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安倍首相が2年前に決めていた「ポスト安倍」

田原総一朗です。

8月28日、安倍首相が辞意を表明した。
「ポスト安倍」は誰かと、メディアは騒然とした。
岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長が、総裁選に立候補を表明。
遅れて菅義偉官房長官が名乗りをあげると、多くの派閥が支持を決めた。
「菅首相」誕生はまず間違いないだろう。

実は私は、安倍首相に、「ポスト安倍は誰がいいだろう」と聞かれたことがある。
安倍首相が三選した直後、2018年9月のことだった。
その表情は真剣そのものだった。
私は、「菅さんがいい」と答えた。

二世、三世議員が多い自民党のなかで菅さんは世襲ではない。
そして、高校を卒業すると故郷の秋田から上京し、働きながら夜間の大学に通った。
やがて議員秘書を経て、横浜市会議員になる。いわゆるエリートではない、苦労人だ。

だからといって、他人の足をひっぱるようなところはまったくない。
政治家というのは野心がある人が多いけれど、菅さんには、野心もない。
だからこそ、安倍首相は菅さんを心から信頼しきって7年8カ月もの長きにわたり、官房長官を任せていたのだ。「菅さんがいいと思う」という私の答えに、安倍首相も「そう思います」と同意していた。

4月の緊急事態宣言発令後、私は安倍首相と会った。「ポスト安倍」として岸田さんが浮上していたので、私は、「気持ちが変わって、岸田さんでいくのですか?」と聞いてみた。

すると、安倍首相は、「いえ、菅さんでいく」と、きっぱり言ったのだった。
安倍首相の意思は変わっていなかったのである。
その2日後、二階俊博幹事長に会って安倍首相の発言を確かめると、二階幹事長も「菅さんが一番いい」と言う。

今の日本は新型コロナウイルス問題だけでなく、さまざまな問題が山積みである。
去年の春には、私は安倍首相に、「憲法はともかく、日米地位協定を改正すべき」と進言した。

日米地位協定は占領の延長であるドイツもイタリアも改正したのに、日本だけがいまだ「占領」されているのだ。
日本の国土のわずか0.6%という面積の沖縄県に日本にある米軍基地の70%が集中するという、いびつな状況になっている。安倍首相は「必ずやる」と誓っていた。

また、経済では、日本企業の国際競争力が低下し、深刻な事態となっている。
産業構造を抜本から変えるべく、安倍首相はプロジェクトを立ち上げていた。
官房長官として安倍内閣を支えてきた菅さんなら、こうした課題を引き継ぎ、やりきってくれるだろう。

そして、世襲でも、エリートでもない、菅さんならではの政治を期待したい。

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