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【特別号】菅義偉・自民党新総裁に願う

 安倍総理の突然の辞任表明から2週間、電光石火のごとくに総裁選挙が行われ、菅義偉・官房長官が後継総裁に選出された。まずは祝意を表するとともに、コロナ禍での難しい政局運営に、持ち前の手腕を遺憾なく発揮して欲しいと願う。

 安倍総理の女房役を長年にわたり務めて来ただけに、私は早々と「相似形内閣」と表現してしまった。確かに討論会での菅氏の発言は、アベノミクスの継続や安倍外交の踏襲を掲げており、また安定感を売り物にしている。しかし人格も考えも全く同じことはあり得ないので、菅義偉らしさも打ち出して欲しい。安倍内閣の負の遺産も払拭すべきである。

 このような観点から、私は次の諸点について、新内閣として改善していただきたいと考える。まず今後のコロナ対策では、官房長官時代には「GO TO キャンペーン」など経済再生にやや重点を置いて来たが、感染拡大防止と経済テコ入れのバランスをしっかりと取って、ウィズコロナ時代のライフスタイルを定着して欲しい。

 この秋のアメリカ大統領選挙の先行きはまだ不明だが、仮にバイデン候補がトランプ大統領に勝ったら、速やかにバイデン民主党政権とのパイプを築き、傷ついた国際協調主義を復活させるべきである。中国とは強硬一辺倒ではなく、言うべきことは言い、協力すべきことは協力するという、「したたかな外交」を展開すべきである。

 アベノミクスの結果生まれてしまった経済格差を正面から捉え、富の再配分と中間層の拡大を図るべきである。コロナの収束までは財政健全化を先送りすることはやむを得ないが、その後は赤字財政と超低金利の出口戦略を考えるべきである。

 女性活躍を唱えるなら、待機児童解消だけでなく女性宮家、女性天皇、選択的夫婦別姓について、門前払いでなく検討を一歩前に進める覚悟を示すべきである。女性議員や企業の女性幹部の数をただ増やせばいいのでなく、陰に陽に世の女性が被っている様々な差別や不利益を、真剣に考え是正すべきである。

 安倍政権によって築かれた「官邸主導」や「一強多弱」を修正して、より民主的な政策決定を目指して欲しい。内閣人事局による省庁幹部人事のコントロールを弱め、役人が官邸に忖度しなくて済むようにして欲しい。

 憲法改正は安倍総理の悲願だったが、残念ながら達成できなかった。菅内閣においても引き続き大きな課題だが、そもそも憲法は政府の権力を縛るものだから、「政府の力」により為すべきでなく、国民の代表たる国会が前面に立って議論すべきである。むしろ政府は抑制的であるべきだ。憲法第9条は自衛隊の存在を「否定」してはいないと政府は解釈して来たが、9条がそのままで良いかどうかは時間をかけて議論すべきだ。

 この度誕生する「菅内閣」が暫定政権なのか本格政権なのかは、来年の総裁選を経て見ないと分からない。しかしこれからの1年は日本にとっても世界にとっても極めて重要な1年であることは間違いなく、誤りのない国の舵取りに専念していただきたい。

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