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二重のハンデ 児童養護施設で暮らす子どもたちへの福祉

親の虐待で 児童養護施設で暮らす子どもたちの行政手続きは、親の居住地の自治体で手続きが必要。親と接触を持たなくてはならない? 施設の職員に詳しく聞くとびっくりするような事例が出てきた。誰のための手続きなのか。根本を考え直す必要がありそうだ。


 立憲民主党東京都連に所属する自治体議員のオンライン勉強会で伺った(下の写真)。説明をしてくださったのは都内で児童養護施設を運営している複数の職員だ。

■親の虐待で施設へ。その親の自治体で申請


 現在の児童養護施設は、親からの虐待を受けている子どもが多く、以前にも書いているが、なんらかの障がいをもつ子どもが約3割いる。そのため、障がい児へ行政サービスを利用するとなると、居住する自治体へ相談・申請し、自治体が調査・認定をする仕組みと法律では規定されている(※1)
 そのため、施設で暮らす障がいを持った子どもの場合でも親の居住地で申請することになる(※2)。

 ところが親が転居して行方が分からないケースではサービスの相談が難しくなることや施設から遠方に転居した場合(例えば、東京から沖縄に引っ越したなど)、遠方から調査をするのかとなり、渋られてしまうケースがあること。自治体によってサービス内容が異なるので、転居によって内容が変わってしまうケースもあるそうだ。グループホームに子どもが移ろうとしたさい、親の自治体からの補助金が少ないので他の自治体の利用者が優先され入居を断られたケースや崩壊後デイを使えなくなったケースもあるという。

■制度の壁


 施設で暮らしているのだから、その施設の自治体でサービスを受ければいいと思いがちだが、施設が多い自治体では、その分の費用が増えてしまう。そのため、親の居住地で相談・申請することが基本となっている。このことで、この問題が起きていることになる。

 ただし、施設所在地の自治体に調査を委託すること可能と見解が厚労省から示されているが、このことの周知が進んでいないのも問題の背景にはあるという(※3)。知らないために、遠方の施設で生活する子どものことで相談・申請された自治体が遠方まで調査しに行くのか、となり対応がおざなりとなり、結果として子どもが障がい児のサービスを使えないこともあるという。

 子どもたちは、親からの虐待を受け、さらの行政の壁にもぶつかっている。施設で暮らす子どもたちは、二重のハンデを負い、さらに不利益が生じている。

 このことに強い憤りを感じている、と施設の職員は話されていた。

 この問題を解決するのは、施設で暮らす子どもたちへの福祉サービスは、親の居住地ではなく施設のある自治体で利用の相談・申請ができ費用は国、都道府県が負担するルールに変えてほしいと話されていた。

■伝わらない実情


 以前、今回話を伺った施設職員ではない人から、補助金をいただいている国や都道府県にさらに要望を出すことはやりにくい。もし、にらまれて減ってしまったら、との心配もあることを以前伺ったことがある。

 また、自分たちで行政にはあまり頼らないで運営するという気持ちが強いのかもしれない。

 これらの気持ちは理解はできることだが、こと、子どものことを思ったら社会で対応できることは利用すべきと思えてならない。
 児童養護施設で暮らす子どもたちの実際の様子が行政、議会に伝わっていない。調査もされていないことが、今回の問題の根本にはあるのだろう。「行政の縦割り110番」をぶち上げることは否定しないが、その前に制度の隙間でもがく人は、今回に限らずに少なくはないのだろう。

 そのことを想像できるか。行政のサービスが必要な人に届いているかの視点も重要だ。自分も含めてさらに関心を高めることも必要と再認識した勉強会だった。議員同士の連携を含め、改善策を考えてみたい。



※1 児童福祉法第21条5-5
障害児通所給付費又は特例障害児通所給付費(以下この款において「障害児通所給付費等」という。)の支給を受けようとする障害児の保護者は、市町村の障害児通所給付費等を支給する旨の決定(以下「通所給付決定」という。)を受けなければならない。
○2 通所給付決定は、障害児の保護者の居住地の市町村が行うものとする。ただし、障害児の保護者が居住地を有しないとき、又は明らかでないときは、その障害児の保護者の現在地の市町村が行うものとする。

※2 施設や里親で生活する子どもについても、親の居住地とされている。平成11年8月30日 厚労省通知 児家第50号「里親に委託されている児童が保育所へ入所する場合等の取扱いについて」他

※3 2020年8月塩村あやか参議院議員、2020年9月宮本徹衆議院議員からの質問への返答(正式な議会での答弁ではない)

【参考】
背景が変わる児童擁護施設。今の課題は? (2019年03月22日)

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