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俺たちのトランプ、ついに「ノーベル平和賞」ノミネートの快挙 - 山本 一郎

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 ヤバい、ヤバいよ、これはヤバい。この壊れゆく世界線で、あってはならないヤバい事態が大発生だよ、ほんとヤバい。何がヤバイって俺たちの(面白がる対象の)ドナルド・トランプ大統領が、ついについにノーベル平和賞にノミネートされる、という、これね、もう世界的な虚構新聞のレベルじゃないか、夢じゃないかしら。

BBC News - Trump Nobel Peace Prize nomination - what you need to know

https://www.bbc.com/news/world-us-canada-54092960

トランプさんを覆う醜聞の数々

 いや、まあ、私もトランプさんはどうかと思いますよ。

 公約もあり、トランプさんは不法移民が多いので対策しようとする。まあ、それはわかる。しかし、その対策のひとつは不法移民の強制送還だけでなく「メキシコとの間に高いフェンスを建てる」。紀元前220年ごろ、弥生中期だった我が国では大陸人が日本列島への往来を始め、稲作や原始的な鉄製品や文化が普及を始めたころ、秦が燕などを滅ぼして始皇帝が異民族対策のため万里の長城を築いた。そんな歴史的建造物を彷彿とさせる「トランプの壁」がメキシコ国境に作られるというのでみんなで指さして馬鹿にしていたわけじゃないですか。


トランプ大統領 ©getty

 トランプさんを覆う醜聞の数々がCNNほか左派系ニュースネットワークで次々と流され、ロシアゲートでは大統領就任にロシアの影響があったのではないかという疑惑でいまだ米国司法が騒いでおり、マティス国防長官やボルトン補佐官などなどトランプ政権を支えた重鎮は次々と政権を去っていって、そればかりか、ボルトンさんからは暴露本まで出されて、いかにトランプさんがアカンのか、ヤバい政権だったかが白日の下に晒される。

元側近に逮捕者まで。どうなっているんだトランプ政権

 ついには、オンラインを通じた架空の募金で多額の金を支援者などから騙し取ったとして、トランプ大統領の元側近で首席戦略官を務めたスティーブ・バノンさんら4人が逮捕されるという事件まで起きました。どうなっているんだトランプ政権。

 アメリカ人と文化論で争論になると「でも、お前らの代表はトランプさんだろ」と言えば相手は黙る。知識人であるほど、トランプさんで大丈夫かと思い、開明的な人はトランプさんがアメリカの大統領としてしでかす各種問題の前に怒りを通り越して呆れ、愕然とし、どんなに偉そうなことを言っても今のお前らのトップはあのトランプさんなのであるという現実を受け入れきれずにいる、そんな状況だったはずなんですよ。

トランプさんもアレだが、バイデンさんも相当アレなのではないか

 足元では黒人差別への抗議運動BLM問題がいまだに社会でくすぶり、いや、ああいう差別はほんと良くないよね、と思うわけですよ。しかし、トランプさんはこの問題について国民の連帯を呼び掛けるどころか、どことなく逃げ回っている印象が強く、これは終わっただろ、バイバイトランプ、いままで面白かったよありがとうということで、幾つかある大統領選に向けた事前調査によるトランプ当選確率は7月の段階ではまさかの8%台。低すぎる。一騎打ちだぞ。92対8。これはトランプ終ったな。そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。

 ところがですね、トランプさんなど1期4年で落選させてやろうと意気込んで、9月に入り残り2か月を切った11月3日の大統領選に向けて高らかに担ぎ上げた民主党のジョー・バイデンさんがどうも……アレです。トランプさんもアレだが、バイデンさんも相当アレなのではないか。

 8月上旬、バイデンさんがオンラインイベントで「ヒスパニック(中南米系)の社会は、黒人社会と異なり、信じられないほど多様だ」とぶっ放し、まるで黒人社会が多様ではないかのように受け取られること待ったなしの失言で騒ぎになり始めます。なんかおかしい。

 ざわざわしているところへ、バイデンさんの面白発言が次々と話題になり始めます。電球を発明したのは黒人であって「エジソンという名前の白人ではない」。あまりにも失言が多すぎて、証券会社が「バイデンさん失言集」を作るほど盛り上がっており、77歳のバイデンさんには認知症の疑いがあるのではという話題でもちきりです。民主党、他にいなかったのかよ。

大統領選はちょっと頭のおかしいアメリカ人高齢者同士の戦いに

 これはもう、アメリカ人の不幸に同情を寄せるしかありません。私たち東京都民も都知事に小池百合子を選んでしまった教訓がありますし、誰を選んでも地獄しか待っていなそうな世界線というのは悲しいものです。

 アメリカの大統領選はアレなトランプさんと、アレなバイデンさんのいずれかを選ばなければいけないという壮大な罰ゲームに発展してしまいます。一時期はこりゃもう勝ったも同然、Vやねんと思っていたバイデンさんが表で喋れば喋るほど、どうにも認知症なのではないかとしか思えないような失言を連発して、順調に中間層から「駄目だこりゃ」と思われどんどん支持を落としていきます。

 明らかにヤバい感じのトランプさんと、どう見てもアカン感じのバイデンさん。何という壮絶な譲り合い。覇権国家である世界帝国アメリカのトップを決める大統領選は世界の民主主義の最高峰であるはずが、ちょっとおかしいアメリカ人高齢者同士の戦いになってしまうという壊れゆく世界線の入口になっておるのです。

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