え、兄貴がたまにBを押すたびに恐怖し、友達がターボで加速するたびに「やめろ! 死ぬぞ!」と大声を張って止めてました。ツーコンのマイクも使って。

 おかげでぼくは安全運転しかできないレーサーになりました。兄貴にも友達にも勝てたことはありません。しょうがないです。こっちは背負っているものが違うのです。絶対にテレビを爆発させるわけにはいかないのですから。

 今読むと、「これ、ネタじゃないの?」って言いたくなるのですが、当時のファミコンで遊んでいた子どもだった僕には、こういう「デマ」を信じてしまう気持ち、よくわかるんですよ。兄弟での「どのゲームを買うか」の駆け引きとかも。あのとき、なぜ、『マリオブラザーズ』にしなかったのか?という心残りは、500円くらいで『マリオブラザーズ』が最新ゲーム機でプレイできるようになった現在でも、なんとなく引きずっているんですよね。

 ちなみに、川島さんはレースモードではなく、自分でコースがつくれるデザインモードにハマっていたそうで、この本のなかにも、いろんなイラストを描いていたという話があちこちで出てきます。

 学生時代には、仲間うちで自作の競馬新聞もつくっていたそうで、筋金入りのクリエイター気質であり、競馬、ゲーム好きだったみたいです。そりゃ馬券も当たるよね。

 『ドラゴンクエスト5』の回では、ビアンカかフローラを選ぶ「結婚システム」に関する、こんな話が出てきます。

 これ以上ない人生の選択をせまられた14歳のぼくは、コントローラーを一旦置いて、あてもなく夜の道をただ歩きました。

「ビアンカか、フローラか……」

 吐き出す独り言は白い吐息とともに夜に消えていきました。
 目を閉じれば瞼に浮かぶビアンカの笑顔。しかしフローラを選ばなければ物語は進まない。それは母親との再会もあきらめるということ。
 体が冷えることも忘れ、ぼくは2時間夜空に自問自答していました。l

「ビアンカ、ごめん」

 そう結論付けて家に帰ってゲームを再開。
 ゲームの中の時間軸も結婚相手を選ぶ前夜でした。最後にビアンカのもとへ行こうと寝室に行ってみると……、いない。彼女もまた眠れずに窓の外の星を眺めていたのです。

「フローラさんと結婚した方がいいに決まってるじゃない。私のことなら心配しないで、今までだって1人でやって来たんだもの」

 その言葉を口にすると、なんとも悲しい笑顔を浮かべて再び窓の外に目を向けます。しかし、その目はなぜか潤んでいました(後半完全にぼくの妄想)。

 次の日、ぼくも涙を浮かべながらビアンカにプロポーズするのでした。

「次はフローラにしよう」

 リメイクも含めてドラクエVは5回ほどやり直しているのですが、ぼくはその度にビアンカと結婚しています。

 川島さん、あなたは僕ですか……
 いやほんと、毎回、「今度はフローラ(あるいはデボラ)で」と自分に言い聞かせながらプレイするのですが、あの場面になると、やっぱりビアンカを選んでしまうのです。

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