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自然エネルギー立国:立憲民主党の政策の柱に

立憲民主党の枝野幸男代表は、共同通信のインタビューに答えて、次期衆議院選挙の政策の柱として「自然エネルギー立国」を掲げると表明しました。正しい方向性だと思います。

欧州連合(EU)は2019年12月から気候変動対策として「欧州グリーン・ニューディール」を掲げ、産業競争力を強化しつつも、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目標にしています。企業、地方政府、学校、NPO、家庭とすべての関係者の行動変容を促し、最先端の研究や技術に投資し、持続可能な循環型経済をめざしています。

コロナ危機が招いた景気悪化からの復興にあたっても「欧州グリーン・ニューディール」を重視し、自然エネルギー(再生可能エネルギー)、環境にやさしい公共交通機関、住宅や事業所などの断熱化や省エネ、電気自動車の普及などに投資することを決めています。

アメリカでは間もなく大統領選挙が行われますが、民主党のバイデン候補もグリーン・ニューディールを経済政策の柱にしています。先進国のリベラル政党のトレンドは、「気候変動対策イコール経済政策」という発想です。イギリスの労働党も「緑の産業革命」を選挙公約の柱にしていました。

今年の集中豪雨や台風災害の激甚化をみても、地球温暖化が進んでいることは明らかです。これ以上の気候変動を防ぐ政策こそ優先課題です。この数年間で安倍総理が気候変動対策や脱炭素化を語る場面はほとんどなかったと思います。自民党政権が気候変動対策を重視していた形跡はありません。石炭火力発電所の輸出や新設を進めてきたのが安倍政権でした。

新たに誕生した菅総理も、気候変動や環境保護といった課題を口にしているところを見たことがありません。携帯電話料金の値下げのように国民を目先の利益で釣るような施策が、菅政権の政策の柱です。

携帯電話料金が下がれば、だれでもよろこぶかもしれません。しかし、それが政権の最優先事項というのはさびしい限りです。携帯電話会社は、5G時代に向けて積極的に投資をしなくてはいけない時期に料金値下げを強いられると、今後の通信インフラ投資に悪影響が出るかもしれません。

携帯電話料金の値下げに積極的に反対する気はありませんが、そんなことよりも医療体制の整備とか子どもの貧困対策とか気候変動対策とか他に優先すべき政策課題はたくさんあります。菅総理の優先順位のつけ方はいかがなものかと思います。

また、河野太郎行革担当大臣がさっそくユニークな取り組みで注目を集めています。しかし、この30年近く言われてきた「行政の無駄を削れば財源は出てくる」という、誤った認識を再生産しないか心配です。

行政の無駄は常に発生します。安倍政権でも「クールジャパン」とか、いろんな省庁が立ち上げた「〇〇基金」とか、新たな無駄が生まれました。行政の無駄が発生したら、モグラたたきのように無駄を取り除く不断の努力が必要です。

しかし、無駄を削るだけでは、医療費や教育費、気候変動対策のための財源を十分に確保することはできません。行政の無駄を削るだけでは、緊縮財政と「小さな政府」化が進み、さらなる格差の拡大とセーフティーネットの弱体化が進みます。

財源のことも真剣に考える必要があります。たとえば、財源確保と気候変動対策の一石二鳥の効果が期待できる炭素税の増税が必要です。炭素税の増税分を「財政中立的」になるように設計すれば、国民負担を増やすことなく、さらに別の効果も期待できます。たとえば、ドイツのように炭素税の増収分を雇用保険や社会保険の財源にあてれば、企業と労働者の雇用保険料の負担を軽減できます。また、企業の社会保険料負担の軽減には非正規雇用を減らす効果も期待できます。

さらに炭素税の導入は、脱炭素化に向けた産業構造の転換に役立ちます。知識集約型産業やサービス業にとっては炭素税はあまり負担になりませんが、エネルギー多消費(炭素多排出)産業にとっては負担になります。もちろん自然エネルギーにとって追い風にもなります。化石燃料を燃やして電力をつくるより、自然エネルギーと省エネに投資する方がもうかるようになります。

今こそ日本も「気候変動対策(脱炭素化)イコール 経済成長戦略」という認識に立つべきです。その意味で枝野代表が「自然エネルギー立国」をめざすと表明したのは、大きな一歩です。エネルギー政策の転換と気候変動対策を進めるためにも、政権交代が必要不可欠です。

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