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「ファン減少で相撲人気に陰り」は本当か 不祥事の危機から復活した大相撲の未来

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番付上位=優勝争いのセオリーが崩れた大相撲

大相撲七月場所は千秋楽まで優勝争いが行われ、その結果、一度は大関まで上がりながら怪我と病気で序二段まで番付を下げ、そこから這い上がってきた再入幕の東前頭十七枚目照ノ富士が13勝2敗で5年ぶり2回目の優勝を果たした。

引退を考え師匠に何度も慰留されながら、地獄を見てきた男が復活した姿は多くの人を感動させた。ここ最近はいつものように横綱などの番付上位の力士が優勝争いをするというセオリーが崩れ、一月場所の德勝龍がそうであったように誰が優勝してもおかしくない争いになってきている。

共同通信社

現在行われている九月場所でも横綱白鵬と鶴竜が休場し、優勝の予想がつかない展開となっている。貴景勝が地力の違いを見せるか、大関2場所目の朝乃山が先場所の悔しさを晴らせるか、関脇・正代が最後まで優勝争いに絡めるか、残りの取組に注目だ。

好角家の高齢化、人気の日本人力士の引退によって相撲ファンが減っているのではないかと聞かれることがある。だが、七月場所を振り返ってみて、そして現在の九月場所を見て考えるに、相撲人気は決して衰えておらず、今後も衰えることはないというのが私の考えだ。相撲は単にスポーツではなく、日本の伝統文化であり、日本の心そのものである。日本人にとって相撲はなくてはならないもの。あの温かい拍手を見て、こうした思いをより一層強くした。

もし相撲ファンが減っていれば、このコロナ禍の中、国技館までお客さんが足を運んで下さっただろうか? あの一番一番の取組に対する温かい拍手は聞かれただろうか? 七月場所中一度だけ観戦に行ったが、周りのお客さんは一番一番、食い入るように熱戦に見入っていた。

大相撲の歴史で起こった数度のフィーバー

相撲のルーツは吉凶を占う神事に始まり、土地を奪い合うための戦い、天皇や大名の前で披露する御前試合、と役割を変えてきた。江戸時代になると寺社を修繕するお金を集めることを目的として勧進相撲が行われ、これが今日の大相撲の原型となった。

どの時代にも名力士がいて、その時代の象徴とされてきた。戦時中なら必勝祈願、戦後は復興、どの時代も力士の姿に励まされ勇気づけられてきた人がいたのだろう。そして日本が経済的にも成長した昭和後半から平成にかけては、数多くのスターのような存在が現れてきた。

スター力士として、まず名前が挙がるのは千代の富士。端正な顔立ちと脱臼癖を克服するために鍛えられたヘラクレスのような体に多くのファンが沸いたが、鋭い目つきから付けられたあだ名にちなみ、この盛り上がりは「ウルフフィーバー」と呼ばれた。その後、決して大きくない体ながら31回もの優勝を果たし、小さな大横綱として昭和から平成にかけて相撲界を牽引した。

共同通信社

その千代の富士に入れ替わるように、若花田(後の横綱3代目若乃花)、貴花田(後の横綱貴乃花)兄弟が台頭し、若貴フィーバーが起こった。父は角界のプリンスと呼ばれた元大関貴ノ花というサラブレッド、素質通り番付をどんどん駆け上がり、父が敗れて引退した相手・千代の富士に引導を渡すサクセスストーリーも相まって老若男女から莫大な人気を得た。

これらのフィーバーには強大なライバルの存在があったことも忘れてはいけない。千代の富士の時代なら琴風、隆の里、小錦がいた。千代の富士は彼らを倒すべく努力を重ね、その後大横綱の道へと突き進んだ。若貴兄弟の時代は曙、武蔵丸というハワイ勢が存在し、しのぎを削った。周りに強いライバルがいてこそスターの存在はより一層輝くのである。

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