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働き方が変わるのは世界的な不可避の流れ~読んでおいた方がいい本「ワークシフト」

大企業に属した会社員という働き方が、ここ10数年で終わる可能性があるというのは、私が時々ブログで書いているだけじゃなく、日本だけの話でもなく、世界的な流れであることがよくわかるのが、ロンドンのビジネススクールの教授が書いた「ワークシフト」という本だ。

これから10数年後の2025年の未来社会に生き残るには、働き方(生き方)の3つのシフトが必要と説く。

<第一のシフト>
企業の中でしか通用しない技能を磨くのではなく、広く社会に通用する高度な専門技能を磨く。しかも1つの分野だけではリスクが伴うので、いくつかの専門技能を連続的に習得し、その能力を広く世に知らしめるために、セルフブランディング、セルフマーケティングが必要。

<第二のシフト>
会社と社員のような親と子の関係がなくなり、グローバルな環境の中、大人と大人との関係で仕事をし、個の力で働いていくために孤独になる。孤独に競争するのではなく、他の人たちとつながりが必要になる。難題を解決するための盟友(仕事仲間)、偏らない幅広い大勢の知り合い、打算のない友人関係の3つの「人脈」の構築が必要。

<第三のシフト>
所得を増やして、大量に消費する浪費人生から脱却し、すべての時間と労力を仕事に吸い取られる人生をやめ、私生活とのバランスを重視しながら、自分が重きを置く体験に投資するような、生き方の価値観をシフトすることが必要。

なぜこの3つのシフトが必要なのかを、400ページにも及ぶ紙面でこと細かく説明しているのが、「ワークシフト」の内容だ。

どんな社会になるかというと、最先端の情報通信テクノロジーがある、中世の職人時代のようなイメージだ。労働も消費も画一的な金太郎飴みたいな、今までの時代は終わり、職人のように家が仕事場で、それぞれの専門技能を活かした働き方をする。だから今のサラリーマンではダメなのだ。何かできそうで何も個人ではできないから。

この中でとても感心した指摘の1つが、専門技能は1つじゃ危ないということ。近接分野でいくつか専門性がないと厳しいというのは、あまり他の人が言っていない非常に重要な指摘だと思う。

なぜ1つではダメといっているのかといえば、技術の進歩が早いからだろう。今はたとえ職人芸だったとしても、ネットはデジタルデバイスの進歩で、その職人芸は機械に職を奪われる可能性がある。だから「連続的専門技能の習得」が必要だと指摘している。

私でいえば、ライターとカメラマンという2つの技能、ジャンルも旅行と金融の2つ。多分1つだけだったらフリーで食べていくのは大変だったと思う。

あと私がさんざんブログで言っている、在宅勤務へのシフトだが、著者はおもしろい切り口から、在宅勤務などへのシフトが必須と説く。それは環境・エネルギー問題への対応からも必要だという。

「オフィスに出勤するために交通手段を利用すれば、かなりの量の二酸化炭素を排出するとわかっているのに、在宅勤務にノーを突きつける理由がどこにあるのか?」

二酸化炭素の排出が本当に地球に悪いのか。悪かったとしてもその原因が人間の活動なのか。という2点をさておいたとしても、世界の人口が90億人になり、今のように猫も杓子も、資源やエネルギーを使いまくれば、資源やエネルギーが枯渇しているのは目に見えている。

にもかかわらず、日本でもそうだけど、資源やエネルギーは輸入に頼っているから危険だ、環境問題にも取り組まなければならない!と騒いでいるくせに、その結論が原発推進になるという不思議。その前に筆者が指摘するように、資源やエネルギーが大事なら、在宅勤務を進めるとか無駄なエネルギーの浪費から、考え直すべきだよねってところに、なぜノーをつきつけるのかまったく意味不明だ。

そして最終的には生き方の価値観に行き着く。著者は海外の人だが、日本の団塊世代、バブル世代、ロスジェネ世代、ゆとり世代みたいな形で、世代ごとに未来の社会を分析していて、若い世代は大量消費することに、何の価値も見出さなくなり、社会がそれによって変わっていくと指摘している。

