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資金繰り支援策、必要なら期限延長「十分ありうる」=黒田日銀総裁


[東京 23日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は23日、大阪経済4団体共催の懇談会で挨拶し、新型コロナウイルス感染症への対応を含め、2%の物価安定目標の実現に向け極めて緩和的な金融環境を維持する必要があると述べた。当面は感染症の影響を注視し、必要があれば躊躇(ちゅうちょ)なく追加的な金融緩和措置を講じていくとした。2021年3月に期限を迎える民間部門の資金繰り支援策については、懇談会後の記者会見で、必要なら延長も十分ありうると述べた。

挨拶の中で、黒田総裁は一連のコロナ対応について「効果を発揮している」と指摘した。企業の資金繰りにはなおストレスがかかっているものの、外部資金の調達環境は緩和的な状態が維持されているとした。

黒田総裁は「外部資金の調達環境が緩和的な状態にあることは、金融面から実体経済への下押し圧力が強まったリーマン・ショック時との大きな違いだ」と述べた。その上で「経済主体の課題が、流動性から支払い能力の問題にシフトしていく中で金融システムに影響を及ぼす可能性もある。先行きの動向をよくみていきたい」と話した。

コロナ対応の3本柱の1つ、CP・社債の追加買い入れやコロナ対応特別オペは2021年3月末までの期限付きとなっている。黒田総裁は記者会見で「今後の感染症の影響などを踏まえ、資金繰り支援の観点から必要と判断すれば期限を延長することも十分ありうる」と述べた。延長を決定する場合は「3月末ギリギリまで待つことなく、適切な期間前に延長するということであれば延長することを決定する」とした。

<新政権との連携>

黒田総裁は23日、菅義偉首相と会談した。黒田総裁は記者会見で「政府と日銀が十分意思疎通を図り、しっかりと連携して現在の状況に対応し、適切な政策運営をしていくことで一致した」と述べた。

13年の政府・日銀の共同声明については「日本経済を支える上で、大きな役割を果たしてきた」と評価。今後も声明の考え方に沿って適切に政策運営していく方針を示した。

黒田総裁は、挨拶の中で日銀による積極的な国債買い入れについて「金融政策運営上の必要に基づいて実施している」と改めて強調。会見では「政府は中長期的な財政健全化について市場の信任を確保すると述べている。その通りだと思う」と話した。

<FRBの新戦略>

黒田総裁は挨拶で、米連邦準備理事会(FRB)が打ち出した平均インフレ目標について「日銀のこれまでの政策運営の考え方と軌を一(いつ)にしたものだ」と語った。消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の物価目標を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する日銀の「オーバーシュート型コミットメント」を紹介し、「日銀はこうした枠組みの下で、物価上昇率が、景気の変動などをならしてみて平均的に2%になることを目指している」と説明した。

外為市場でドル/円がドル安・円高方向に傾く中、黒田総裁は17日の金融政策決定会合後の会見に続いてFRBの金融政策に言及した。挨拶の中でFRBの金融政策に言及した意図について質問された黒田総裁は、FRBの政策レビューへのメディアなどの関心が高いためだと説明した。

懇談会での質疑応答で、黒田総裁は「物価目標の達成にはなお時間がかかる見込みだ。緩和政策の出口のタイミング、具体的な対応について検討するタイミングではない」と述べた。

<企業の成長期待、大きく低下せず>

足元の景気状況について、黒田総裁は挨拶の中で「引き続き厳しい状態にあるが、経済活動が徐々に再開する下で持ち直しつつある」と指摘。先行きは不確実性が極めて大きいものの「標準的なシナリオとしては、感染症の影響が和らいでいくもとで改善基調をたどる」との見通しを示した。

ただし、企業や家計の自主的な感染防止の取り組みが経済活動を抑制するため、改善のペースは緩やかなものにとどまるとした。

消費者物価の前年比は当面、「GoToトラベル事業」による宿泊料の割引の影響などでマイナスで推移すると予想されるものの、「現時点では、値下げにより需要喚起を図る価格設定行動が広がっているようにはうかがわれない」と指摘した。足元の物価動向について、黒田総裁は会見で、展望リポートや決定会合時の声明文に沿った動きだと述べた。

経済・物価の先行きについては、下振れリスクの方が大きいと指摘。企業は必要な成長投資の多くを継続するスタンスにあり、情報通信技術の活用など前向きな変化もみられるため「成長期待が大きく低下しているとは考えていない」とする一方、今後の動向は注視したいと述べた。

<中銀デジタル通貨、段階的に実証実験>

懇談会の質疑応答で、黒田総裁は中央銀行デジタル通貨(CBDC)についても発言した。「現時点で中央銀行デジタル通貨を発行する計画はない」と改めて述べる一方、今後はCBDCの機能や特性を踏まえ、段階的に実証実験を続けていく予定だと述べた。

*内容を追加しました。

(和田崇彦 編集:田中志保 橋本浩)

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