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更新料支払特約を有効とした最高裁判決を受けて、国民生活センターがなすべきこと

昨日最高裁が、更新料支払特約について「高額すぎなければ有効」と判断したことについて賛否両論が寄せられている。

私は、すでに賃貸借契約が終了した分についてまで更新料特約を無効だとして更新料相当額の返還請求を認めるのは契約の安定性を害することになり行き過ぎだと考えてきたので、更新料返還請求を斥けることにしたという結論自体には賛成する。

しかし、だからと言って、更新料の支払いを約した条項が対等な契約当事者間の契約であって、更新料支払特約には合理性があり当然有効だ、という賃貸人側の主張には与しない。

2年で更新、しかも更新の都度2割の更新料の支払いをしなければならない、というのは賃借人にとっては相当きつい条件である。賃料水準が世間相場並みだったら、あえて更新料の支払いを求めないでも賃貸借契約の継続を認めるべきである。私は、基本的にそう考えている。そして、それが法が法定更新を認めた趣旨であると思っている。

更新料支払特約付きの賃貸契約書にサインした賃借人は更新料の支払いが求められ、賃貸人との折り合いが付かないで更新契約書を取り交わさないでそのまま賃借物件の使用を継続している賃借人は更新料の支払いをしないでもいい、というのはおかしな現象である。大人しい賃借人が損をする、という仕組みは良くない。

賃貸借更新借契約書を締結する賃借人の方がより法的に保護されるような仕組みにしていく必要がある。そうしないと、ごね得や無法が罷り通ることになる。

更新料の支払いが低廉な賃貸料の補填の趣旨でなされるとか、更新料で賃貸物件の補修費用を賄っているといった実態があり、更新料支払約束を認める合理性があればともかく、ただ何となく更新料を取るという制度は良くない。国民生活センターの理事長を務めている野々山宏弁護士は、この最高裁判決について「消費者保護の流れに水を差す判決だ。消費者契約法が力を発揮しにくくなる。」と批判しているが、確かにそういう一面がある。

国民生活センターの理事長に消費者法制の整備の必要性を長年訴えてきた弁護士が就任するというのは異例なことである。消費者庁や国民生活センターの存在意義が問われている昨今である。野々山弁護士はこの際、最高裁判決に捉われることなく、どのようにすれば不動産賃貸業界に更新料支払特約を不要とするような契約慣行を定着させることが出来るか、という観点に立って更新料特約問題に取り組まれたら如何だろうか。

更新料特約を必要としてきた背景事情などを研究すると、より消費者保護の視点に立った新しい法制度を作り上げる必要性などが浮かび上がってくるかも来るかも知れない。存分にその手腕を発揮していただきたい。最後は、立法府である国会で必要な法制を用意すればいいだけである。

私は、野々山弁護士の直観を信用する。

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