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ワクチン接種計画・・優先順位をどうするか。2009年の新型インフルの例(3)

私は、厚労大臣として、2009年の新型インフルエンザ流行に対応したが、そのときの、ワクチン確保について回想する。

 2009年の秋から冬にかけて、ワクチンが足りないという苦情が各地の医療機関から寄せられ、また乳幼児を持つ親からの苦情も相次いだ。年が明けて2010年になると、新型インフルエンザの流行が下火になり、ワクチンも余りぎみになった。

 しかし、2009年8月当時の状況を考えれば、大量のワクチンを海外から輸入し、6500万人分のワクチンを準備するという私の判断は間違っていなかったと思う。ワクチン準備の過剰なよりは不足こそが、国民の不安感を増幅させることになるからである。

 このように着実にインフルエンザ対策を進めていったが、8月30日に、予想通り、自民党敗北、政権交代という結果になってしまった。

 ワクチン接種の優先順位、ワクチンの海外からの輸入量については、ほぼ方針を固めることができたので、あとは新政権がその方針を実行に移すのみである。しかし、政権交代をめぐる様々な混乱があり、しかも長妻新大臣の興味は年金記録問題にしかなく、医療問題については全くの素人という状態であり、それに乗じて厚生労働省の旧悪が復活してきた。

 五月蠅い舛添大臣がいなくなり、無知な新大臣が来たとなっては、役人の思う壺である。まさにタイミング悪く政権交代になってしまった。

 政権交代後、長妻大臣の下で、ワクチン接種が1回でよいのか2回必要なのかについて議論が紛糾したり、10mlバイアルでの製造(1人分ずつ使える1mlバイアル製造が理想的)の可否をめぐって問題が顕在化したりしたが、これらの点は、私が大臣を続けていれば、適確な判断を下すことができたと思う。政権交代したからといって、国民の命が危険にさらされてはならないのである。

 9月末になって、厚生労働省は、これまで1800万人分とされていた国内生産分を2700万人分に上方修正した。なぜ上方修正したかの理由が、すでに大臣を辞めている私には分からない。そこで、その点を11月6日の参議院予算委員会で、私は長妻大臣に質問した。すると、10mlバイアルで製造したから製造量を大きくできるという答えであった。

 まだ私が大臣の9月初めに、この10mlバイアル製造について、担当の役人から説明されたとき、10〜20人という人数が集まらなかったらどうするのか、途中で雑菌が入ったら危険ではないかなどの質問をした上で、パブリックコメントにかけて広く専門家や国民の意見を聞くように要請していたのである。

 パブリックコメントにかける素案が9月4日に公表されるや、多くの批判が寄せられたが、それらに耳を傾けることなく、大臣が交代したのをよいことに、10月2日、厚生労働省は、10mlバイアルの製造を決めてしまった。

 結局は、10mlバイアルを使った現場からの苦情が殺到して、製造が中止となったが、この問題など現場軽視の最たるものである。霞ヶ関官僚ではなく、現場の医師や看護士の意見を尊重してこそ、新型インフルエンザ対策も上手くいく。

 今回のコロナについても、ワクチン準備に際して同じ間違いを繰り返してはならない。

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