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緊急対談 菅新首相の素顔を「宿敵」望月衣塑子記者が語る!

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■経済重視の政策が続く

ー今後、菅さんが首相になった場合、日本の政治状況はどう変わりますか?

望月:この3年、彼を見ている限りはあまり右や左の思想性というのはないと感じます。憲法改正にはそれほど関心がなさそうです。ただ、経済がだめになると国民が黙っていない、支持率に直結するというのは、これまでの長期政権の中で感じていることなので経済をどれだけよくできるかを重視するのではないかと思います。

コロナ禍で菅さんの考え方として一番分かりやすいのがGoToトラベルです。閣議決定の際には感染の収束後に行うとしていたのに、全然収束しないうちに7月22日に1.7兆円の予算規模で開始しました。政府は第二波ということはまだ正式に一言も言っていないんですけど、この前政府の対策分科会の尾身茂会長が「第二波のピークを越えた」と言いました。やっぱり第二波が来ていたんじゃないかって思うんですけど、それは経済をとにかく回さないと自分たちの支持基盤を含めた財界が黙っちゃいないということで、GoToトラベルを始めたということなんだろうと思います。


一方で、韓国や欧米各国と比べても、新型コロナウイルス感染症を診断するためのPCR検査の検査数を増やすことに及び腰です。検査数を増やしているとはいっても、まだせいぜい3万件とかで、ニューヨーク州だけで1日6〜7万件やっているようなアメリカには及ばない。それはなぜかというと、GoToトラベルをやるときに軒並み検査をしたら、無症状とか軽症状の人からも陽性がたくさん出てしまうから検査をしたくないというのがあると私は思うんです。結局、まずは経済を回していきたいがために、PCR検査の数が抑制的になっているのではないか。医療の現場が今後どうなっていくかが心配です。

■韓国や沖縄に対する敵対的な態度は変わらず

望月:安倍政権では、女性活躍とかジェンダーバランスを含めた取り組みが全然進まなかったので、これは菅さんが首相になってもなかなか進まないでしょうし、韓国に対する敵対的な対応も変わらなそうですね。

沖縄の辺野古基地に関しても、軟弱地盤だということが指摘されるなど作るのは難しいのでないかと指摘されていますが、そういう現状をごまかしながらアメリカの決めた方向性に沿ってとにかく米軍基地を作ろうとする。県民投票では県民の7割がNOという意志を示していますが、沖縄の基地に絡んだ圧力をかなり強化するのではないかと思います。

■「政治の私物化」が進み、疑惑の真相は明らかにされず?

ー安倍さんの路線を追従していくということですね。では望月さんとしては、「菅首相」の誕生は、どちらかというと嫌ですか?

望月:そうですね。安倍政権のもとで「政治の私物化」が非常に進んだ気がします。安倍さんは最後の会見で「私はそう思わない」と言っていましたけど、森友問題も、加計学園の問題も、伊藤詩織さんの問題も「政治の私物化」と言われても仕方ない。

森友問題に関しては、安倍さんの妻の昭恵さんが名誉校長を務める森友学園が、新たな学校を作ろうとして起きた値引きの問題だったし、加計学園も安倍さんが自分の腹心の友だっという加計孝太郎さんが作ろうとしていた獣医学部新設の動きだったし、伊藤詩織さんに関しては、安倍さんに最も食い込んでいる男性記者と言われていた元TBS記者の山口敬之さんの性的暴行疑惑でした。さらに、長期政権の中で、直接の指示がないにしても、官僚が官邸のために仕事をするという意識が強まってしまった。自分たちの人事が人事局に握られているというのもありますけど、それが結果として公平・公正な行政が、国民のために機能しない状況を生み出しました。

こういうときに、かつて見られたような、自民党内の自浄作用が働かなくなってきたのも大きな問題です。長期政権の弊害が出てきたから、安倍さんには一度退陣してもらって、党内のおかしいところをしっかりと調査して、問題があれば解決する。そうやって疑惑を払拭して変わっていこうという様子が自民党には全然見られませんでした。

森友学園の国有地売却問題を担当していた財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さんが無念の死を遂げた問題では、改ざんに関わりたくないと反発していた赤木さんがあのような目にあって、公文書の改ざんがいかに問題であるかということが明らかになりました。しかしその後、首相主催の恒例行事「桜を見る会」を巡って、招待者名簿を共産党の宮本徹衆院議員が政府に資料請求したにもかかわらず、その数時間後にシュレッダーで廃棄されました。本当にコントみたいな話です。これに対して国民は、公文書を扱う人の意識が変わらない限り、またこうした問題は繰り返されると感じると思うんですね。新たに首相が変わることで、こうした負の遺産をリセットしてくれるのではないかという期待があるはずです。

しかし、菅さんが首相になるとすると、こうした期待をどうしても持てない。検察幹部の定年延長を政府の判断で可能とする検察庁法改正案については、菅さんが安倍さんよりもこだわっていたと言われています。黒川弘務検事長について、定年延長という閣議決定がなされて、その後それと連動するかのように検事長の定年延長を認めるかのような改正法案が出されました。これは推測もありますけど、森友問題や加計学園の問題を含めて、刑事罰を含めた事件のターゲットになったときに、守護神である黒川さんを検察庁のトップに置いておきたいという意図もあったのかなと。

そういうことも含めて、菅さんが首相になると、これまでの疑惑について再調査に踏み切るとは絶対に思えませんし、いろいろなことが明るみになるとも思えません。結局、うやむやなことがうやむやなまま進んでいくんだろうなと思います。

ーありがとうございました。ポスト安倍政権がどうなるのか、自民党総裁選に注目ですね。

後半では、マスメディアのあり方や新聞記者という仕事について望月さんに語っていただきました。

▶︎動画はこちらから

https://youtu.be/0ECQxchK0yU

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