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<ワクチン接種計画・・優先順位をどうするか。2009年の新型インフルの例(2)>

 2009年、私が厚労大臣のとき、新型インフルエンザのワクチンの確保に苦労したが、そのときの経験は、今回の新型コロナウイルスについても参考になる。以下に詳細を記す。

 2009年8月26日には、私は、感染症や小児科の専門家をはじめ、難病の子どもを支援するグループの代表など、様々な分野の専門家と新型インフルエンザについて意見交換会を開いた。この場で、私は、海外から輸入するワクチンについての取り扱いにも言及した。

 まずは国内で治験を行わずに輸入できる薬事法上の特例承認の制度を適用することにする、しかし安全性を確認するため小規模であっても臨床試験を実施することを言明した。

 また、ワクチンの副作用については、国が救済する補償制度を特別立法で導入する考えを示した。いずれは感染症法や予防接種法を抜本的に見直す必要があるが、それまでの間は、時限的な特別立法で切り抜けようと言うのが私の考えであった。

8月27日、私は、22年度の厚生労働省の概算要求を発表した。一般会計総額で平成21年度当初比5.0%(1兆2565億円)増の26兆4133億円とし、新型インフルエンザ対策に207億円(21年度当初は144億円)で、その中には、ワクチン全量買い上げ用に60億円、医療機関の患者分離用設備改修費補助に54億円を計上した。

 さらに、新型インフルエンザが沖縄並みに全国で流行拡大する事態に備えて、夜間診療時間を延長して外来患者の受入態勢を強化することなどを検討している旨、述べたのである。

 この27日の午後、選挙応援のため関西に入った。この日、都内で、厚生労働省と専門家や患者団体との意見交換会が行われ、ワクチン接種の優先順位の議論が行われた。

 その結果を受けて、9月4日には、厚生労働省の最終方針案が決まった。まず最優先接種者として、医療従事者(100万人)、基礎疾患がある人(900万人)、妊婦(100万人)、1歳から就学前の小児(600万人)、1歳未満の乳児の両親(200万人)、次にその他の優先接種者として、小中高校生(1400万人)、65歳以上の高齢者(2100万人)で、合計5400万人である。

 一方、ワクチンの輸入については、海外メーカーであるイギリスのGSK(グラクソスミスクライン),スイスのノバルティスの2社と交渉を進めていった。8月27日時点で、国産ワクチンの生産量は1800万人分と見積もっていたが、ノバルティスからの輸入量は1250万人分が上限であった。そこで、その合計で3050万人分である。厚生労働省の担当官は、GSKからは3000万人分の輸入を提案したが、それでは、総計6050万人分にしかならない。

 私は、本来は国民全員に行き渡るべきだと考えていたので、せめてその半分以上、つまり6500万人分くらいは確保すべきだと強い指示を出した。大阪から直接何度も担当局長に電話し、大臣判断でGSK分を700万人分増やして4700万人分とすることに決めた。 

 これで6750万人分である。輸入ワクチンの安全性について問題視する意見もあったが、ワクチン不足こそ当時の最大の問題であり、国民の不安の的であった。

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