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模索するオフィスのあり方

働き方改革と並んで働く場所改革が進む今日この頃ですが、今一つ、明白な方向性が出ているとは言い難いものがあります。コロナへの直接的な対策と人々がメンタルに深く記憶したその甚大なる常識感の変化の先行き予想ができないということがあるのでしょう。

そもそもコンピューター化が進み、仕事や作業効率が圧倒的に改善するなかでそれまで人がやっていた仕事が物理的に減る一方、新たな業種、例えば配送、SNS等の監視、世の中一般のセキュリティ業務、安全対策など労働集約型分野に人を拡充する動きがみられます。

このような中でオフィスのあり方が問われています。人はどこで仕事をするのでしょうか?

東京のオフィス空室率は8月末で3.07%と30カ月ぶりの3%台となり、今年2月につけた1.49%から大幅な変化となっています。傾向としては新築のオフィスは2月の3.95%が8月で2.46%と堅調さを見せていますが、既存オフィスビルは2月の1.42%を底に8月が3.09%と強い悪化が見られます。これは既存のテナントが規模縮小などに動いたとみていますが、新築だけが堅調ということは考えにくく、古いオフィスを引き払う、オフィス機能を新築のビルに移転するものの凝縮化、集約化するなどの動きがあるものと思います。

一方、バンクーバーは6月末の空室率が2.9%で思った以上に低めで推移しています。今後2-3年で完成する高層オフィスタワーはダウンタウンだけで7本ありますが、アマゾン社が貪欲にそのスペースを取るほか、いわゆる一流企業が新しいオフィスタワーに移転する傾向が見て取れます。これはバンクーバーで長らくオフィスタワーの開発が低水準で推移していたため、既存企業が事業の拡大に伴い手狭感が出てきたものと思われます。よって賃料も下がるどころか、更に強気に出るところも多く、日本とはやや趣が異なります。

ただ、個人的には北米企業もコロナを受けて仕事のあり方とオフィスについて見直しているように感じられ、まだしばらくは揺れ動く可能性は否定できません。

日経に変わる世界のオフィス事情に関する記事があり、その内容を見てもオフィスを「縮小型」「積極拡大型」「拠点分散型」「感染防止のためフリーアドレス禁止型」など様々です。またカナダで時価総額が最も大きいIT系企業のショッピファイ社はオフィスを完全になくす考えを貫いています。同社のホームページにはWe can hire you (almost) anywhereとあり、カナダに限らず世界中の優秀な人をオンライン業務として雇うつもりがある姿勢を示しています。

フリーアドレスを禁ずるのはゴールドマンサックスです。北米は20年ぐらい前からフリーアドレス式のオフィスがシリコンバレーあたりから急速に広がり、オフィスというよりこじゃれたカフェ的な作りにするのがトレンドのような感じでした。同社はそのトレンドを完全に打ち消し、指定席制が感染予防の新しいやり方と捉えているようです。

日本でもオフィスのあり方について長期的な方針が見えにくいところがあります。例えばGMOはコロナで最も早く在宅勤務を全面的に取り入れた企業の一つですが、その創業者、熊谷正寿氏はそれでもオフィスは必要と説き、在宅勤務であっても会社の象徴としてのオフィスの存在に価値を見出しているようです。同じような発想で名刺の住所が何処かということにこだわりがある場合もあります。私もバンクーバーではオフィス街として誰でも知っている通りに事務所の住所があるので事務所のイメージに価値観を感じたことは何度もあります。

どんな形にしろ、在宅やサテライトオフィスといった分散型が今後のトレンドになることは否定できません。そうなれば社員の縛り方は大きく変わると思います。以前、ギグワーカーの話題を振りました。ウーバーイーツなどの配達員がギグワーカーとして有名になりましたが案外すそ野がどんどん広がっています。たとえば訪問介護の会社はスタッフが全員ギグワーカーになってもおかしくないと思います。

この特徴は出来高制であります。とすればそれが仮にホワイトカラー的な業務をしている方にも適用されれば個人事業者となり出来高制で報酬を貰うという形が急速に展開するでしょう。これはこのブログで以前に何度か警告したように努力をしなかった人や会社の内部のことだけに精通しているような人は振り落とされることになります。一方でできる人間は兼業が一気に増え、才能を持てる人間がより発掘されやすい社会ができる第一歩になるとみています。

今日はオフィスのあり方を見てきましたが私は働き方改革や雇用のあり方、会社経営まで含め、あらゆる常識が壊れる可能性は否定していません。それぐらいこのコロナは我々の社会に深く影響を与えたともいえそうです。

では今日はこのぐらいで。

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