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ジョンソン英政権がBBCに「全面戦争」開始?大のBBC批判者をトップに任命画策と英紙報道

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(2)人種差別発言で右往左往

 昨年9月、BBCは、ある情報番組の司会者が人種差別問題を巡って「不偏不党の編集指針を逸脱した」と結論付けた。しかし、非難が相次ぐと、判断を撤回した

(3)不偏不党が守られていない?

 どこまでが不偏不党なのか?BBCのジャーナリストは分かっているはずだが、今年5月26日、報道番組「ニューズナイト」の中で、司会者が官邸のアドバイザーが新型コロナウイルス感染防止のための「自宅待機」のルールを破ったと決めつけるような口調で紹介。翌日、BBCは発言がBBCの公平中立基準を満たしていなかったと発表する羽目になった。

 9月から経営陣トップとなったティム・デービー氏はスタッフに対し、不偏不党を逸脱するような発言は許されないと就任演説で述べている。

(4)音楽祭「プロムズ」問題でも、右往左往

 これで一応、嵐が収まったように思えたが、夏になって、反人種差別運動「ブラック・ライブズ・マター」の盛り上がりで、BBCが主催する夏の音楽祭「プロムズ」の最終日、愛国心あふれる歌の歌詞を放送しないことをBBCが考えている、とサンデー・タイムズ紙が報道した。

 歌の1つ(「ルール・ブリタニア」)には、「英国民は断じて、断じて、断じて奴隷にはならない」という歌詞があった。

 「ブラック・ライブズ・マター」運動に配慮して、「奴隷」という言葉が入った歌を歌わせない・・・これぞまさに、保守勢力が言うところの「左寄り報道のBBC」がやりそうなことであった。

 しかし、実は、調べてみると、BBCが歌詞の停止を「ブラック・ライブズ・マター」運動のために計画していたのかどうかは、定かではなかった。しかし、あっという間にまるで事実であるかのように話が広がってしまった。BBCは歌詞を放送したが、「政治圧力によって前言を翻した」と受け止められてしまった。

(5)ユーチューブを好む若者たち、ネットフリックスの人気

 ネット時代になって、人々は動画コンテンツをユーチューブや有料サービス「ネットフリックス」で楽しむようになった。

 メディア変化の構造的な問題だが、若者層の支持を十分に集めきれていないのが今のBBCだ。「だから、BBCの番組を見たい人だけが契約料を毎月払って視聴するようにすればいいのだ」、「テレビ・ライセンス制度なんか、なくしてしまえ」という際の口実になるのである。

 さて、本当にムーア氏やデーカー氏が報道された職に就くことになるのかどうかは、わからない。

 例え噂だけだったとしても、「いざとなったら、反BBCの論客を任命できるぞ」という脅しにはなったと言える。

 BBCの将来がどうなるにせよ、あえて反BBCで知られる人物をBBCの理事長職や放送業界の監督役に就任させるというのは、政治勢力による反BBC政策と解釈されても仕方ないと思うのは、筆者だけではないだろう。

 BBCには編集権の独立が約束されているが、この「最後の砦」が崩されることがないよう、しっかりと見ていきたいと思っている。

***

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 公益のためのジャーナリズム 「国営」ではない英BBCが目指すもの その歴史と現在とは(2018年11月28日

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