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「7年8カ月もやってはいけなかった」安倍長期政権が残した巨大なツケ

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7年8カ月に及んだ第2次以降の安倍政権は、日本に何をもたらしたのか。経営コンサルタントの小宮一慶氏は「アベノミクスは株価を上げることはできましたが、財政赤字や日銀のリスクを増大させ、子供や孫の世代に大きなツケを回すことになりました。これは『悲劇』です」という――。

参議院選挙の結果に笑顔を見せる安倍晋三首相=2019年7月21日
参議院選挙の結果に笑顔を見せる安倍晋三首相=2019年7月21日 - 写真=日刊スポーツ/アフロ

安倍長期政権はわが国の歴史にとって「悲劇」だった

安倍晋三首相が辞任を発表しました。現在、次期自民党総裁選の真っ最中ですが、今回は、長期にわたった安倍政権およびアベノミクスを総括しましょう。

結論を先に言ってしまえば、安倍政権が打った手で「日本経済は短期的には改善したが、長期的な観点は欠けていた」ということになります。そして、その大きなツケは確実に国民に回ってきます。その意味で、安倍長期政権はわが国の歴史にとって「悲劇」でした。

安倍首相は2012年12月の総選挙で、自民党が旧民主党を破って以降、7年8カ月にわたる長期政権を維持しましたが、そのリーダーシップの特徴は、「短期的な問題解決能力や突破力はあるが、長期的なことを犠牲にしている」「周囲の忖度に甘えた、公私混同」だったと私は考えています。

短期的には問題解決したが、長期的にはかなり危ない

アベノミクスは当初、「3本の矢」を掲げてスタートしました。

「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「成長戦略」です。その中で効果を現わしたのが、金融緩和、つまり「異次元緩和」です。それにより、低迷していた株価を2倍まで引き上げ、求人を増やしたという点は、問題をある程度解決したことに間違いはありません。具体的に、数字の変化を見てみましょう。

政権が発足時と政権終了時の比較(経済)

図表1を見てください。政権が発足した当時(2012年12月)の日経平均株価は1万円を少し超えるレベルでした。それが、政権終了時には、2万3000円程度まで上昇しています。2倍以上です。80円台の円高に苦しんでいた日本経済でしたが、それも短期間で100円台まで戻しました。

雇用に関しても同様です。4%を超えていた失業率は、2%台まで低下しました。このところは、コロナウイルスの影響で上昇していますが、それでも2.9%です。一時は2.3%まで下がりました。

職を求めている人に対して、どれだけの求人があるかを表す、有効求人倍率も、政権発足時には1倍を切っていました。職を求める人すべてに職がなかったのですが、それもピークの2019年上期では1.63倍まで上昇しました。(直近ではコロナの影響もあり1.08倍。)就業者数も政権期間中に380万人強増加しています。

一方で、「非正規雇用者が増えた」「実質給与は全くと言っていいほど上がっていない」など、問題点もありますが、それでも景気回復には一定の成果があったと評価すべきでしょう。

財政赤字、日銀リスクの増大…長期的には、未来のツケ回し

このように景気回復という観点からは、成果を出したアベノミクスでしたが、長期的な視点からはとても及第点は与えられません。及第点どころか、リスクを大きく増加させたと言えます。

リスク増大の筆頭は言うまでもなく、財政赤字です。国債発行残高は政権発足時の2012年度末で705兆円だったものが、20年度末の推計では、964兆円と大幅に増加しています。新型コロナウイルスへの対策での上乗せもあり、数字はさらに大きなものになります。

対名目GDP比で財政赤字の規模を計ることが多いのですが、日本は250%を超えており、先進国中ダントツの1位です。コロナウイルスへの対応で財政赤字が増加したイタリアでも160%程度、米国も財政赤字を増加させましたが、それでも130%を超えた程度で、いかに日本の財政赤字が多いかが分かります。

安倍政権の間に、消費税が2度増税されましたが焼け石に水でした。財政赤字残高は増加の一途です。これは私たちだけでなく、子供や孫たちが負担しなければならないものです。

政権が発足時と政権終了時の比較(財政)

続けて指摘したいのは、多くの人がほとんど気にしていないことです。それは日銀が抱えるリスクの急拡大。これも長期的には国家を揺るがす非常に危険な事案です。

2013年4月から「異次元緩和」が始まりました。これは具体的には「マネタリーベース」を増加させるということ。マネタリーベースとは、日銀が直接コントロールできる資金量のことで、「日銀券」と民間銀行が日銀に預ける「日銀当座預金」の残高を足したものです。それを当初は2年間で2倍に増加させるというものでした。主な手法としては、民間銀行が保有する国債を日銀が買い、その分の代わり金を日銀当座預金に振り込むというやり方です。

参議院選挙の結果に笑顔を見せる安倍晋三首相=2019年7月21日
参議院選挙の結果に笑顔を見せる安倍晋三首相=2019年7月21日(写真=日刊スポーツ/アフロ)

政権発足時の2012年12月は、日銀券が約88兆円、日銀当座預金残高は約43兆円の合計132兆円でした。そして、約2年後の2015年3月には、当初の目標通り2倍以上の282兆円に達しました。それでも、成長戦略が十分に機能しなかったこともあり、その後もマネタリーベースは増加し続け、現状は図表2にあるように、579兆円程度まで増加しています。

日銀が国債を買うことでマネタリーベース(日銀当座預金)をどんどん増加させているのですが、これは何を意味するのか。日銀はそれだけ国債を保有しているということです。また、最近は国債だけでなく、株式をETF(東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託)の形で購入したり、REIT(不動産投資信託)を購入したりしています。

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