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陸上自衛隊幹部の「突撃脳」が、隊員15万人の命を危険に晒している

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15万人ともいわれる陸上自衛隊の隊員たちは、いまだに「突撃訓練」を命じられている。『自衛隊は市街戦を戦えるか』(新潮新書)を出した元陸将補の二見龍氏は「戦争の形態は変わった。ロシア軍のウクライナ侵攻は新しい戦争の典型例だ。陸上自衛隊は『突撃訓練』を続けている場合ではない」という——。

小松基地は、1961年に開設された日本海側唯一の戦闘機部隊が置かれている基地です。
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Kana Design Image

ウクライナ侵略にみるロシア軍の戦い方

前回、前々回と陸上自衛隊が第二世界大戦の尻尾を引きずったままの訓練を続けていることを書きましたが、私は自衛隊の訓練のあり方に危機感を抱いています。

今や戦争の形態は変わっているからです。

「戦闘の形態が昔とは違ってきている」と言われれば、多くの人は「それはそうだろう」と思うに違いありません。しかし、何がどのように違ってきているのかを、説明できる方は少ないのではないでしょうか。

違いがはっきりと分かるのが、2014年ウクライナ侵略時のロシア軍の戦い方です。この戦争で行われたことは多くの軍事関係者を驚愕させました。戦い方が大きく変化してきたことを内外に知らしめたのです。

その輪郭は2016年のアメリカ議会で明らかになりました。当時、ロシアは、電子戦によってウクライナのレーダーを使用不能にするとともに、サイバー攻撃(ハッキング)で発電所、メディアの機器を乗っ取りました。GPSが使えなくなった偵察用のドローンは自己位置を評定できなくなり、地上へ降下したまま動かせない状態にされてしまいました。

多面化する戦場……正規軍・非正規軍の活動、サイバー戦、情報戦

さらに敵の砲弾の電子信管を作動できなくしました。また、携帯電話を一時的に使用不能にして、その機能が回復した時には、数多くのフェイク情報をメール等で大量に流したのです。このためウクライナの住民は混乱へと陥りました。

錯綜した情報を与えられた市民によるデモ隊がインフラ設備に押し寄せ、占拠することによって、電源が落ちてしまう事態も発生。停電状態の中、頼りとなるラジオ局もデモ隊に占拠された状態となり、ラジオからはフェイク情報が流し続けられました。

このように正規軍、非正規軍の活動の他に、サイバー戦や情報戦を組み合わせる戦い方は「ハイブリッド戦争」と呼ばれています。

後に、インフラ設備を占拠したデモ隊は、実はロシア軍であることが判明しています。こうした戦い方で、ロシアはクリミア占領という戦争目的を達成したのです。

冷戦後、ロシアの力は弱まったというイメージがありましたが、それとは裏腹に、新たな戦い方を開発していたことがこのときに明らかになったのです。当然、中国も同じような能力を持っている可能性は高いと考えられます。

消耗戦型の戦争は、もはや過去のもの

「ハイブリッド戦争」を簡潔に表現すれば、サイバー攻撃により国家機能をマヒさせ、その間に特殊部隊などによって、政治経済の中枢部、都市部でのインフラ設備などの重要施設を迅速に占領してしまう戦争形態、ということになります。

長い間、戦争といえば、情報と火力の優越によって敵を撃破するというものでした。第二次大戦の時に行なわれていたのは「消耗戦型の戦争」でした。敵の戦車、砲兵、人員を効果的に破壊するために、大兵力の軍隊同士が決戦を行って勝敗の決着をつける形態のことです。

しかし、装備の近代化とともに、戦争の形態は変わっていきます。陸上自衛隊はいまだに陣地攻撃や陣地防御の訓練を行い、その中で突撃訓練も行っているわけですが、実際問題としては、戦争の際に両軍が原野に塹壕を掘り、長期間にわたって塹壕戦、つまり塹壕にこもって対峙するような形はなくなりました。

多くの人的な犠牲を伴いながら、どちらかが戦争を継続できなくなるまで戦う「消耗戦型の戦争」は、第二次世界大戦とそれに続く朝鮮戦争以降、姿を消していきました。

代わって主流となったのは、短期間に作戦の目的を達成することを追求する戦い方です。兵員を殺戮したり、武器を製造する工場など産業基盤を徹底的に破壊したりするのではなく、敵の組織力を発揮させず、まず戦闘機能をマヒさせて機能不全にするやり方です。

この場合、敵指揮官への直接攻撃や敵通信統制システムの破壊、さらには国家の重要拠点の早期確保による国家機能の停止や政権の崩壊を狙います。短期間に戦争目的を達成するため、終戦の形を考えて迅速に決着をつけるような戦争の形態へと変化したのです。

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