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ポストコロナ時代、地方と都市の関係性はどう再構築されていくのか

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地方と都市、双方の良さを生かしあう関係性の構築を

「都会でのキャリアを捨てて、地方で第2の人生を送る、というスタイルはもはや過去のものになりつつあります。定住でも交流でもなく、地域の人々と多様に関わる『関係人口』が今後は急増していくでしょう。そして、各地でこういった動きが活発になれば、地方の課題の解決はますます進んでいくはずです」

例えば『TURNS』が業務提携している、定額で日本各地に住むことができる「ADDress(アドレス)」も、地方の関係人口を増やすサービスだといえる。

月額4万円で、全国各地にある家に自由に住むことができるというこのサービスは、日本各地の空き家などをリノベーションして、企業や個人に貸し出す。空き家問題を解決しつつ、多拠点生活という新しいライフスタイルを提唱する新しい時代のビジネスなのだ。

「これまでは“都市VS.地方”という構図が少なからずありましたが、地方にいても、東京の機能、情報や人口の集中によるメリットや、技術を生かすことはできます。だからこそ、地方は都市の良さを再認識したうえで、うまく生かしあう関係性を再構築できればいいのでは、と私自身は思っています」

ポストコロナ時代、働き方や生き方の多様化によって、地方と都市の境界線があいまいになった。その中で「生かしあう関係性」を新たに築いていくことが重要なのだ。

都市を介さず、地域から世界へ
LOCAL to LOCAL の可能性

「地方と都市がそれぞれの魅力を生かしあう関係性の先に何があるのか」を、堀口氏に問うと、「生かしあう文化が、地方と都市だけでなく、地域と企業、企業と企業、地域と地域に広がり、日本全体での広域連携が可能になるのでは」との答えが返ってきた。

「例えば、織物文化のある地域同士、発酵文化に強い地域同士、コスメ原料の生産地同士など、さまざまな交流によって新たな商品を開発したり、ビジネスをスタートしたりできるのではないでしょうか。そこに行政も絡み、官民連携で動いていけばよりダイナミックに、面白いことができるはずです」

すでに大阪府八尾市では、これに先駆けた取り組みがあるという。八尾市は、ブラシや文具、ゴム製品やアルミなどさまざまな工場が数多くある、ものづくりのまち。それらの企業が協働した「みせるばやお」という事業では、ワークショップなどを通して、人々にものづくりの魅力発信し、さらに技術を魅せ合い、共有することで大きなイノベーションを生もうとしているのだ。

「地元企業35社ほどでスタートしたこの事業ですが、今では120社ほどが参加するように。そこには地域外の企業も参加していて、八尾市から大きな波を作ることに成功しています。こういった動きは、地域から地域へどんどん広がっていくのではないでしょうか」

また、この「みせるばやお」のように “地域資源をうまく生かしている事例”を、地方から海外に向けて発信することも堀口氏は考えている。これは、人口減少や少子高齢化という課題先進国の日本から、「地域産業活性化のソリューションモデル」を世界に提示することにつながる。

「福井県鯖江市、越前市、越前町で開催される漆器、和紙、メガネなどの工房一斉開放イベントRENEWは、まだスタートして5年ですが、来場者4万人を集めるだけの力を持つようになりました。その中で、新たな事業が生まれたり、移住者も増えたりしています。

これは、地元にある資源を上手に使って、収益を生み、新たな雇用の創出や事業継承も可能にする事例。こういった事例を集め、それを世界に発信したいと考えています。それが世界各地で先進課題を解決する糸口になったり、産業の魅力そのものが伝わって新たなビジネスが生まれたり、そういった動きにつながるといいですよね」

LOCAL to LOCALから、世界へ。その動きは今後加速し、地方と都市の距離が縮まったように、世界との距離もますます縮まっていくのかもしれない。

「生かしあう」ことをエネルギーに
ここから、また次の時代へ

気軽に世界を飛び回ることのできないポストコロナ時代、まずはここにある物を見つめ、その価値を知ろう。そして、価値あるものの魅力を、人々の交流によって高め合おう。世界中、どこにいてもその魅力を発信することはできるのだ。インタビューの中で、堀口氏はそう語った。

確かに、コロナ禍で社会の構造は大きく変容した。特に都市部の暮らしは大きな変化を余儀なくされた。しかしこれにより、地方と都市の境界線は融和し、実際に現地に行くことは難しくても、さまざまな交流が可能になったといえる。

地域創生、教育格差、地方と都市が抱える課題は多い。しかし、堀口氏の語るように、この交流や新たな連携はそれらを解決に導き、次の時代の力になるはずなのだ。

先ほど紹介した、福井県の工房一斉開放イベント「RENEW」は、2020年の開催では、その名前を「Re:RENEW」としている。コロナ禍により先の見えない未来においても、「さらにまたここから“更新”を続けていこう」という決意がそこには込められていた。

さらにまた、ここから。地方と都市の関係も「生かしあうことで」、また、ここから再構築されていくのだ。

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