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橋下徹「僕が菅総理の『自助論』に賛同する理由」

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いよいよスタートした菅義偉政権。実務家・改革派をそろえた組閣人事で期待感が高まるが、「自助・共助・公助」に言及した菅氏のスピーチに違和感を示す人もいる。大阪府知事・大阪市長として大改革を進めた橋下徹氏はどう評価するか。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(9月22日配信)から抜粋記事をお届けします。

新政権/菅首相と閣僚ら

皇居での首相親任式と閣僚認証式を終え、記念撮影に臨む菅義偉首相(手前中央)と閣僚ら=2020年9月16日、皇居・宮殿北車寄せ[代表撮影] - 写真=時事通信

(略)

菅内閣が進めるのは「安倍政治の完成」である

はっきり言うけど、菅総理にビジョンがないと言っているメディアはかなり危ないね。万年政権与党の自民党と万年野党の社会党で構成されていた1955年体制の政治から意識が抜け出せていないんだろう。

自民党が万年政権与党だったときには、自民党内の総裁(=総理大臣)争いによって、ある種の政権交代(疑似政権交代)が起きていた。だから自民党内で総裁が変わるごとに、新総裁のビジョンというものが問われるのが当然だった。

しかし、今は、形の上では与野党が政権交代する二大政党制を前提としている。

ということは、自民党は党組織としてのビジョンを掲げて、誰が総裁になったとしてもそのビジョンを実現していくという組織マネジメントが必要になる。

総裁の属人的なビジョンから、党の組織的なビジョンへ。

(略)

菅さんは、7年8カ月の間、政府ナンバー2の官房長官として安倍政権を支えてきた。当然安倍政権の掲げたビジョンというものに、菅さんは関与もしているし責任も負っている。つまり安倍政権のビジョンは、菅さんのビジョンでもある。

(略)

菅さんは、安倍政権を基本的には継承すると明言しているのだから、国家像もビジョンも安倍政権のものと同じということで明確だ。

特にアベノミクスの3本の矢について、安倍さんは金融緩和と財政出動は実現した。他方、成長戦略と言われた規制改革のところが不十分だったと、これまでさんざんメディアや学者は批判していたじゃないか!!

だから菅さんは、このアベノミクスで不十分だった規制改革に力を入れると宣言した。

まさに菅さんは、安倍政治を完成に向けようとしているんだ。

一人の政治家がなんでもかんでもすべて完璧に実現できるわけではない。改革のテーマが大きくなればなるほど、何人ものリーダーが連なって実現するしかない。

(略)

政治において最も重要な目標は国民が「飯を食っていけること」

政治の目標や目的は考えれば考えるほど無限に出てくる。

それでもその中から何か一つを選べと言われれば、やはり国民がきちんと「飯を食っていけること」になるだろう。

ここでメディアを通じて政治評論をおこなう、いわゆるインテリたちの感覚とズレが生じる。

というのは、政治評論をするインテリたちのほとんどは、飯を食うことに困っていない。だから政治に求める目標や目的が、どうしても「高尚」なものになってしまうんだ。

(略)

しかし大多数の国民にとって一番重要なことは、ちゃんと飯を食っていけることなんだ。

(略)

この「国民が飯を食っていけること」という政治の目標・目的から考えると、やはり「失業率の低下」が重要な指標だ。

(略)

正規雇用者と非正規雇用者がどれだけ増えたか。この点でも安倍政権に対して、非正規雇用が増えただけ!! と批判する者が多い。

しかし政治に100%の完璧を求めること自体、適切な評価とは言えない。安倍政権ではコロナ禍前までは約500万人の新規就業者が増えて、そのうち150万人が正規雇用の増、350万人が非正規雇用の増である。

150万人も正規雇用が増えれば、60点の及第点には達するのではないだろうか?

(略)

自助を基本に成長を目指す菅政権か、成長を目指さない「エダノミクス」か?

ここからは加点事由の話になるが、改革を推し進め、日本の国の潜在的成長率を高めれば、どんどん100点満点に近づいていく。

橋下 徹『トランプに学ぶ 現状打破の鉄則』(プレジデント社)

橋下 徹『トランプに学ぶ 現状打破の鉄則』(プレジデント社)

雇用も増え、賃金も上昇する。

菅政権にはこの方向性を目指してほしいというのが僕の論だが、これに対して、枝野幸男さん率いる新・立憲民主党は成長をことさら目指さないということらしい。

(略)

さらに枝野さんは、菅さんが掲げる「自助」という言葉にも嫌悪感を示す。

僕は菅さんと同じく、「まずは自分のことは自分でする」という自助がとりあえず基本だと思う。それは個人に責任を押し付けるという意味ではない。自助がなければ成長は生まれないし、さらに自分のことは自分でできる人を増やすことで、限られた税金を、支えが本当に必要な人にできる限り多く配分できるようになるからだ。

支えが必要な人が多くなれば、支えるための税金がそれだけ必要になる。逆に自助の人が増えて支えが必要な人が少なくなれば、本当に支えが必要な人に多くの配分ができる。

支える人をしっかりと支えるためにも、自分のことは自分でできる人を増やすべきだ、というのが僕の自助論だ。菅さんも同じだと思う。

日本の国は成長を目指すのか、自助が基本なのか。

この点は菅政権と新・立憲民主党で考え方が異なるようなので、まさにこの点を徹底的に国会論戦、党首討論して欲しい。最後は国民が選挙によってどちらの方向性でいくのかを選ぶことになる。

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