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私の期待するデジタル庁の三本目の柱

菅総理の目玉の一つが「デジタル庁」の創設で、早ければ21年秋にもスタートできるよう準備が進みます。国会論戦が始まっていないのでどのような議論が行われるか注目したいところですが、個人的には遅きに失する気もします。安倍政権でなし得なかった切り口と考えれば逆にトップの顔が変わることでようやく弱点の補強ができるようになったともいえそうです。

今回のデジタル庁の最大の課題の一つは省庁の縦割りを壊すための方策の一つです。河野行革大臣がその役割を担うわけですが、その縦の壁にはシステムの行き来ができないという物理的壁が生じています。デジタル庁の一つの役目はこの省庁間の情報一元化でシステム上の非効率をなくすことで縦割りをなくすことがあります。真の意味での「One Government」を作るわけです。

もう一つはマイナンバーカードがないと生活できないような仕組みを作り上げることです。行政が管理する番号はいろいろあります。マイナンバーは主に納税関係ですが、一般の方は健康保険証、お薬台帳、運転免許証、戸籍や住民票に印鑑証明カード、年金個人情報など行政が絡むサービスを様々受けています。これらをなるべく多く紐づけをしてマイナンバーに一本化し、これがないと生活できないような社会を最終的に作り上げることだろうと思います。(中央と地方行政が一緒になることはないかもしれませんが)

菅首相がそこまで思い切った理由の一つはコロナで各種政府支援金の支給が極めてアナログ的であり、世界各国との差を目のあたりにしたことがあります。マイナンバー制度はそもそも田中角栄元首相の時代に産声を上げたものであり、当初とその目的論は大きくは変わっていません。当時はアメリカのソーシャルセキュリティナンバーの日本版を思い描いていたわけですが、「国民背番号制度」と強く批判され、紆余曲折しながらようやくマイナンバー制度ができたわけです。

ところが実務からすると出来上がったことに安どしたのか、ほとんどファンクションしなかったというのが実態であったわけです。その怠慢が祟ったのがコロナの発生で「さぁ大変」「暗証番号なんてわからない」といったことが続出したわけです。

ではデジタル庁ですが、ある意味、世の中、デジタル化は我々が想像する以上に急速に進んでいます。私が数年前にデジタルの時代が来ると強く述べた際も異論が多かったのはそんなはずはないと思う以上に変わりたくないという気持ちが前に出ていたのだと思います。

何しろ国民の28%が65歳以上でITやデジタル化には疎いというより日々進化するこの世界から振り落とされる人が増えているわけです。いくら若者達が支払いを「スマホでピッ」で終わらせていてもCash is Kingと信じて疑わない層がそれ以上に増えているわけです。事実、日本の紙幣の流通量は飛躍的に伸びており、1万円札の流通量は106兆円で20年前の2倍になっています。

低金利下で銀行利息がつかない、税務署は相続税に血眼となれば小金持ちの方々が「タンス預金」というより「タンス銀行」を作り出し、「これなら税務署対策はばっちりね」というわけです。ただ最近は巧妙な詐欺グループがここに目を付け、高齢者の家には現金があることが分かってしまっているわけです。わざわざ餌をばらまいているようなものなのであります。

9月21日号の日経ビジネスの特集は「脱 デジタル後進国」です。私も読んでいてびっくりしたのはいまだにファックスで注文をするのが当たり前というビジネスシーンであります。それを受けた企業側がデータ入力をするという驚愕の非効率業務が横行していたのです。カナダでファックスはもう死語だと思います。若者は「何それ?」というかもしれません。私の会社には珍しくファックス回線を別の事情で繋げていますが、仕事のファックスは多分何年ももらったことがないと思います。

デジタル庁がもっとやらなくてはいけないのはデジタルに対する国民への啓蒙であります。スマホの機能が多数付いていても電話とテキストにカメラしか使わず、その撮った写真も他人に転送なんてとてもできないという方が多い中で「携帯の通信費を下げろ」というのは何か違うのです。これだけできるスマホを価値あるものとして利用していないだけの話なのです。

なぜ高齢者はデジタルに抵抗感があるかと言えばこれだけ簡単に使えこなせるということを知らないだけの話なのです。先日、「Zoomで会いましょう」と言ったら目の前が真っ暗になったようになり「何を買ってどう準備するの?」と聞かれました。一度使うと「へぇ、簡単なんだ」と思うはずです。それを国民の1/4以上になった高齢者にきちんと伝えることが省庁間のシステム一元化、マイナンバー普及と併せて私が期待するデジタル庁の三本柱だと考えます。

では今日はこのぐらいで。

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