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芦田愛菜インタビュー “あやしい宗教”にのめりこむ両親と暮らす少女を演じ考えた“信じること”の本当の意味



 芦田愛菜が主演を務める映画『星の子』が10月9日(金)より公開される。監督・脚本は『日日是好日』『MOTHER マザー』の大森立嗣。芦田は、“あやしい宗教”を深く信じている両親のもと、過酷な青春に翻弄される少女・ちひろを丁寧に演じる。

 撮影時は同じ中学三年生だったという芦田だが、同世代のちひろをどのように演じたのか。両親役の永瀬正敏・原田知世との現場で感じたこと、本作のテーマにもなっている“信じる”ということの意味についても語ってもらった。

「今の髪型だとしっくりこない」自分の持つ“ちひろのイメージ”に合わせ髪を切る



――オファーがきて、脚本を読んだときはどのように感じましたか。

芦田:
このお話のテーマに“信じる”ということがあると思うんです。それで、自分でも“信じる”ってなんだろうと考えました。「その人のことを信じようと思います」とかよく使われる言葉ですけど、相手を信じるというよりも、その人には“こうあって欲しい”という自分の持つ理想像に期待してしまっているのかなと感じます。だから「期待してたのに」という言葉が出てくる。でも、それは裏切られたわけではなくて、その人の想像してなかった側面が出てきただけ。だから側面が出てきたときに、受け止められる揺るがない強い自分がいるということが本当の意味での“信じる”ということなのかなと思いました。でも、それは難しいことで、人はどうしても揺らいでしまう。だからこそ人は声に出して「信じる」と言い、理想にすがりたいのかなと思います。

――今回、髪をバッサリと切ってちひろ役に挑んだと伺いました。

芦田:
お話をいただいたときに、髪が長い自分がちひろを演じるというのがしっくりこなかったんです。それで監督に「髪を切りたいと思うんですけど…」とお伝えさせていただきました。髪を切ったことで、自分がイメージするちひろに見た目だけでも近づけたような気がしました。

――芦田さんからの発案だったのですね。

芦田:
はい。イメージは人それぞれだと思うんですけど、なんとなく今の髪型だとしっくりこないなと感じていました。自分が演じている姿を想像して納得いかないという。

――切ってみて芦田さん自身のお気持ちはいかがですか?

芦田:
これくらい短いのも久しぶりで、肩が軽くてびっくりしましたし、洗うのも乾かすのも楽で、今までの自分と違うのを楽しんでいます。また役によって色々な髪型を試したいと思います!

原田知世&永瀬正敏のアドリブから感じた“一家の生活感”



――大森監督からの言葉で印象に残っているものはありますか。

芦田:
監督は役について委ねてくれました。具体的にどういう風に演じてほしいとはおっしゃらず会話の中で、ちひろになるためのヒントをくださいました。私は、監督の「よーいスタート」という掛け声が好きで、シーンごとに監督の声が変わっている気がしました。その声で、スッとちひろになれました。
監督は「会話を楽しんでね」とよくおっしゃられるんですけど、お芝居ってそういうものだよなと改めて感じました。ただセリフを言うのではなく、相手との会話を通して作られるものなのだと。

――ちひろになる準備はどのようにされたのでしょうか。

芦田:
監督からも「あまり作り込んでこないでほしい」と言われていたので、役作りという役作りはしませんでした。キャラクターを作るというよりも、台本や原作を読んで、ちひろの心の流れを読み取るようにしました。

――ちひろという少女をどのように捉えましたか?

芦田:
ちひろは、自分の周りで起こる出来事をちゃんと受け止めて、自分の中で考えて、それに意見を持てる子。かといってそれがうまく表現できるわけではないのですが、それがちひろなのだと思います。家では宗教や家族のことで悩んでいるけど、学校にいるときは心許せる友達がいて楽しんでいる。その多面性はちひろならではのものかもしれないし、思春期特有のものかもしれないですが。



―― 演じる際にちひろの気持ちに悩んだシーンはありましたか?

芦田:
実は、こうやってちひろの気持ちを言えるようになったのは、客観的に完成した作品を見てからなんです。だんだんまとまってきました。演じているときは、いつもどうしたらちひろをうまく表現できるんだろう、監督のおっしゃっていることが表現できるんだろうという緊張感がありますし、悩んでいます。
ただ現場の空気を楽しみながら生み出せたらいいなと思っています。家でたくさんイメージしていくんですけど、相手との掛け合いの中で、やっぱり自分の演技も変えたくなる瞬間があるので。イメージしていた場所と実際の場所が違っていて、インスピレーションがわくこともたくさんあります。

――今回は原田知世さん、永瀬正敏さんと親子役。お二人との共演はいかがでしたか。

芦田:
脚本にト書きが全然なかったのですが、お二人はたくさんアドリブのお芝居をされていました。ちひろが南先生の車から降りて走って家に帰ってきた後の家族3人のシーンも全部アドリブなんです。ちひろが帰ってきた瞬間に、二人は料理をしているのですが、それも書いてあったわけではない。お二人の演技から、ちひろの世界のリアルな生活感を自然に感じることができました。ちひろに対する両親の思い。ちひろがすごく大切に育てられたのだなと感じました。

「自分が信じたいと思える人は誰か、考えるきっかけになれば」



――今回の出演で学んだことはありますか。

芦田:
お芝居はプラスすることだけでなく、マイナスすることも大切だと学びました。監督からは演技に「メリハリをつけてほしい」と言われていたんです。南先生とのシーンは感情が爆発しているけど、友達や家族とのシーンはすごくフラットなちひろがいるような感じで。引き算をして演じていました。

――親友のなべちゃん(新音)とその彼氏の新村くん(田村飛呂人)は家族の宗教のことを知っていても偏見なく接していますよね。そのおかげで芦田さんが言うように、ちひろも力を抜いて学生らしいテンションで過ごせているように見えました。

芦田:
なべちゃんにとっても、ちひろにとってもお互い心を許せる存在なんだと思います。親にも言えない一人で抱え込んでいることを、受け止めてくれる友達がいて、ちひろがちゃんとそれを話せることが嬉しかった。やっぱり自分もちひろのように友達と話して救われることがあるし、そこは共感して演じていても楽しかったです。

――最後に、これから映画を観られる方に向けてメッセージをお願いします。

芦田:
“信じる”ということの答えは人それぞれ違う。この作品が皆さんそれぞれの“信じる”ということ、自分が信じたいと思える人は誰なんだろうと考えるきっかけになればと思います。

――ありがとうございました!



ストーリー

 大好きなお父さん(永瀬正敏)とお母さん(原田知世)から愛情たっぷりに育てられたちひろ(芦田愛菜)だが、その両親は、病弱だった幼少期のちひろを治した“あやしい宗教”を深く信じていた。中学3年になったちひろは、一目惚れしてしまった新任のイケメン教師・南先生(岡田将生)に、夜の公園で奇妙な儀式をする両親を見られてしまう。そして、彼女の心を大きく揺さぶる事件が起きるー。



テキスト:堤茜子
写真:Eri Okamoto

(c)2020「星の子」製作委員会

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