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ローソン竹増社長が自ら実践する「テレワークの秘訣」

街を歩いて肌で感じた恐怖感

緊急事態宣言下でも何があってもローソンの火を灯し続けていかなくてはいけない。そのために現場が求めるものについては何でも対応していこうと決めました。

ローソン代表取締役社長 竹増貞信氏

とにかく重要なのは感染防止です。当初はマスクや消毒液が足りずに大変でしたが、その中で、ビニールシートを垂らしたらどうかとお店からアイデアが出てきて、さっそく取り入れました。現金を手渡しではなくトレーで受け渡しするのもそうです。

新型コロナで本部の仕事も変わりました。オーナーさんから「いまは来てもらわなくていい」と要望があれば、メールやリモートで対応しました。支障はなく、むしろ仕事を整理して効率化するいい機会になりました。

私自身もリモートで効率化しましたよ。ローソンでは月1回、北海道から沖縄まで、各エリアのオーナーさんや店長さんが集まるエリア会を開いています。エリア会は1回約20店舗が参加して、成功や失敗の事例を共有して意見交換します。

そこに私もお邪魔するのですが、これまでは1日あるいは1泊2日で出張して、1つのエリア会しか出席できませんでした。しかし、リモート会議に切り替えたら1日で6~7カ所回れた。これは便利です。

効率がよくなっただけではありません。じつは最近、オーナーさんたちとリモート夕食会や昼食会をやっています。何回もお会いしているオーナーさんに「明日どう?」と声をかけたりして、かなりフランクな会です。

リモート食事会がいいのは、エリアを問わないところ。エリア会だとオーナーさんはそのエリアの方だけになりますが、リモートだと北海道の方もいれば九州の方もいる。いま起きていることをダイレクトに共有できるのはすばらしい。

リモートが活きるのは「現場感」を共有してこそ

リモートでも、話し方は同じです。身振り手振りが大きいからリモート向きだと言われますが、普段からこんな感じです。私は大阪生まれ大阪育ち。これを言うと叱られそうですが、自分から積極的にアピールしないと生きていけないところなので、自然にアクションが大きくなったのかなと(笑)。

リモートの活用は今も続けています。ただ、私たちの仕事はリアルの商売。現場でないと気づかないこともあるので、現場に行かなくなることは絶対にありません。

緊急事態宣言中のゴールデンウィーク、ジムに行けないので、運動も兼ねて自分の足で歩いて店舗を回りました。実際に街に出てみたら、本当に人がいなかった。もちろん情報としては知っていましたが、自分の目で見ると恐怖を感じるほどでした。

おそらくオーナーさんや店長さんは、街から人が消えていくのを見て同じように恐怖を感じていたはずです。その感覚を私も肌で感じたから、リモートでもオーナーさんの話をリアルに理解することができました。リモートが活きるのも、現場で同じものを共有してこそです。

義務感でやると伝わってしまう

リモートでもリアルでも、コミュニケーションでは自分の思いを伝えることが大事です。2020年4月1日、約1万4500店舗全店に向けて、「まずは感染防止第一。私たちが必ず支えますから、安心してください」とビデオメッセージを出しました。メッセージは20年5月半ばまで毎週送り続けました。

内容は毎回ほぼ同じです。しかし、繰り返し伝えないとまた不安が大きくなっていくし、私自身、みなさんに伝えたいという思いが強かった。

「お正月だから新年のメッセージを出す」というように、スケジュールありきで発信するのは違うと思います。義務感でやると、それが伝わってしまう。今回も、毎週出そうとしていたわけではありません。思いは、伝えたいと思ったタイミングで発信するのが一番響く。今回はそれが毎週続いただけです。

もう1つ、明るく元気に伝えることも意識しています。何かマイナスのことがあっても、ネガティブに伝えるのではなく、「次はこうしようぜ」とポジティブに伝えます。怖い顔で伝えると、失敗はいけないことだと思われて挑戦しなくなってしまいますからね。

未来を向いたコミュニケーション

成功したときも同じです。世の中は絶えず変化します。うまくいって満足していると、変化についていけなくなる。私たち自身が変わり続けるためには、失敗しても成功しても、「次はどうする?」と未来を向いたコミュニケーションをする必要があります。

ローソンは、20年7月に納豆や豆腐など一部のPB商品のパッケージデザインをリニューアルします。これは5月ごろにSNS上でPBのデザインが「わかりにくい」「間違いやすい」と指摘されたことを受けたものです。

PBのデザインを刷新したのは19年の秋頃でした。リニューアルが進んでPB商品が同じ棚に面でズラッと並び始めると、「似ていてわかりにくい」とお言葉をいただくようになりました。自分で店舗を回ったときにも、お店の方から「品出ししにくい」と言われました。

お客様の声、現場の声、ネットの声。それらを合わせると、わかりにくいものは変えたほうがいいと判断。家に持ち帰ったときのしっくり感を軸にしたまま、店頭でわかりやすいパッケージにデザインし直しました。

売り上げが増えたから成功だとか、ネットでご批判頂いたから失敗だとか、そういう話ではないのです。再デザインすることになり、私は「もう一段成長できるぞ!」とみんなに伝えました。そうやって絶えず前向きなメッセージを発していくことが、リーダーに課せられた役割ではないでしょうか。

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竹増 貞信(たけます・さだのぶ)
ローソン 代表取締役社長
1969年大阪府生まれ。93年大阪大学経済学部卒業後、三菱商事入社。畜産部に配属。その後グループ企業の米国豚肉処理・加工製造会社勤務、三菱商事社長業務秘書などを経て、2014年ローソン副社長に。17年3月から現職。
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(ローソン 代表取締役社長 竹増 貞信 構成=村上 敬 撮影=南方 篤)

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