それはまさに私が先日ブログで紹介した、最年少で株式上場したリブセンスの社長なんかがそう。上場して莫大な利益を得ているはずなのに、8畳1間のマンションに住み、>意味もなく高級車を乗り回したり、ブランド物に身をまとったりしない。

日本に限った話ではない。消費することが偉いなんて、前近代的な発想だし、そんな価値観ではこれからの社会を生き抜いていけない。

だから若いのに未だに大量消費し、金満生活を送ることがステータスだと思っている、もう1人の若い経営者、与沢翼氏は「生き方1.0」だと指摘している。もうそんな時代じゃない。そんなことに何の価値もない。それに気づかない人は、ひたすら仕事だけに人生の時間と労力を奪われる、ダサくて不幸な生き方しかできない。なぜなら高いものを買うために、倍倍ゲームで収入を増やし続けなければならないからだ。

そんな働き方って、会社員じゃなくても経営者でもフリーでもダサい。そういう時代の価値観の移り変わりが、日本だけでなく世界的にシフトしてきていることを、認識できないで働いている人は、会社員だろうが経営者だろうがフリーだろうが、今後の10年で人生が息詰まってしまうだろう。

この「ワークシフト」は日本人が書いたわけではないのに、的確に今の日本の働き方の問題をもあぶりだし、その解決策を3つのシフトという形で、わかりやすく提示している。

この10年で世界は劇的に変わる。時代の過渡期にいる自分たちはわからないかもしれないが、ネットというのは、あらゆる社会構造を変革するとんでもない革命手段で、今もなおそれが飛躍的に進んでいる。

ネットのさらなる進展により、著者は世界中の人たちがネットでつながる時代がやってくるという。私が以前書いたように、国家がなくなり、フェイスブックポイントが通貨みたいな形になり、世界で一人一人の個人が経済活動を行う、そういう社会に間違いなくなるだろう。

それによって、ネットは情報の透明性と階層のフラット化をもたらす。隠し立てて利益を搾取するようなことはできなくなるのだ。

つまり今までネットがなかった時代であれば、何も仕事をしなくても、仲介するだけで莫大なマージンをとっていた中間業者の排除。年功序列の会社組織や、ネットワークビジネスのような階層報酬制度など、ピラミッド型の組織はほとんど死滅するだろう。なぜなら個と個が直接つながれちゃうから。

またグローバル分業体制という名の、物価格差を利用した新興国での低賃金労働もできなくなる。なぜならネットで報酬体系がすべてわかっちゃうから。

中国がリスクが大きいから、ミャンマーに工場を移して安く働かせようなんて、そんな動きが日本企業に活発になっているが、そんないかさまも通用しなくなるだろう。なぜならネットで先進国の人が、同じ労働でいくらもらっているか簡単に調べられちゃうから。

私がこれまで思ってきた、時代が変わる、社会が変わる、世界が変わること。それに応じて個人も働き方・生き方を変えなければならないこと。そういうことがこの本にはほとんど網羅されて書かれている。

やっぱり時代はそういう流れに変わっていくんだなと思う。私が思っているようなことを、日本人ではなく海外の人も思っている。その本が翻訳されてヒットする。つまり多くの人がうすうす感じていることなんだと思う。

今の働き方や生き方に縛られていると、10年後にとんだ目にあう。はっきりいって10年後の「新世界」は、力がある個人にとっては楽しい世界だが、力がない個人にとっては地獄の世界になるだろう。だから今から徐々に3つのシフトを進めていかなくてはならない。

非常に興味深い良書なのだが、ただ長すぎる、そしてくどくど同じことが、何度も何度も繰り返される。

400ページ近い本だが、要点は一番最後の「訳者あとがき」の6行に凝縮されている。時間がない人は書店でこの6行だけ立ち読みしておいたらいい。

ただもっと詳細に知りたいと思うなら、4部構成になっているうちの第4部だけを読めばいい。未来がどうなるか自分の中でイメージがない人は、第1部を読んで第4部を読めばいい。さらに興味があるなら、残り半分の第2部と第3部を読めばいいと思います。

・「ワークシフト
「ワークシフト」を読んで、未来の大きな流れがわかったところで、「じゃあ今、会社員の人はどうすればいいのか?」ということについては、「辞めて生きる技術」藤井孝一著を読めばわかります。

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