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ユニクロ、しまむらは好調に転じる動き 西松屋、ワークマンがコロナ禍の打撃を受けにくかった理由とは

アパレル業界は、今春の新型コロナショックで長期間に亘る全国的な店舗休業を戦後初めて経験しました。

3月、4月というのは、アパレル業界では最も洋服が売れやすい期間の一つです。その期間に販売ができなかったわけですから、アパレル各社、小売店各社の被害は甚大なのは当然です。

各社軒並み大幅に売上高を減らしているわけですが、その中において、好調・堅調だった企業がいくつかあります。子供服の西松屋と作業服のワークマンです。

また、コロナ休業明けの6月からはユニクロ、しまむらも好調に転じました。他のアパレルやファッション小売店が苦戦する中で、なぜこれらが好調だったのか、またどこに通常のアパレルやファッション小売店との違いがあるのか、そのあたりを今回は考えてみたいと思います。

Getty Images

アパレル企業の明暗を分けた出店戦略

まず、この4社の共通点は、地方・郊外店が多いことです。ユニクロは都心店もそれなりにありますが、のこり3社の都心店は皆無です。

特に西松屋とワークマンは都心店がありません。しまむらも最近は都心に出店しているといわれますが、店舗数が少ない上に、例えば東京の三軒茶屋や、大阪の天王寺の外れなど、都心でもかなり中心から外れた場所にしか出店していません。

都心のど真ん中やターミナル駅に出店しているのはユニクロだけです。そのユニクロでも完全に地方店・郊外店を廃止したわけではありません。

思い出してみてください。3月中旬から営業時間短縮に踏み切ったのは、東京の都心商業施設、都心百貨店だったことを。当然、それ以外の店は通常営業をしていますから、それなりの売上高は稼げます。

4月になると、東京都心店は営業時間短縮ではなく完全休業に、大阪市内も同様に休業に入りました。こうなると、都心店の売上高はゼロです。

さらに4月下旬からは地方の大型商業施設も休業しました。しかし、4月下旬以降でも地方・郊外の路面店は営業している店が珍しくありませんでした。

当然のことながら、地方・郊外の路面店が多い企業は売上高の減少が緩和されます。西松屋、ワークマン、しまむらは地方・郊外の路面店ばかりです。商業施設に入っている店の方が珍しいくらいです。

高効率を誇る都心店に集中していたユナイテッドアローズなどの企業ほど落ち込みが激しかったという通常とは逆の現象が起きました。

無印良品で出店計画に見直しの動き

例えば、2020年3~5月期の連結業績で28億円の営業損失を計上した無印良品を展開する良品計画は「(1)世界的に都心よりも郊外、(2)日常的なもの、(3)ECという流れがある」と指摘しており、国内の全436店はショッピングセンター(SC)への出店が主だが、「SC内の店舗ではSCが休業すると営業ができない。生活に入り込むために、お客さまの近くに出店する。今後の国内出店はロードサイドの路面店を積極化する」と発表しています。
https://www.wwdjapan.com/articles/1097273

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低価格ブランドの有力な一つとして名を馳せる無印良品ですが、ほとんどが商業施設内への出店で、記事で指摘されているように、郊外型路面店は1店舗しかありません。

無印良品に限らず、集客の良さから、地方店より都心店、路面店より商業施設内への出店ということが重視されてきましたが、今回の新型コロナショックではその逆が注目されるようになったということです。

そして、緊急事態宣言解除後も「密」になりやすい都心店・都心商業施設よりも、面積が広くて「密」になりにくい地方店・郊外型商業施設・地方路面店の方が売れ行き好調です。

アダストリアのある幹部は「当社でも緊急事態宣言解除後は都心店苦戦、郊外店堅調です」と話していました。ですから、地方の路面店が中心の西松屋、しまむら、ワークマンの好調も当然です。

西松屋、ワークマンの売上が打撃を受けにくい背景

一方、西松屋とワークマンはそれぞれ特殊な要因も抱えています。まず、西松屋ですが徹底的なローコストオペレーションと店舗運営の標準化という点では、しまむらと同じです。

しかし一方、洋服が商材のほとんどを占めるしまむらに対して、西松屋は子供服もありますが、服よりも子供に必要な消耗品・日用品も数多く展開しています。

おむつなんていうのなどは消耗品であり、必ず買い足す必要に迫られます。また、消毒液や衛生用品も豊富なので、新型コロナという感染症に対しては通常よりも需要が伸びます。

ワークマンは店舗の運営形態が特殊で、直営店が驚くほど少ないのです。2020年3月期決算では、フランチャイズ店は834店、直営店は34店舗で合計868店舗だと記されており、フランチャイズ比率は実に96・08%です。直営店は4%未満しかないのです。

共同通信社

ユニクロ、しまむら、アダストリアなどはほとんどが直営店ですが、ワークマンの直営店は年々減り続け、フランチャイズ店が増え続けています。

フランチャイズ店ということは、個々の店主がすなわち経営者ということになるため、人件費や在庫は店舗持ちということになります。それにより、直営店を展開するよりも本社はコスト削減できます。

また、店舗に商品を納入した時点で本社は売上が立ちますから、月次速報では店頭売上高が反映されていない可能性が高いのではないでしょうか。

ワークマンのビジネスモデルは小売店というよりは、フランチャイズ店への卸売り業態に近いと考えられます。他のSPAブランドやセレクトショップなどとは単純比較できません。

苦戦を強いられていたしまむらに追い風

地方・郊外の路面店主体という特性が評価されて、息を吹き返したのがしまむらです。月次売上高の増減率だけで見ると、緊急事態宣言解除後の6月以降好調に推移しています。

6月の既存店売上高は前年比27.0%増、7月も同9.1%増と大幅に前年実績を上回りました。洋服が売れにくい8月は同4.5%減でしたが、下げ幅はこれまでより小さくなっています。

新型コロナショックが起きる前は、ずっと苦戦傾向にあり、2019年12月の既存店売上高は前年比9.0%減、2020年1月は同9.9%減でした。6月から急激に売上高が激増しており、コロナが引き金で復活したといえます。

コロナ禍でのユニクロ独走はしばらく続く

最早、「国民服」「社会インフラ」とも呼べるユニクロが強いのは当然とはいえ、新発売したエアリズムマスクがわずか数時間で全国的に完売したのはその強さの象徴ともいえます。

Getty Images

地方・郊外の路面店舗数もそれなりにありますが、日本国民からのブランドへの信頼感が群を抜いて高いということです。

今後、新型コロナでどのような状況になるのか予測が難しいですが、都心店中心のブランドはしばらく苦戦が続くでしょう。そしてユニクロの強さがしばらくは変わることがないと考えられます。

新型コロナショックが続くのか、収束し消費ムードが変わるのかはわかりませんが、どちらの場面においてもユニクロの独走状態は変わりません。

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