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「自称・お坊ちゃん育ち」桜の会“首相枠疑惑”のジャパンライフ元会長ら逮捕、安倍晋三氏との接点 - 坂田 拓也

 9月18日早朝、ジャパンライフの山口降祥元会長(78歳)ら14人が警視庁に詐欺容疑で逮捕された。 

【写真】ジャパンライフの宣材に使われた「桜の会」招待状

 1980年代からマルチまがい商法として問題になり、国会でも追及された。その後しばらく名前は出なかったが、2000年代に入り、高配当を謳う「レンタルオーナー制度」を始めて再び問題になった。 

 投資家がジャパンライフの磁器治療器のオーナーになり、ジャパンライフがそれをレンタルして投資家に利益を還元する仕組み。しかし契約数よりも実際のレンタル数はずっと少なく、大半が架空契約だった。 

 ジャパンライフは16年に消費者庁の業務停止命令が下り、18年に破産した。 

 山口氏とはどんな人物なのか。


山口降祥元会長 ©️時事通信社

お坊ちゃん育ちで、ワインのことを知らないのにすかして注文

 山口氏と付き合いのあった出版社幹部は、 

「頭髪は薄いけれど意外にハンサムで、弁が立ち、陽気で面白い人。お酒はあまり飲みませんが、カラオケが好きで、定番は石原裕次郎。一度、スーツの中に、忍者の鎖カタビラ(鎧)のような磁器ベストを着ていて笑ってしまいました」と話す。 

 群馬の実家は生糸産業で財を成したと自称していたという。 

「お坊ちゃん育ちと聞きましたが、舌が肥えてないんです。招待されるのは高いだけでろくなお店ではなかったし、明らかにワインのことを知らないのに、すかして注文するのです」(同) 

 山口氏は鹿児島県で山林を購入し、開拓して迎賓館を建てた。ゲストルームが5、6部屋あり、各部屋に温泉を引いていた。 

「私が行った時は温泉設備が壊れていて入れなかった。何のために行ったのか……。 

 山口さんの舌が肥えていない象徴が夕食。地元の美味しいものが食べられると期待していると、ホットプレートを出し、スーパーで買ってきたような肉とタレが出てきて驚きました。鹿児島まで行って焼き肉パーティです。ただ、肉を焼いてビールを注いでくれた黒のスーツの女性秘書2人は優秀で、スカウトしたいほどでした」(同) 

 山口氏は、政治家や大手マスコミ幹部との付き合いによって摘発を免れてきたと問題になっている。前出の出版社幹部も定期的に食事に招待され、政治家や大手新聞の論説委員を紹介された。向島の料亭で食事した時、山口氏はある2世の若手政治家を呼び、「将来、総理にしたいんです」と紹介したという。 

「桜を見る会」招待状を宣伝材料に

 15年に開かれた安倍首相(当時)主催の「桜を見る会」に、山口氏は招待状を贈られていた。首相枠として贈られたその招待状が宣伝材料として利用され、被害拡大の一因となったと指摘されている。

 安倍前首相と山口氏の接点は30年以上遡る。 

 80年代、山口氏から献金を受け、利益を供与されているとして、中曽根康弘首相(当時)ら多くの政治家が国会で追及されていた。 

 その1人が安倍晋三氏の父、安倍晋太郎外相(当時)だった。 

 安倍外相は、84年にニューヨークの国連総会に出席した時に「山口会長が同行していた」と問い詰められると、「山口氏がおられたのは事実」と認めている(86年2月の衆院予算委員会)。 

 この時の外相一行の中に、秘書官を務め、30歳になったばかりの痩身の安倍晋三氏がいたのだ。 

84年、ニューヨークの国連総会を終えた後に 

 この外遊について記憶している人物がいる。安倍外相がその国連総会出席を終え、夕方発の成田行きJALボーイングジャンボ機に搭乗した時、JALのチーフパーサーとして迎え、機中でアテンドした航空評論家の秀島一生氏である。 

 当時のボーイングジャンボ機は1階のファーストクラス20席程度に加え、アッパーデッキ(2階)にも10数席のファーストクラスがあった。安倍外相一行10名弱はアッパーデッキに上がった。 

 1階のファーストクラスに乗ったのが、“日本の黒幕”と言われ、85歳になっていた日本船舶振興会会長の笹川良一氏だった。 

 秀島氏が振り返る。 

笹川会長の「ワシはこっちのほうがいいな」という一言で

「笹川さんに『安倍君はおらんのか?』と聞かれたので笹川さんを2階に案内し、笹川さんが『安倍君』と呼びかけると、外相一行が全員起立して、深々とお辞儀しました。 

 笹川さんが『ワシはこっちのほうがいいな』と言うと、外相はすぐに承知して、外相一行が1階に降り、笹川さん一行の5、6人が2階に上がることになったのです」 

 他の客もいる中で大人数が入れ替わるため、秀島氏をはじめとするスタッフは気を遣った。 

「本来、秘書官だった安倍(晋三)さんが率先して動くべきなのに、フラフラとして、物言いがハッキリせず、頼りになりませんでした。安倍さんは、5、6人いたCAにも評判はよくありませんでした」(同) 

 日本の外務大臣を一言で1階に降ろした笹川良一氏の存在。秀島氏は30年に渡り、皇族、財政界、反社まで様々な人を乗せたが、この時の光景は今も鮮烈に覚えているという。 

「個人的な関係は一切ありません」と答えた安倍晋三氏

 昨年12月の国会で、山口氏との関係を問われた安倍首相(当時)は、 

「過去において私が招待された多人数の会合等の場で同席していた可能性までは否定しませんが、山口氏と1対1のような形でお会いしたことはなく、個人的な関係は一切ありません」と否定した。 

 ジャパンライフの被害者は高齢者を中心に7000人に上り、2000億円以上が未返還とされる。それは2000年代以降に限られたもので、80年代からの被害者は含まれていない。 

 莫大な数の被害者のためにも、安倍氏はもう一度説明する必要があるのではないだろうか。 

(坂田 拓也)

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