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中国のウイグル問題、世界の有名企業に打撃を与え始める

中国政府が破壊したウイグル族の墓地(写真:AFP/アフロ)

 アメリカの国土安全保障省は9月14日、中国から輸入された5つの商品に対し「違反商品保留命令(WRO)」を発令し、商品を差し押さえたと発表した。

 WROは、今年に入って12件発令されており、そのうち8件が中国製品である。今回、命令の対象となったのは、コットンやコンピューター部品、毛髪製品などで、会社名や理由も公開された。

 新疆ウイグル自治区では、中国政府がイスラム教徒のウイグル族など少数民族に弾圧を与えているとして国際的な非難を浴びている。 今回、WROの対象となった商品は、いずれも同地区で強制労働によって製造された商品と見られる。

 今回公表された企業の一つ、コンピュータやスマホ部品を製作するH社では、囚人と労働者を孤立させ、威嚇や脅し、虐待がおこなわれていることを確認したという。2018年の8カ月で1500名ほどの労働者が送り込まれていた。

 アパレルメーカーのY社では、給料が未払いで、労働者は劣悪な労働・住居環境にあるという。人権保護団体によるとラコステの手袋がここで作られていたが、この報告を受け、ラコステはすぐに取引を停止したと報道されている。

 アメリカが非難する中国のウイグル問題は、2019年に国連で人権侵害かテロ対策かで議論が沸騰して以来、過熱化する一方だ。

 3月には、国防総省が資金提供しているオーストラリア戦略政策研究所によって、強制労働の実態を浮き彫りにした報告書が発表された。このとき、日本企業も含め、新疆地区の工場から供給を受ける世界的な企業82社の名前が明るみに出た。

 具体的には、ユニクロ、Gapなどの衣料品メーカー、ナイキ、プーマなどのシューズメーカー、さらにマイクロソフト、アップル、サムスン、ソニーなど名だたる世界的な企業が新疆の工場や製品に関与しているとされた。

 アメリカでは6月にウイグル人権法案が成立し、7月には人権侵害に関与したとされる中国高官のビザを制限、中国企業11社の輸出禁止措置が取られた。

 国務省は9月13日、「中国共産党による新疆での人権侵害」というサイトを作り、強制的な中絶や不妊治療、強制労働、強制収容所など、新疆自治区で何が起きているかを紹介し始めた。

 新疆地区では中国の85%のコットンが生産されている。アメリカでは中国コットンのシェアが24%、およそ110億ドル(1兆1500億円ほど)の市場である。

 7月には、アメリカ政府からアパレル業界向けに、新疆地区での人権侵害に関わっていないか注意しないとブランドの名誉的、経済的、法的リスクにつながりかねないという警告が出ていた。このため、すでにパタゴニアやH&Mグループが一部業者との取引を停止している。

 だが、問題は繊維業界だけにはとどまらない。
 中国はトマトペーストにおいて世界最大の輸出国で、ほとんどのトマトが新疆地区で作られている。中国の国有企業は昨年25万トンのペーストを製造しており、ハインツやユニリーバなどに供給されていた。

 ニューヨークタイムズによると、今後、さらに広い分野で似たようなアナウンスが続く可能性が高いという。もちろん、名前のあがった多くの企業が、日本にも市場を広げている。ウイグル問題が日本の消費者にとって、対岸の火事ではなく、身近なものになってきた。

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