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京大教授「日本人はコロナを克服。年末に終焉」説の論拠

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「K型に感染すると免疫細胞の1つである『T細胞』が強化され、G型への防御力がアップします。しかし欧米は2月初旬に中国からの渡航を全面的に制限したため、G型に対抗するはずの弱毒のK型が充分に流入せず、強毒のG型の感染拡大を防げなかった。

 S型は欧米に充分に流入していましたが、S型の抗体だけだと、かえってウイルスの増殖を盛んにする『抗体依存性免疫増強(ADE)』を引き起こします。欧米では、K型が入らなかったことにより、S型によってADEが起こり、重症者が増加したのです」

 日本とは逆に、中国からの渡航を早めに制限したことが仇となり、あれだけの被害を招いたのである。

 ここで1つの疑問が生じる。前述の通り、コロナに感染して免疫ができたのならば、「抗体」ができるはずだ。しかし、6月に厚労省が3都府県7950人に行った抗体検査では、東京都0.1%、大阪府0.17%、宮城県0.33%と、抗体を持つ人はきわめて少なかった。これは多くの日本人がコロナに感染して集団免疫を獲得したという「上久保理論」と矛盾するのではないか。

「基準の問題です。抗体検査キットで陰性と陽性の境を決める基準を『カットオフ値』といいますが、その値はキットを作る会社が決めます。日本の場合、すでに発症して入院中の患者を基準にカットオフ値を決めたため、数値が高くなった。それにより、本来は抗体を持っている人まで『抗体なし』と判断されたと考えられます」

 抗体検査では、「IgG」という抗体値が重要だ。

「ウイルスに初めて感染すると最初に『IgM』という抗体値が上がり、その後に『IgG』が上昇します。また、すでに免疫を持っている人が再感染した場合、IgGが先に上がります。すなわち、抗体検査でIgGが確認された人は、すでに感染して免疫を持っていることになります。

 実際、私たちの共同研究チームが10~80代のボランティア約370人の抗体検査をしたところ、全員が新型コロナのIgGを持っていた。これはすでに全員が感染していたことを意味します。“原因がよくわからないけどちょっと体調が悪いな”と身に覚えのある人は、感染して免疫を持っている可能性が大いにあるのです」

「微熱が出るのは免疫がウイルスと闘っているから」

 一方で、「新型コロナの抗体は2~3か月で急激に減少する」との報告もある。中国・重慶医科大学らの研究では、患者の退院2か月後に症状があった人の96.8%、無症状の93.3%でIgG抗体が減少した。減少割合は半数の人で70%を超えた。上久保さんは「抗体が減少するからこそ、ウイルスとの共存が必要」と指摘する。

「確かに抗体は時間とともに減少します。しかし一方で、一度免疫が作られると、その後に再度感染することで免疫機能が強化される『ブースター効果』が期待できます。だからこそ、時折感染して抗体値を上げ、下がったらまた感染するというサイクルを繰り返すことが重要です。ワクチンを繰り返し打つことで、免疫が強くなることと同じです。“絶対にコロナにかからない”という考え方では、免疫機能は一向に働きません」

 免疫を働かせるため何度も感染すべきというのが上久保さんの主張だ。現実的にも、感染は繰り返されていると上久保さんは指摘する。

「すでに抗体を持っている人でも“喉にたまたまウイルスがいるケース”では、PCR検査をすれば陽性になります。それがいま急増中の無症状の人たちの正体です。ウイルスは検知されたけれど、免疫を持っているからほとんど症状が出ないということ。そのため『感染者』ではなく、『陽性者』と表現した方が私は正しいと思います。一時的に微熱や喉の痛みなどの軽い症状が出るのは、免疫がウイルスと闘っているからです」

 軽症や無症状が目立つ一方、コロナで重症者や死者が出ているのも事実だ。

「もちろん、高齢者や基礎疾患のある人が新型コロナにかかると重症化のリスクがあります。S型やK型に感染しなかった人がいきなりG型に感染しても重症化しやすいでしょう。

 また、厚労省の通達により6月18日からどのような要因による重症化や死亡でも、PCR検査が陽性なら新型コロナが要因とみなされることになりました。例えば、心筋梗塞の持病があって死亡してもたまたま陽性だったら、新型コロナ肺炎による死亡とカウントされる。そうした統計の取り方で重症者や死者が増えている面があります」

 これまでインフルエンザ同様、秋冬に新型コロナが再拡大すると指摘されてきた。だが上久保さんは「11月に新型コロナは終息する」と語る。

「私たちの試算では、いまのところ日本人は、S型50%、K型55%、武漢G型80%、欧米G型85%で集団免疫が成立し、このままいけば、11月にはほぼ100%の日本人が免疫を持つはずです。高齢や基礎疾患などの重症化リスクがなければ、今後亡くなる人は少なくなるでしょう」

 ウイルスの変異も11月が「最終章」になる。

「新型コロナのスパイクが変異可能な数は最大で12~14で、ひと月に1回ほどの頻度です。現在、日本が検体のデータを出していないので何型まで進んでいるのかわかりませんが、S型が始まったのが昨年12月なので、今年の11月には最後の変異を終えて、その後消失し、ただのコロナウイルスになります。それはコロナウイルスのメカニズムで決まっていることなのです。年末には、新型コロナは終焉を迎えるはずです」

※女性セブン2020年9月24日・10月1日号

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