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弁護士による人権活動は大手事務所が取って代わる? 大量増員による弁護士資格のビジネス化

 これまで弁護士たちは、数々の人権活動を行ってきました。私もそうした先人たちが築き上げた成果をもとに活動しています。

 裁判所もまだまだ保守的な中で手弁当で活動されてきた先人たちは尊敬してきました。

 こんな私からみると、このツイート(匿名弁護士)には違和感がありました。

 新興系が正規の費用をとっていく時代になるそうです。

 この弁護士がここでいう有意義な判例が何を指しているのかよくわかりませんが、これまでの多くの裁判では結果が得られるかどうかもわからない中で、弁護士たちが切り開いてきたことは間違いありません。

 手弁当であろうと使命としてやってきたわけで、最後は例えば国に対して勝訴判決を勝ち取ることによって報酬が得られる場合もありますが、そうでない場合の方がむしろ多いでしょう。国賠訴訟の勝訴率が物語っています。

 それが共同事務所が取って代わるというのは、例えば、B型肝炎訴訟のように先人たちが勝ち取った判決に、CM中心に全国展開している大型事務所が便乗しているという構図しか私にはイメージがつきません。

 このような訴訟で、当初から「正規の値段」を払って未知の訴訟を起こしたいという人がどれほどいたでしょうか。

 この弁護士は、社会的意義のある事件とはどのようなものを想定しているのかも不明です。勝訴の見込みがあるなら誰も「正規の値段」を払って依頼します。

 しかし、社会的意義のある事件であればあるほど、訴訟遂行自体が困難であったり(そうなると「正規の値段」も着手金の段階から高額になります)、勝訴の可能性も見通せません。

 だから手弁当(低額費用の場合もあります)となるのです。

 社会的には訴訟を起こした方がいい、しかし、「正規の値段」では誰もが尻込みするということであれば、その訴訟自体が成り立ちません。

 そういった手弁当(低額費用を含む)の事件は私も消費者事件を中心にいくつも経験しています。

 5万円のトラブルで「正規の値段」を払ってもらったら旧報酬基準でいえば着手金は10万円です。誰も依頼するはずがないではありませんか。

 この事件などは訴額は4万円です。

「お試し」のはずが定期契約 札幌の女性、返金求めサプリ会社提訴」(北海道新聞2020年9月15日)

「「初回100円」の広告を見て、サプリメント(栄養補助食品)を注文したところ、定期購入を強いられたとして、札幌市北区の60代女性が14日、東京の健康食品販売会社に定期購入分の代金約4万円の返金を求め、札幌地裁に提訴した。」

 大型事務所が「正規の値段」で引き受けるのでしょうか。

 というより、この弁護士がさらにこうしたツイートをしているのですが、一体、何を想定しているのか、ますますわからなくなります。


 前述したように今、テレビCMなどやっているような大型事務所は、新判例を作るのではなく、獲得とされた判例にそって定型的に処理しているだけです。それくらいはわかるはずだと思っていたのですが、わからないんでしょうね。

 私が一番、違和感を感じたのは、最後の部分です。

「社会のために無償で〜と言ってた弁護士たちはどう思うのだろう。とふと思った。」

 こうした弁護士たちはある意味では率先して「無償」でやってきたわけです。それを他の弁護士に強制したり、関わらない弁護士を非難したりもしていません。私にしてみれば、何故、このような発想になるのかも理解できません。ビジネス思考しかないのではないのかとさえ思ってしまいます。

 この認識の方が正しいと思います。


 弁護士もビジネスですが、だからといってビジネスオンリーではありません。法科大学院(現在)、司法修習と国家によって養成される資格であり、そこには公益性もあります。

 単純なビジネス思考ばかりの弁護士が増えてきたのは、今般の司法改革によって弁護士を大量増員させたことによって、ビジネス資格に転換させてしまった、というのが実感です。

弁護士法人アディーレ法律事務所に対する業務停止処分 司法「改革」がもたらした営利至上主義

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